西洋美術を理解するときキリスト教の知識と同様ギリシア神話も重要なテーマになっています。
しかし!
ご存知の方も多いと思いますが、ギリシア神話って本当に複雑です。
神様がたくさん登場し、その関係性が込み入っている。
込み入っているというか、ドロドロしてる・・・
例えば
わが子に王位を取られることを警戒して、自分の子たちを飲み込むもの
浮気を繰り返すもの
狂気に憑かれて妻子を殺すもの
すごいですよね・・・
そして、この神とその神の子供があの神でと、家系図を書いていてもわからなくなるくらいややこしいです。
でもまず絵画や彫刻などでよく登場するオリュンポス12神を、絵画とともに覚えていきましょう。
・どんなことをした神様なのか?
・何とともに描かれてることが多いのか?(持ち物=アトリビュートや一緒に登場する人)
・どんな姿なのか?
オリュンポス12神とは?
オリュンポス12神はギリシア神話の有名な神々で、西洋美術にもとてもよく登場します。
ギリシア神話とは、古代ギリシア人が伝承した神々や英雄の話です。
ざっくりと説明します。
神話の始まりは、カオス (空虚・隙間といった意味として理解するといいそうです)。
そこからガイヤ(大地)が生まれ、巨人族が生まれ、その巨人族の末っ子クロノスと大地の女神レイアから生まれてくるのが、オリュンポスの神々たちです。
オリュンポスというのは実在の、マケドニアとギリシアの国境にそびえるギリシア最高峰の山です。
その山頂に住むと思われていたのがオリュンポス12神です。
どんな神がいるのでしょうか?きっとよく目にする名前だと思いますよ。
ゼウス
ヘーラー
アテーナー
アポローン
アプロディーテー
アレース
アルテミス
デーメーテール
ヘーパイストス
ヘルメース
ポセイドーン
ヘスティアー
オリュンポス12神とローマ神話の神々の複雑な関係と名前のなぞ
オリュンポス12神をご紹介しましたが、さらに複雑にしているのがローマ神話の神々との関係です。
古代ローマでは、ギリシアの影響を受けて自分たちの神話の神とギリシア神話の神とを同一視して物語を再構築していきました。
ややこしいですよね?
古代ローマがお手本にしていたのは、エーゲ海を中心に高い文明をもって栄えた古代ギリシアでした。
そのギリシアを滅ぼすのは古代ローマ帝国なのですが、それでもギリシアへの憧れや恐れのようなものを持ち文芸・芸術・学問を取り入れていったのです。
その中でギリシア神話を自分たち用にアレンジして、さらに自分たちの言葉であるラテン語で書きました。
その時に、ギリシア神話に出てくる神々に、自分たちの古来の神々の中から性質が似ている神様を割り当てていったそうなのです。
そのため、ギリシア神話のゼウスは、ローマ神話ではユピテルとなります。
(英語読みではジュピター)
ギリシア神 → ローマ神
ゼウス → ユピテル
ヘーラー → ユノ
アテーナー → ミネルヴァ
アポローン → アポロ
アレース → マルス
アプロディーテー → ウェヌス
ヘルメス → メルクリウス
アルテミス → ディアナ
ポセイドーン → ネプトゥーヌス
デーメーテール → ケレース
ヘーパイストス → ウルカヌス
ヘスティアー → ヴェスタ
(*書き方は様々な表記があります。例えばヘラだったり、ヘーラーと書かれていたりします)
アプロディーテーを割り当てられたのは、ウェヌス(Venus) という神様。
ラテン語のVenusを英語読みすると、ヴィーナスになります。
ちなみにアポロはギリシア神話からそのまま取り入れられたそうです。
話が少しギリシア神話から離れてしまったように感じますが、このオリュンポス12神の説明をしていく中で、この違いがわかっているとより理解しやすいので先にご紹介しました。
対比させてはいるけれど、ギリシアの神々とローマの神々ということで、同じではない!ということをわかっていただければと思います。
では、次回からそれぞれのギリシア神話の神様の特徴などを書いていきたいと思っています。