「自分自身」に出会うためのアート鑑賞 – Cosiness and Adventure https://cosinessandadventure.com 「自分自身」に出会うためのアート鑑賞 Wed, 27 Mar 2024 17:06:54 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 https://cosinessandadventure.com/wp-content/uploads/2023/11/Cosiness-100x100.jpg 「自分自身」に出会うためのアート鑑賞 – Cosiness and Adventure https://cosinessandadventure.com 32 32 Linktree(リンクツリー)で複数リンクをお洒落にまとめる方法 https://cosinessandadventure.com/linktree/ https://cosinessandadventure.com/linktree/#respond Wed, 27 Mar 2024 07:23:17 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6483 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
Linktree(リンクツリー)を使うと、インスタグラム(instagram)などSNSのプロフィール欄にリンクのまとめページを連携させることができます。

このように悩んでいる方いらっしゃいませんか?

「1つのURLから複数のSNSやブログへ誘導したい」
「プロフィール欄から他のサイトやSNSへ案内したい」
「どのサービスを使ったらいいかな」

無料で簡単にまとめられるLinktree(リンクツリー)を使って早速まとめてみましょう。

英語表記ですが、画像たっぷりでご紹介するので、下記のようなページを作ることができます。

作成に入る前に準備しておいた方がいいもの

作成に入る前に、下記のものをまとめておくとあちこち開いたりすることがないので作業がスムーズに進みます。

私はメモなどにリンクやメールアドレスを貼り付けておいてから始めました。

  • Linktreeにまとめたい各種リンク
  • 登録用メールアドレス
  • プロフィール用画像
  • サムネイル用画像(こちらは必須ではありませんがあるとリンクがより際立って見やすいように思います)

Linktreeの登録をする

さっそく登録していきましょう! 
下記リンクからLinktreeのサイトを開いてください。

https://linktr.ee/

Linktreeが開いたら、Sing up free をクリック。

登録するメールアドレスと、Linktreeのアカウント名を入力する。
Create account をクリック。

名前を入力し Continue

次は自分のカテゴリーを選択します。そして Continue

次はプランの選択です。
スマホの画面だと縦に長くなり見にくいためPC画面を貼り付けています。

Freeは、無制限のリンクと チップジャー(チップのようなサービス)およびその他の収益化サポートがついています。

Starterは、無料プランに加えて、アップグレードされたスタイルオプション アフィリエイトマーケティングツール スケジューリング機能付き(5ドル/月)

Proは、コンテンツクリエイターやビジネス向け。スタータープランに加えて、高度なカスタマイズオプション コンバージョン追跡 アップグレードされたカスタマーサポート Linktreeロゴを非表示にするオプション付き( 7日間無料で、その後は9ドル/月)

Premiumは、ブランドとビジネス向け。プロプランに加えて、コンシェルジュカスタマーサポート パーソナライズされたオンボーディングとセットアップ 専任のリレーションシップマネージャー データエクスポート機能 独占コンテンツ付き(24ドル/月)

一つ選択し下記のボタンを押します。

こちらで登録手続きが終わりました。

Linktreeのページを設定していく

ここからLinktreeを設定し自分の作りたいイメージにしていきましょう。

リンクを追加する

入力したアドレス宛にメールを送ったので、verify(確認)してくださいというメッセージが表示されます。

メールの送り元と本文を確認し、Verify Email をクリックしてください

テンプレートを選択します。テンプレートは後で変更することもできます。

リンクを追加していきます。
Add any other links にURLを入力していきます。

入力するのは、
上段には表示する名前
下段にはURL

右のボタンでONとOFFができます。

Preview をクリックすると今どんな状態で表示されるか見ることができるので、チェックしながら進めてください!


アイコンや画像などを設定

プロフィールアイコンを変えていきましょう。

Appearanceのタブをクリックすると、Profileの画面が表示されます。

Pick an image をクリックします。

画像を選びます。
用意してある画像を使う場合は、Upload your ownから画像を選択します。

プロフィールアイコンが設定されました。

次にプロフィールを入力していきます。
Profile Title はプロフィールアイコンの横に表示される名前です
Bioにはプロフィールを入力します。(80文字まで)

画像を追加して整えていく

完成形は下になります。

リンクの上部のSNSアイコンとショートメッセージ
リンク横の画像

を設定していきましょう!

SNSアイコンを設定するので、Appearance タブを選択。
+Add social icons をクリック。

下記のようなページが開きます。
Add icon をクリックすると設定できるSNS などのアイコンが出てきますので選択して追加していきます。

▼設定できるアイコンは下記の通りです。


次は見出しの言葉を入力します。Links のタブを選択。
Headline title を入力していきます。

最後にリンクの横に表示する画像を追加していきましょう!
追加したいリンクの欄の画像マークをクリックする。そうするとAdd Thumbnail(サムネイルを追加する)が出てきます。
Set Thumbnail をクリック。

Upload your own thumbnail をクリック。

Select file to upload, or drag-and-drop file
ここから画像を選択するか、ドラッグする。

画像が出てきました。
リンク横に表示されるサイズを選ぶことができます。
ここではSQUARE(正方形)を選択し、Crop をクリックします。

Upload をクリックすると設定されます。



これで完成です。
他にもカスタマイズできるようですし、さらに有料版になると豊富なテンプレートや、分析なども可能になるようです。

同様のサービスに、日本のリットリンク(lit.link)というものもありました。テンプレートなどいい感じだったのですが、LINEと連携することが要求されたのでやめました。

私のリンクツリーはこちら です。どのように設定できるのか確認してみてくださいね。

@yoko | Instagram | Linktree
@yoko | Instagram | Linktree

アートガイド、ライター、英国お屋敷研究家

linktr.ee






Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/linktree/feed/ 0
クロード・モネの悩みを勝手に想像して香りを調合してみました・・(ポッドキャスト) https://cosinessandadventure.com/claude-monet-fragrance/ https://cosinessandadventure.com/claude-monet-fragrance/#respond Fri, 22 Mar 2024 13:25:12 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6440 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
ポッドキャストの新しいコーナー。「画家の悩みに効く香り」を配信しました!1回目の画家は、印象派の画家といえばこの人、クロード・モネです。

画家モネの悩みに効く香りを作ってみました・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm
画家モネの悩みに効く香りを作ってみました・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm

クロード・モネ (Claude Monet, 1840年11月14日-1926年12月5日)印象派フランスの画家

モネって印象派の画家として世界中で愛されて、彼の絵がない美術館がないのでは?と思うほどの画家です。私も大好きな画家の1人ですが、愚痴や泣き言が多い手紙を読んで、理想と現実のはざまで辛かったんだろうなぁ、悩んで苦しんでいたんだなぁと思ったのです。

調香のプロのYukiさんにモネの悩みに効く、モネのためだけの香りです。

モネの香りの秘密

番組内でお話した、Yukiさんが調香してくれた素敵な香りのエッセンスをこちらでご紹介します!

ブラックペッパー

心を活性化し、活力や行動力を与えます。感情が冷めていて熱中できない、無関心になってしまう、人任せになりがち、自分自身の力で現状を変えるパワーを与えてくれます。

サンダルウッド(アトラス)

精神と魂に働きかけると言われます。鎮静させ、調和させること。世俗的な不安、執着心を落ち着かせ、崇高な意識へとつながる助けをしてくれます。未来を思い描く前に大切な、今に意識を向け、自分の本質を向き合わせてくれます。古くから貴重な香りとして重宝され、日本では「白檀」と呼ばれます。香道の世界ではなくてはならない存在です。

現在、枯渇危惧植物で入手が難しくなっています。

ベルガモット

循環を促す作用があり、抑圧されてしまった感情を解き放つことを助けます。心の中に溜め込んだ感情にエネルギーを与え、流れをスムーズにしてくれます。コロンブスによってスペインにもたらされ、イタリアに紹介されました。イタリアでは治療薬として多くの人に用いられ、ナポレオンの時代には香水としても使用されていました。日本では、アールグレイの香り付けとして多くの人に知られています。

ゼラニウム

理性や論理で感情を押し殺してしまいそうな時、自分の感情を素直に受け入れ直感や創造性を促します。

ニアウリ

軽く甘さのあるウッディーな香り心を元気にし、目標に向かって突き進む気力を与えてくれます。頭の中をリフレッシュさせ、集中力を高める働きもあります。はっきりとした夢をみるように刺激を与える効果もあります。

モネの言葉&香り作成の舞台裏

私は生まれた時からきかん坊であった。誰も、私をどのような規律にも従わせることはできなかった。私が学んだわずかなことは、みな独りで学んだのだ。……外には親しげに太陽が輝き、美しい海が広がっていて、澄んだ空気の中で海辺を走り回ったり、水の中に飛び込んだりできるというのに、4時間もじっと座っていることなど、とても私にはできなかった。

クロード・モネの言葉


モネは幼い頃から絵を描く事に長けていたこの言葉をなぞって行くとモネの傍には自然が傍にあり、その自然そのままの在り方、刻々と移り変わる様のなかで彼の感性が芽吹いたように思われる。

時に人との交わる世界には冷たさやもの悲しさ 言い知れぬ怒りや矛盾そういった感情を払拭する手段としても絵という物が彼の支えになったのではないだろうか。。。と彼の歩んだ歴史の文献か個人的考察を交えモネの為の香を作成しました。

エッセンシャルオイル 植物の持つチカラは時に傷を癒したり、気持ちを解放したり寄り添う事のできるチカラが宿っていると考えています。植物の香と香の共演で通りの世界が出来上がるのもエッセンシャルオイルの魅力であり、最終的に感性するのは使うその人が加わる事 唯一無二の香が完成していくのです。

放送を終えて・・・

モネは子供の頃から自然、特に海のそばで過ごすことが当たり前にあって、学校の教室でずっと座っていることなんて耐えられなかったんだろう・・・そんな彼がいつも川や海のそばで住み、絵を描き、でも絵が売れない、家族を養っていかないとという苦しみがあんな手紙になったのだと、香りとともにモネの悩みに寄り添っているとそう思えてきました。

そうすると、長時間自然の中で1人で絵を描き続けるモネの後ろ姿が目に浮かんできました。私はモネと一緒に睡蓮の池を見ることも、ロンドンの橋を見ることはできないけれど、彼が残してくれた”連作”でその瞬間を体験できるのです。

”画家の悩み”という切り口から、絵や人生を見てみる。豊かな香りと一緒に目と心を開いてそこで感じたことを自分にも問いかけてみる。そうすると自分の真の思いも見えてくる。

リラックスした状態で絵を鑑賞するということをやってみたいというのがずっと前からありました。以前途中まで進みながら実現できなかった、香りを楽しみながらの絵の鑑賞が今回の放送につながりました。

次回は、19世紀末のウィーンで活躍した画家グスタフ・クリムトでお届けします!






Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/claude-monet-fragrance/feed/ 0
印象派仲間のピサロ、モネ、シスレーの水辺の絵を並べて見る贅沢 https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240319/ https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240319/#respond Tue, 19 Mar 2024 15:12:31 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6422 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
先日久しぶりに名古屋市にあるヤマザキマザック美術館へ!!

日本の好きな美術館の10位の中に入る一つ。

好きな理由は、ロココから20世紀の絵画の歴史が辿れるような作品が揃っていること。

そして展示室の空間の美しさ。まるでヨーロッパの美術館にいるような気分にさせてくれる壁紙、床の素材や美しいシャンデリアなど。

空いているので静かにゆっくりと見れるのもなかなかいい。そして絵画のフロアの下にはインテリアやガラスなど工芸品のコレクションが充実していることも。

カフェやレストランが揃っていて鑑賞後の時間も優雅に過ごせること。所蔵作品の写真撮影ができて後からゆっくりと復習できることも。

音声ガイダンスも入館料の中に入っていて楽しめること。展示室の雰囲気にぴったりの座り心地の良いソファがたくさんあって座って音声ガイダンスを聞いてじっくり見ることもできる。

さらに音が鳴りやすい床のためコツコツという音が気になる人にスリッパの貸し出しもしているのだ!

書き出してみるとこんなに好きなところが出てきて自分でもびっくり。

そして今回は、さらに好きな理由が付け加わったのです。(春の所蔵品展をやっていたためにコレクションをずらりと眺めることができたからだと思います)

印象派3人の画家の作品が並んでいるのを見て気がついたこと。

左から

カミーユ・ピサロ「ルーアンの波止場・夕陽」1896年
クロード・モネ「アムステルダムの港」1874年
アルフレッド・シスレー「サン=マメのロワン運河」1885年

共通点は3点とも水面の表現が描かれていること。並べてみることで水のきらめきや空をどのように描いているのか比べてみることができる。

その他にもクールベの海も近くにあってその絵とも見比べることができる。

一つの作品をじっくりみるのも良いけれど、比較してみることができるってやはり感じることや学ぶことってたくさんあるんです。ただやみくもに比較してもダメで。このようにテーマが揃っているのが理想。

ちゃんと考えて購入されたのだなと感じてああいいなぁと感じたのです。


でもここは企業の美術館。だから入場料もちゃんとありふらっときて見て帰るが気軽にできる美術館ではありません。

もう少し他の公立の美術館がこんな風になったらなぁ。西洋美術館のような規模の美術館がぜひ関西にも!!

日本のあちこちの公立美術館にバラバラと数点ある西洋美術をどこかにまとめてダーンと見せてくれる方が私はいいのだけどな。


マザック美術館では素敵な比較をもう一つ見つけたのでまた次の機会に書きますね!

ヤマザキマザック美術館
〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵1-19-30
名古屋市営地下鉄東山線「新栄町」駅(1番出口)直結
公式ホームページ:https://www.mazak-art.com/



Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240319/feed/ 0
『ソロモンの審判』ニコラ・プッサン【365日絵のなかで旅をする】 https://cosinessandadventure.com/the_judgmento_of_solomon/ https://cosinessandadventure.com/the_judgmento_of_solomon/#respond Tue, 19 Mar 2024 14:19:21 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6380 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
今回の旅は「見事な裁き、ソロモンの審判を見にいく旅」

古代イスラエルの王、ソロモンはダヴィデ王の息子で、人々を守るため巨人ゴリアテを倒した勇者の子としても知られています。でもソロモンの真の偉大さは、彼の無比の知恵と公正さにありました。

見る絵画と言えばこの人ニコラ・プッサンが描いた「ソロモンの審判」を通じて、古代の裁きとその智慧を探りにいく旅です。

古代の裁き、ソロモンの智慧

物語は、ソロモン王のもとに赤ん坊の母親を自称する2人の女性が現れるところから始まります。

2人は同じ家で生活していて、ほぼ同時期に出産しましたが、悲劇的にも一人の赤ん坊が夜に亡くなってしまいます。生き残った子供は自分の子供も!!と主張する両者の前で、ソロモンは一つの試練を用意するのです。

ソロモンはどんな裁きを下すのか。見事な裁きを見てみましょう。

プッサンの解釈:物語を生きる絵

プッサンはこの古典的な物語を、緊張感溢れるシーンとして描いています。

場面は玉座と大理石の柱のある宮殿のような場所に多くの人が集まっています。どうなるのか気にかけて見ている人、背を向けて怖がっている人もいます。

真ん中の玉座にどんと座って、背筋を伸ばして座る姿勢から公正なソロモンが表現されています。

彼は兵士に赤ちゃんを半分に切り2人の母親で分けろと命じたのです。かわいそうな赤ちゃんは宙吊りにされています。

ソロモンはどうしてこんな命令を?

ソロモンの命令は赤ちゃんを殺すためではありません。どちらかが嘘をついているはずなので、女性たちの反応を見たのです。

プッサンの解釈を見ながら裁判の続きを見て見ましょう。

黄色い服を着た左の女性はソロモン王の方を向いて手を広げて赤ちゃんを殺さないで!と懇願している。殺されるくらいなら子供を手放すことになっても構わないととにかく必死な感じです。

ソロモンの審判は?

指を見て。懇願している女性を指差して、左の女性からは指を逸らしている。赤ちゃんを女性に帰すように命じたのです。

ソロモンはどうやって分かったのでしょうか?

右の女性は怒るように左の女性を睨み指で刺している。赤ちゃんがどうなろうと関係ないのです。

こうやって少し大げさな身振りで、プッサンは人物の感情を表現しています。彼は絵を描く前に小さなセットを作り、ろう人形に濡れた紙や薄い布で作った衣装をつけた登場人物を配置して、ポーズや構図や影も考えました。ギリシヤやローマの彫刻を描いたり、たくさんのデッサンをしたりして準備を重ねた上で絵を描いていました。

描かれた色からも分かります。ソロモンには目立つ上に威圧するような赤を着せ着重要な人物であることを表しています。左の真実を語った女性は明るい色服を、嘘をついた女性の暗い色の服とを対比させています。

フランス生まれのイタリアで活躍した画家

プッサンは1594年に生まれたフランス人の画家。フランスの美の基礎を作った画家としてとても尊敬されている画家です。

農業主として豊かな暮らしてしていた家で生まれたプッサンは、良い教育を受けた上で、親の期待を裏切って画家を目指すことになります。当時王立絵画彫刻アカデミーもないフランスでは、画家は芸術家より職人という扱いだったからです。

若い時当時の画家たちの憧れ、イタリアの巨匠たちの作品に影響を受けて、2度ほどローマを目指しましたが金銭的な事情から挫折。

その後パトロンのおかげでイタリアへ行きが叶い、活躍していく中でイタリアだけでなくフランスでも有名な画家になります。1640年にルイ13世の国王付き首席画家に。チュイリー宮殿の敷地に館が与えられるほど。

結局フランスには2年ほどしかおらず、家族もいる大好きなイタリアに戻りましたが、フランスに友人や顧客がいたことでプッサンの絵はフランス絵画にも影響を与えるのです。

イタリアに遅れること80年ほど。フランス王立彫刻絵画アカデミーが1648年に設立。そこに関わったのがプッサンのもとで学んだシャルル・ル・ルブランだった。

「感覚よりも知性に訴えるために、色彩よりもファルムと構成を強調するべきである」というプッサンの指針がアカデミーに採用されているのです。

プッサンの絵の中のソロモンが私たちに教えてくれること

プッサンが古典世界に強い憧れを持っていたように、この作品から私たちが教えられることは?

本当の母親を見極めるためにソロモン王が実行した方法。表面的な証言や見た目などではなくて、深い愛情や真実を知るには時には直感や心理的な洞察が必要であること。

パッとした見た目や、簡単、分かりやすくまとめられことではなかなか本質には辿り着けないと思うのです。

確かに今は検索したらサッと答えが出てくるけれど、自分の頭で考えて導き出したことや、自分で見つけたことって本当に馬鹿にできないくらい頭に残っているんです。普段から物事を丁寧に見ることや、考えることが大切なのでは。プッサンの絵は教えてくれています。

タイトル:ソロモンの審判(The Judgement of Solomon)
画家:ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin (1594-1665年))
制作年:1649年
所蔵館:ルーヴル美術館、パリ


Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/the_judgmento_of_solomon/feed/ 0
【絵を見る楽しさを教えてくれる本】安野光雄の旅の絵本II イタリア編 https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240314/ https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240314/#respond Thu, 14 Mar 2024 10:18:06 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6408 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
記事にプロモーションが含まれています

先日とっても素敵なプレゼントをもらいました。

安野光雄さんの『旅の絵本II』です。

この絵本は10冊のシリーズの世界の国を1冊にした絵本で、私がもらったのはイタリア。イタリアは私にとって美術の世界へと導いてくれた国。そのことを知って友人はイタリアをプレゼントしてくれました。

表紙にはどこの国か書いてないのですが、よく見て!畑が緑・白・赤の国旗になっています。

本の中に字はありません。絵をじっくりと楽しむ絵本なのです。

馬に乗った1人の旅人が、イタリア、トスカーナの緑の丘のように広がる風景から、次第に村へ街へとどんどん進んでいきます。ローマ、フィレンツェ、ヴェニスなどをめぐり、最後は他の国に向かうため海にたどりつくまでの旅です。

絵には新約聖書の場面や、有名な絵画、彫刻、建物などもわかりやすく、またさりげなくも登場します。私を特にワクワクさせてくれたのが、絵画の中から登場した人物たちが風景に馴染んで描かれているところです。他にも画家の姿らしきものも見えます。(これモネじゃない??というのを見つけちゃいました。他の画家もいるかな?)


子供でも絵だけでも十分楽しめるし、大人ならああこれは!と見つける喜びも与えてくれる、本当にどんな年代の人も、国籍も問わず楽しめる。

時代も中世からルネサンスや近代の雰囲気の箇所もあって、でも一つの世界観にまとまっている。

絵本ってこんな色々なこともできるんだとその奥深さにびっくりです。

英語のタイトルは『ANNO’S JOURNEY II』。これは安野さんの旅なんだですね・・・


他の国の本も欲しくなってしまった!!

ちなみに他には、中部ヨーロッパ、イギリス、アメリカ、スペイン、デンマーク、中国、日本、スイス、オランダがあります。


▼旅の絵本II (イタリア編)
https://amzn.to/3VirwvP

▼こちらは10冊セット。各巻より1場面ずつ、10枚の絵がデザインされた美装ケース入り。
https://amzn.to/3wQGT4K



Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240314/feed/ 0
イザベラ、またはバジルのの壺の世界を巡る旅ージョン・エヴァレット・ミレイ【365日絵のなかで旅をする】 https://cosinessandadventure.com/isabella_or_the_pot_of_basij/ https://cosinessandadventure.com/isabella_or_the_pot_of_basij/#respond Sun, 03 Mar 2024 00:21:24 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6382 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
今回の旅は、イザベラ、またはバジルの壺の物語の世界を旅します。
絵に描かれた物語の世界の旅は、私の大好きな旅。ミレイの絵はその楽しみを存分に伝えてくれます。

今回は残酷な恋物語ですが、美しい絵の中に暗示をたくさん配置しながら、複雑なストーリーを1枚の絵で伝えてくれています。

美しい壁紙の室内で食事を楽しむ人々。部屋からは青空の庭園が広がって庭園の景色も見える豊かなひととき……に見えますが、本当にそう?

白いタイツの男性の表情をよく見てください!睨みつけるような顔でテーブルの右側に座る男女を見て、足で犬を蹴ろうとしてる。

この険悪な雰囲気は何?


テーブルの右側に座っている男女、ロレンツォとイザベラは愛し合っています。でも自分たちの関係を秘密にしていました。

しかし2人の想いに気づいたのはフィレンツェの裕福な商人のイザベラの兄。イザベラの結婚相手には、同じように裕福な貴族をと計画していたので、自分たちの使用人ロレンツォとの交際は大反対だっのです。

怒りを2人にぶつける兄。

手にはくるみ割りの道具を力いっぱい握りしめて、歯を食いしばり、足でイザベラの犬を脅しているのです。

彼の隣にはの隣にも2人のの兄弟も座っています。こちらは落ち着いては見えますが、これからの起こる恐ろしい行く末を暗示しています。赤ワインの向こうに見えるイザベラとロレンツォを見つめ、何か思案しているようです。

これは、中世イタリア、ボッカチオBoccaccio (died 1375). の小説をもとにした詩人ジョン・キーツJohn Keats (1795-1821)の詩(イザベラ、またはバジルの壺)からテーマをとって描かれた絵です。

この物語の続きはどうなったと思いますか?

イギリスの画家、ジョン・エバレット、ミレイは、私たちにストーリーを示すための意味を込めたものをたくさん描きこんでます。 それはこれから起こる暴力的な暗示…

ロレンツォが持っているオレンジの乗ったマヨルカの皿には、ダビデが巨人ゴリアテを倒して首を切り落とした旧約聖書の場面が描かれています。

さらに平和の象徴の鳩の白い羽を引っ張るハヤブサの姿も。鳩はどうなったのか・・・

物語は続きます。
兄達はロレンツォを旅に同行させ、その途中で彼を殺害し埋めてしまうのです。

イザベラには彼に仕事を言い渡したと嘘をつく。ある晩全然連絡のないことを心配するイザベラの夢に、殺害されて埋められた自分を見つけてほしいと言うロレンツォの亡霊が現れます。

メイドを連れて彼を探し当てたイザベラは悲しみに打ちひしがれます。遺体を持ち帰るには重すぎる。切断した頭部を持ち帰り、鉢に埋めて隠しバジルを植えました。バジルはイザベラの悲しみの涙で成長していきます。

バジルの鉢への異常な執着が気になった兄達は、鉢を調べロレンツォの頭部を発見します。再びどこかへ埋めてしまい、深い悲しみの中イサベラも亡くなってしまいます…

あまりにも悲しい話です。


でも、ミレイはロレンツォとイザベラの愛の証も描きこんでいます。

オレンジは愛を象徴していて、差し出されたイザベラは平静を装っていますが、ロレンツォは彼女の顔を見ずにはいられない。抑えられない愛が溢れています。

2人の背景には、美しい青空とアーチがあって、ロレンツォの頭の上には白バラが、イザベラの上にはトロピカルの花で彩られているのです。



この絵を描いたミレイは、1848年に友人のダンテ・ガブリエル・ロセッテイ、ウィリアム・ホルマン・ハントたちと、ラファエル前派兄弟団を結成。

彼らの活動を駆り立てたのは、当時の美術アカデミーの教えではなく、イタリアルネサンスのラファエロの時代より前の美術に目を向けることでした、

そこに見出したのは、ルネサンスやバロック美術のように、華やかさ、躍動感、あざらかな筆の動きではなくて、単純さやより真実に近いもの。

ミレイは、”自分はラファエル前派兄弟団だ!”と宣言するために、PRB(Pre-Raphaelite Brotherhood)という文字を描きこんでます!

どこだかわかりますか?

イザベラが座っている椅子の足をよく探してみてください!!

タイトル:イザベラ、またはバジルの壺(Isabella,or the Pot of Basil)
画家:ジョン・エヴァレット・ミレイ(John Everett Millais)
制作年:1848ー49年
所蔵館:ウォーカーアートミュージアム、リパプール


Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/isabella_or_the_pot_of_basij/feed/ 0
サージェントの肖像画と衣装の切っても切れない関係を見に行きたい! https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240227/ https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240227/#respond Tue, 27 Feb 2024 08:37:27 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6366 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
私が肖像画を目の前にしたとき、まずざっと見るところは表情、ポーズ、そして衣装です。
衣装は、時代や階級が何となく理解できるというのも大きいけれど、豪華さや繊細さに目を惹きつけられるというのが一番の理由かも。

上に重ねた服から下の生地の柄が透けていてうっとりしたり、こんなすごい靴履いてたの?!と吹き出しそうになったり、豪華なジュエリーに誰からもらったんだろうと想像したり、衣装だけ見るだけでも十分に楽しめます。

肖像画家として大成功したアメリカ人画家のジョン・シンガー・サージェント。彼の絵は衣装が本当に本当に素敵なのです・・・

ロンドンのテート・ブリテンで見たこちらの絵。「グレーとグリーンのハーモニー:ミス、シシリー・アレクサンダー 」では、ドレスをデザインしたり、下に引かれているカーペットも自分でオーダーして描いたのだとか。

そんなサージェントのファッションに特化した展覧会がテート・ブリテンで始まったのです。

約60点の絵画と、絵にも描かれている実際に衣装も同時に展示して、サージェントの絵にとって服がどれだけ大切だったのかを探る展覧会。服装は個性やアイデンティティを作るという点でも大切だったようなので、上のミス・シシリーの絵のようにどんな工夫をしたのかも深く知れるわけです。

私は彼が素材の違いをどのように描き分けているのかそんな細部にも注目したいなぁ。

サージェントの代表作の「マダムX」はニューヨークのメトロポリタン美術館からやってきて、テートにある下絵と一緒に並べられているみたい。(この記事の画像に使ったのがその下絵です)

この作品が発表されたとき悪い意味で話題になりました。右肩のストラップが肩から外れている上に、この挑発的にも見えるポーズ。肌の白さと細い腰、体はこちらに向けているのに顔は完全に向こうを向いている。
私には完璧な美を見せつけられているように見えるのですが・・・笑

そんなこともありサージェントはストラップを修正しています。たしかにテートの下絵を見ると右肩のストラップ描かれていないですね。

この絵の女性、ヴァージニー・アメリー・アヴェニョ・ゴートローはフランスの社交界で有名な女性。サージェントは描かせてもらえば成功に繋がるとお金を受け取ることなく肖像画を描いたそうです。当初の想いとは違った形で名声を得たのかも知れないけれど、この絵は本当に美しいです。

と見たい欲は高まりますが行けそうにないので、オンラインイベントがあれば参加したいし、カタログを購入しようかな。

展覧会名: 「Sargent and Fashion」
開催日: 2024年2月23日から2024年7月7日まで
美術館: テート・ブリテン(ロンドン)
展覧会のページ:https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/sargent-and-fashion

こちらの記事では展示される作品の画像がたくさん掲載されているのでより展覧会のイメージが伝わるかも。




Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/art-diary-20240227/feed/ 0
ネットラジオ「365日絵のなかで旅をする」をスタート https://cosinessandadventure.com/standfm-365paintings/ https://cosinessandadventure.com/standfm-365paintings/#respond Tue, 20 Feb 2024 02:22:53 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6343 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
standfmという音声配信アプリ内でラジオ番組を始めました。

実際には昨年からスタートしていたのですが、一時中断していたので今月から再スタートとなります。
ブログにもシリーズで書き始めた「365日絵のなかで旅をする」の記事を元にして、そこから2人で絵の中に入り込むように旅をするトーク番組です。

お相手をしてくれているのは、海外を旅したい理学療法士でもあるmikiさん https://www.instagram.com/miki.katou.oz/
放送時間は、毎週月曜日の22時。
のんびりとしたトークと絵の中の世界をリラックスした雰囲気で楽しんでいただけると嬉しいです。

取り上げるのは西洋絵画ですがリラックスして聴いていただきたいので、想像したら怖くなるような物語を含むような絵は避けた方が良さそうですね。夢に出てきそう・・・笑


描かれている人たちが何をしているのか気になる!
どんな服を着ているの?どんな会話をしているの?
そのようなことに想像を膨らましながら、トークをしています。

絵の詳しい解説というものではなく、絵から少し離れた雑談も含め、絵画の鑑賞の楽しみが伝わると嬉しいです。

私の趣味の1つに海外の美術館のサイト巡りがあります。所蔵作品がオンラインで検索でき、作品の写真を拡大して見るだけでなく解説や補足情報も充実していてとても楽しいのです。そこで見つけたあまり知られていないような絵もご紹介していきます。

#1「ヨーロッパで流行したトルコドレスを見に行く旅」

第1回目の放送は、『ヨーロッパで流行した トルコドレスを見に行く旅』

18世紀、トルコ趣味がヨーロッパ全土を席巻し、宮廷でも祝宴でもトルコ衣装が着用されるほど。スイスの画家ジャン=エティエンヌ・リオタールが描いた絵には、流行したトルコドレスを着た女性が描かれています。着心地の良さそうなパンツとローブ。鮮やかな色彩の絨毯など、エキゾチックな世界を楽しみます。

【絵のなかを旅する】ヨーロッパで流行したトルコドレスを見に行く旅 - アートと歴史・YOKO | stand.fm
【絵のなかを旅する】ヨーロッパで流行したトルコドレスを見に行く旅 - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm

▼この放送の元になっているのは下記の記事です。


#2「400年前のフランスのストリートミュージシャンの喧嘩をのぞきに行く旅」

第2回目の放送は、「400年前のフランスのストリートミュージシャンの喧嘩をのぞきに行く旅」

今日の絵をよく見ると、手前にいる2人の男性が向き合って何か揉めているように見えます。 1人は笛のようなものをぎゅっと高く持っていて、左の男性が前に出てこないように制止しています。
もう1人は右手にナイフを持っている。危ない。 すごく気になるのは高く上げられた右手。
 彼らは何をしているの??

絵の中を旅する・400年前のフランスのストリートミュージシャンの喧嘩をのぞきに行 - アートと歴史・YOKO | stand.fm
絵の中を旅する・400年前のフランスのストリートミュージシャンの喧嘩をのぞきに行 - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm

▼放送の元になっているのはこちらの記事です。


#3「400年前のイタリアの子供たちが猫をからかっている日常を見に行く旅」

第3回目の放送は、『400年前のイタリアの子供たちが猫をからかっている日常を見に行く旅』

今日の絵は子供たちと猫が仲良く遊ぶ微笑ましい絵・・・ではありません!!
この子たちが何をしているのかよく見てください。
そして彼らの仕草や表情を・・・

兄妹なのかな、男の子と女の子の2人が猫をからかっているのです。そうわかると絵の見え方が一気に変わってしまう。優しく支えているように見えている手が、猫が動かないように抑えている手なんだと気がつくとショックですね 笑

まだ日常の風景の絵が珍しかった時代の絵を楽しんでください。

絵の中を旅する・400年前のイタリアの子供たちが猫をからかっている日常を見に行く - アートと歴史・YOKO | stand.fm
絵の中を旅する・400年前のイタリアの子供たちが猫をからかっている日常を見に行く - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm

▼放送の元になっているのはこちらの記事です。


「365日絵のなかで旅をする」舞台裏

番組の舞台裏として、この番組を始めた理由やどんなことを考えて放送しているのかをお話ししています!

絵をどう見たらいいの? 絵を見るって難しい・・・ そんな方に絵を見る面白さを伝えたい! そして番組を”絵”と”旅”のテーマにしたのは、かしこまらずに絵の世界に入って旅するように楽しむ見方をご紹介したいから。 旅をすることと絵を見るって共通点があるんです!

【365日絵のなかで旅をする】舞台裏 - アートと歴史・YOKO | stand.fm
【365日絵のなかで旅をする】舞台裏 - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm


#4「イギリスのおしゃれな男の子がバドミントンをしているのをのぞきにいく旅」

第4回目の放送は「イギリスのおしゃれな男の子がバドミントンをしているのをのぞきにいく旅」

今回の絵は、英国の王族の肖像も手がけるような一流の画家が描いた、8歳くらいの少年が主役。少年が持っているのは、鮮やかな赤いラケットと羽根。実はこの「バドミントン」というスポーツが一般に知られるようになるのは、絵が描かれてから約100年後のこと。その起源は、イギリスのある貴族の邸宅から始まったこと知ってましたか?この絵を通じて、バドミントンの歴史へ、そして大きな羽飾りの帽子をかぶり遊ぶ少年の姿からは、当時の子どもたちの日常や流行、そして純粋な遊び心を想像しにいきます。

※トークの中でバドミントンが誕生したお屋敷「バドミントン・ハウス」について見に行くことができます・・・と言ってますが、一般者は建物内を見学することはできません。庭園は年に数回公開されているようです。ここで訂正させていただきます。

絵のなかで旅をする・おしゃれなイギリスの男の子がバドミントンをしているのを・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm
絵のなかで旅をする・おしゃれなイギリスの男の子がバドミントンをしているのを・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm

▼放送の元になっているのはこちらの記事です




Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/standfm-365paintings/feed/ 0
「レイフ・エリクソン、アメリカを発見する」”幸運なレイフ”の新大陸発見の旅【365日絵のなかで”旅”をする】 https://cosinessandadventure.com/leiv-the-lucky/ https://cosinessandadventure.com/leiv-the-lucky/#respond Tue, 13 Feb 2024 04:34:14 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6328 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
今回の旅は1000年以上前の、新大陸発見瞬間への時間旅行。

絵の中では今まさに、レイフ・エイリークソン一が、北アメリカの東海岸の大陸を目にして、指を指して同行者たちに知らせている瞬間の場面です。左の方に確かに陸地のようなものが見えています。船は荒波の上で激しく揺れていて、空もどんよりしていますが、目指す場所は明るく輝いて見えている。

船から乗り出して見ている少年の足元には侵入した水も激しく動いている様子が。その背後には陸地を見ようと駆け上がる男性の姿も。船の中の興奮と荒波が発見瞬間をドラマチックに演出してる。

980年アイスランド生まれのレイフ・エイリークソンは、父が作ったグリーンランドにあるヨーロッパ人コミュニティーで育ちました。ノルウェーでオーラフ1世に謁見しキリスト教に改宗、布教するように指示を受けます。

その後グリーランドに戻る途中アメリカ大陸を発見するわけですが、そこには諸説あるようで、航路を外れてしまってそれでは新しい土地を探そうとしていたら偶然に辿り着いた。または、別の船乗りから北アメリカの新しい土地について聞いてその場所を目指したなどがあります。

彼らが辿り着いた正確な場所はわかっていないようですが、ラブラドールというカナダの北東部に位置する地域から、チェサピーク湾というアメリカ合衆国の東海岸にある港のあたりだとか。

彼と仲間たちは上陸した場所にヘルランド(石が平たい場所)、マークランド(森のある場所)、ヴィンランド(ぶどうが育つ場所)と名もつけています。

レイフの父はノルウェー人で、殺人をおかしアイスランドへ、その後事件をおこしまた追放。西に向かううちに新しい国「グリーランド」を発見。《赤毛のエイリークのサガ》というレイフの父の物語もあります。

親子で新大陸を発見なんて!!

Leiv Eiriksson Discovers America, Christian Krohg image CC BY4.0 courtesy of Nasjonalmuseet

さらにこの絵にはまだ海を超えた物語があります。

ノルウェーの画家、クリスチャン・クローグは、1891年にこの作品をアメリカのシカゴのレイフ・エリクソン記念協会(ノルウェー系アメリカ人によって設立された組織)から委託されました。その委託はコンテストで、中世アイスランドのサガと呼ばれる物語集に描かれているレイフ・エリクソンのアメリカ発見を描くというもの。コンテスト優勝者は1893年のシカゴ万国博覧会に展示されるのです。

クローグの絵は優勝、ヴァイキング船のレプリカ「ヴァイキング」と一緒に展示されました。

現在絵はこのオスロの国立美術館にありますが、クローグの息子、ペール・クローグによって制作されたこの絵のコピーがアメリカ合衆国議会議事堂に掛けられているそうです。

タイトル:レイフ・エイリークソン、アメリカを発見する(Leiv Eiriksson Discovers America)
画家:クリスチャン・クローグ(Christian Krohg(1852-1925))
制作年:1893年
所蔵美術館:オスロ国立美術館

レイフ・エイリークソンは”幸運のレイフ(Leiv the Lucky”)と呼ばれているのだそうです。それは北米大陸を「発見」し、無事に帰還したことから来ています。ヨーロッパ人として初めて北米の地を踏み、新しい土地との遭遇を生き延びた人物。

「幸運」には、未知の海域を航海し、未踏の土地に上陸するという大胆な冒険を成功させたことだけじゃなく、航海中の多くの自然の危険や困難を克服したことも含まれているのだと感じます。

(参考)

https://www.nasjonalmuseet.no/en/collection/object/NG.M.00558
https://www.govinfo.gov/content/pkg/GPO-CDOC-107sdoc11/pdf/GPO-CDOC-107sdoc11-2-36.pdf

Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/leiv-the-lucky/feed/ 0
ウィリアム・ビーチーの「シャトルコックで遊ぶケネス・ディクソンの肖像」【365日絵のなかで旅をする】 https://cosinessandadventure.com/badminton/ https://cosinessandadventure.com/badminton/#respond Mon, 05 Feb 2024 14:13:44 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6301 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
今回の旅は肖像画の中の人々と出会う旅。肖像画に描かれた少年とバドミントンの歴史を見にいきます。

絵の中の少年、こんなに素敵な衣装をつけてバドミントンをして遊んでます。
しかも真っ赤なラケットに、羽の先端も同じ色。
なんだか目が離せなくなりこの絵を選んでしまいました。

ということで、今回はバドミントンの歴史を旅します!

絵のタイトルについている「shuttlecock」。これはバドミントンで使用される羽根つきの球(羽球)を指します。shuttlecockは、通常、羽根と軽い重り(たいていはコルク)でできています。

シャトルコックの起源は数世紀前にさかのぼり、中国、ギリシャ、インドの古代文明にまで遡ります。初期の頃、シャトルコックはコルクや木製のベースにアヒルやガチョウの羽を取り付けることで作られていました。中国では「蹴鞠」として知られる蹴るゲームとして、紀元前5世紀からプレイされていました。このゲームはアジア全土に広がり、8世紀の奈良時代には日本で「羽根突き」として知られるようになりました。

16世紀後半にヨーロッパで「羽根とバトミントンラケット」として知られるようになりましたが、フランスでは「Jeu de Volant」(飛ぶゲーム)と呼ばれ、小さな手のパドルを使ってプレイされていました。このゲームは社交ゲームとして、ネットで分けられることなく、プレイヤー同士でシャトルコックを行き来させることによってプレイされていたようです。

今私たちが知っているバドミントンは、英領インドで形が作られました。1863年帰国したイギリス軍の将校が”バドミントン・ハウス”で、新しいバージョンを紹介したことが名前の由来となっています。最終的に1893年のイングランド・バドミントン協会が設立され、人気になるにつれてシャトルコックはさらなる改良を遂げました。

現在もボーフォート公爵と公爵夫人の邸宅であるバドミントン・ハウスのエントランスホールのサイズは、コートの寸法と同じなんだそうです!!


では、絵に描かれているものもちょっと見てみましょう。

おもちゃの銃、ポニーの鞭のように見えるもの、そして羽根とバトミントンラケットに囲まれています。すべて赤いですね。何か意味があるのだろうか・・・

これらは、18世紀末の裕福で健康な若い子供が、屋外で遊ぶことを楽しむ活発な子であることを表しているのだとか。

しかし少年は、マリー・アントワネットによって人気がヨーロッパ中に広がったフランスファッションを着せられています。大きな羽の帽子にカーリーへア、フリルの襟に背中のリボン、服も靴もタイトそうで野外で活発に遊ぶのには苦しそうに見えるけど。

この頃は、教育観や社会における子供たちの位置付けが変化した時期でした。伝統的に、特に高貴な家庭の子供たちは、家族の地位や権力を象徴する形で描かれました。でも、遊んだり、学んだり、自然の中で過ごしている普段通りの様子が描かれるように変化していきます。

タイトル:シャトルコックで遊ぶケネス・ディクソンの肖像(Portrait of Kennett Dixon playing shuttlecock)
画家:ウィリアム・ビーチー(William Beechey(1753-1839)
制作年:1788-1792年
所蔵美術館:デンマーク国立美術館


_________________________________

このブログ記事「365日絵のなかを”旅”する」を元にした音声配信もスタートしました。
放送時間は、毎週月曜日の22時。
のんびりとしたトークと絵の中の世界をリラックスした雰囲気で楽しんでいただけると嬉しいです。

絵に描かれた場所に行ってみたい!
描かれている人たちが何をしているのか気になる!
どんな服を着ているの?どんな会話をしているの?

そのようなことに想像を膨らましながら、トークをしています。
絵の詳しい解説というものではなく、絵から少し離れた雑談も含め、絵画の鑑賞の楽しみが伝わると嬉しいです。

絵のなかで旅をする・おしゃれなイギリスの男の子がバドミントンをしているのを・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm
絵のなかで旅をする・おしゃれなイギリスの男の子がバドミントンをしているのを・・ - アートと歴史・YOKO | stand.fm

stand.fm


Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/badminton/feed/ 0
ブリュージュの寄進者ーハンス・メムリンクの描くポルティナーリ夫妻の肖像【365日絵のなかで旅をする】 https://cosinessandadventure.com/bruges-donor-portraits/ https://cosinessandadventure.com/bruges-donor-portraits/#respond Mon, 05 Feb 2024 09:04:43 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6243 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
今回は、夫婦の肖像画から、550年前のブリュージュの裕福な銀行家、そして寄進者の世界を旅したいと思います。

▼前回の「キリストの受難」の絵の下には、寄進者の肖像が描かれていたことを少しご紹介しました。

描かれている人物、トンマーゾ・ディ・フォルコ・ポルティナーリ(1428-1501)は、フィレンツェの名だたる家系出身。彼はブルージュのメディチ銀行の支店長になるためにブルージュへ移住しました。
一緒に描かれているのは1470年ごろトンマーゾガ42歳のころ結婚したマリア・マッダレーナ・バロンチェッリ(本名マリア・ディ・フランチェスコ・バンディーニ・バロンチェッリ)。年の差約28歳。フレンツェの名家出身のマリアは14歳でした。

彼らはブルージュでも豪華な建物ブラデリンホフで生活。この場所は、1435年にピーター・ブラデリンによって建設された中世の都市宮殿。ブルージュの中心部に位置していて、その後メディチ家の所有となり銀行業務が行われていました。建物には初期ルネッサンスの彫刻を含むイタリアの影響を受けた外観が残っています。1600年代後半には、カルメル会修道女の修道院として使用されています。

▼トンマーゾのビジネスオフィスでもあり、家でもあったこのブラデリンホフがどのような建物だったのかはこちらのサイトから見ることができます


ポルティナーリはは当時ブルージュで非常に流行していた改革派オブザーバント派フランシスコ会の強力な支持者であり、パトロン。宮廷とのつながりも深い人物。ブリュージュのエリート社会、宮廷の人々、外国商人、貴族、著名なの芸術家などから成り立つ信心会の会員でもありました。

改革派オブザーバント派フランシスコ会とは、フランシスコ会内で起こった宗教改革運動。14世紀末から15世紀にかけて始まり、より厳格な貧困の実践とフランシスコ会の創設者である聖フランチェスコの原初の教えへの回帰を目指しました。当時のフランシスコ会が富を蓄え、世俗化していく中で、元の精神的な理念に立ち返ろうとする修道士たちによって推進されました。

そしてブリュージュは当時、商業の中心地としてだけでなく、芸術と文化の中心地としても栄えており、芸術家たちにとって豊かな創作活動の場となりました。

このような中、芸術家たちは、宗教的主題を扱いながらも、人間の感情や神聖な存在への個人的な関わりを表現することで、宗教改革の精神を反映していたのかもしれません。テーマは単なる教義の伝達手段ではなくて、観る者の心に訴えかける感情的な体験を伝える手段。

当時ブリュージュで最も人気のあったハンスメムリンクに作品を依頼した。

前回の絵「キリストの受難」は大きさからは祭壇画ではなさそうですが、ポルティナーリが与えられていた聖ヤコブ教会の礼拝堂用に描かれていたのかもしれないとも考えられているようです。

Tommaso di Folco Portinari and Maria Portinari, image courtesy of The Metropolitan Museum of Art

さて、もう少しトンマーゾの人生を見てみましょう。

約1440年、たった12歳の頃にブルージュのメディチ銀行で働き始めました。フィレンツェのメディチ銀行トップのコジモ・デ・メディチの反対などもあり昇進はとってもゆっくりでした。支店長になったのは25年後。37歳ごろになっていたわけですね。
これが遅いのか早いのか、現在と比較してもよくわかりませんが、当時の寿命や若くから働いていることを考えるとかなり遅かったということなのでしょうか。

同じ頃、トンマーゾはブルゴーニュ公国のフィリップ公、その後を継いだ息子のシャルル公からも信頼を得て、宮廷でますます特権的な地位を持ち、外交事務に参加していきます。

ブルージュのメディチ銀行の在職中、シャルル大胆公に大規模で極めてリスキーな無担保融資を行い、結果それが完全に返済されることはなく、最終的には銀行の崩壊につながりました。ブルージュ支店は1480年に閉鎖され、1497年にトンマーゾと彼の妻はフィレンツェに戻り、彼は1501年に亡くなりました。

▼こちらの絵じっくりと近づいてみると本当に素晴らしいので、美術館のサイトでズームアップしてぜひ見てください!

Hans Memling | Tommaso di Folco Portinari (1428–1501); Maria Portinari (Maria Maddalena Baroncelli, born 1456) | The Metropolitan Museum of Art
Hans Memling | Tommaso di Folco Portinari (1428–1501); Maria Portinari (Maria Maddalena Baroncelli, born 1456) | The Metropolitan Museum of Art

<b>The Artist:</b> For a biography of Hans Memling, see the Catalogue Entry for <i>The Annunciation< ...

www.metmuseum.org


タイトル:トマソ・ポルティナーリとマリア・バロンチェッリ(Tommaso di Folco Portinari Maria Portinari )
画家:ハンス・メムリンク(Hans Memling (1430ごろ-1494年)
制作年:1470年ごろ
所蔵美術館:メトロポリタン美術館、ニューヨーク


Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/bruges-donor-portraits/feed/ 0
ハンス・メムリンクの描く「キリストの受難」-希望と赦しの旅【365日絵のなかで旅をする】 https://cosinessandadventure.com/hope-and-healing/ https://cosinessandadventure.com/hope-and-healing/#respond Mon, 05 Feb 2024 09:04:04 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6241 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
キリストの受難のストーリーを一枚の絵画で見せている絵があります。
15世紀にフランドルで活躍した画家ハンス・メムリンクの描いた「キリスト受難」です。
ずいぶんと大きな絵なのでは?と思われますが、縦56.7x横92.2cmという想像するより小さいサイズ。
その中にびっしりと描かれているのは、キリストがエルサレムに入場するところから始まり、復活までの物語。

この絵を希望と赦しの旅としたのは、メムリンクの絵はある特定のエピソードに焦点を当てているのではなく、全体でキリストの復活の意味や重要性を気づかせてくれたからです。

描かれているのは23のエピソード

Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

この絵にはなんと23のエピソードが描かれています。


1. キリストのエルサレム入城       
2. キリストと両替商           
3. ユダの裏切り            
4. 最後の晩餐         
5. ゲッセマネの園の苦悩        
6. キリストの逮捕 
7. ペテロの否定            
8. ポンテオ・ピラトの前に立つキリスト  
9. キリストの鞭打ち 
10. ピラトの2度目の尋問        
11. 茨の戴冠              
12. エッケホモ 
13. 十字架の制作           
14. 十字架を背負うキリスト
15. 十字架への釘打ち         
16. 磔刑               
17. 十字架からの降下
18. キリストの埋葬          
19. 地獄の責め苦
20. 復活              
21. ノリ・メ・タンゲレ         
22. エマオへの道         
23. 奇跡の漁り(すなどり)


さて、絵はどこから見ていくのでしょうか?

右には太陽が見えて光が当たっていて、左は暗い夜の世界が広がっています。
左の松明の明かりと細い路地から、少しづつ最も過酷な出来事へ進んでいくようになっています。

ではわかりやすいようにブロックに分けて説明していきます。

エルサレム入場から最後の晩餐

detail image Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

ガリラヤで宣教活動をしていたキリストはエルサレムへ入ります。ロバに乗ってイスラエルの王として。

キリストのエルサレム入城は左上からスタートします。

そこから右の方へ目を向けるとダブルアーチの下で何やら騒動が起こっています。これがキリストと両替商
キリストは神殿に入っていき神殿内で売買しているものを追い出す。誰も神殿を通り抜けて器物を運ぶことも許されなかった。「「わたしの家はすべての民のための祈りの家と呼ばれるべきである」と書かれているではないか。ところがおまえたちはそれを強盗の巣にしてしまっている」と。商人だけでなく彼らの商売を組織監督し、利益を吸い上げて私腹を肥やしている貴族、祭司階級が民衆の信仰心を利用して財貨を奪う奇妙な体制を断罪した。群衆がキリストの教えに感嘆した。真意を突かれた上に、彼の言動は神殿の存在を根拠付けている律法をも否定するとして、司祭階級、律法学者たちも放置することができなくなった。

その下の建物の中で、ユダによる裏切りが起こっている。

左下で最後の晩餐へとつながっていきます。

ゲッセマネの園の苦悩からキリストの逮捕

ゲッセマネの園(オリーブ山)でキリストが天に向かって祈る中、見張りのペトロ、ヤコブ、ヨハネは眠ってします。ゲッセマネの園の苦悩

ユダの接吻を受けてついに捕らえられる。その横ではペテロが逮捕者の耳を切っている。キリストの逮捕

小さいスペースに描かれていますが緊迫した状況が伝わってきます。

ペテロの否認から十字架の作成

城壁の中の場面では多くのエピソードが集まっています。

まずは左のペテロの否定。弟子であるペテロはキリストが逮捕されたときに自分は関係ないと3度否認します。3度目の否認のときに鶏が鳴くのを聞きペテロはかつて師に言われた言葉を思い出し泣きます。「あなたは鶏が鳴く前に3度私を知らないと言う」と。ペテロの上には鶏も姿が見えます。

キリストは、玉座に座るピラトの前に連れてこられます。ポンテオ・ピラトの前に立つキリスト

身ぐるみ剥がされ、パネルの中央で鞭打ちされるキリスト。誰だかわかるように前の敷居には濃紺のローブがかけられています。キリストの鞭打ち。

ここで2つの場面を飛び越えて、さらに右側のピラトの2度目の尋問を受けます。

その後、キリストが衣を部分的に着て座り茨の冠を被せられます。茨の戴冠

ここで一つの重要な場面はエッケホモ(見よ、この人を)。キリストが前に連れ出され民衆によって死刑を宣告される。

鞭打ちの場面の前の庭では、2人の男が十字架をつくっている。十字架の制作

十字架を背負うキリスト

detail image Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

場面は城内を出ます。
十字架を背負うキリストは重みで膝をつく。行列は町を去っていく。シモンが十字架を支えて助けている姿が見える。その背後には聖母マリア、ヨハネ、マグダラのマリアの姿も見える。行列の後ろには馬に乗ったピラトもついてきており、前方には手を後ろに縛られた2人の盗賊もいる。

十字架への釘打ちから十字架からの降下

detail image Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

ゴルゴダの丘では3つの場面が描かれています。

十字架への釘打ち。地面に置かれた十字架に釘付けにされています。

磔刑。2人の罪人とともに十字架上で死んでいく。頭上の空が不気味に黒く染まっています。影なのか血なのか丘の上もドス黒い色になっている部分が。

右には十字架からの降下されるキリスト姿と崩れ落ちるマリアの姿や支えるヨハネの姿も見えます。

キリストの埋葬から奇跡の漁り

detail image Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

白い布で包まれたキリストが埋葬されている。キリストの埋葬

次は右下の地獄の責め苦。キリストは〈埋葬〉と〈復活〉の間に〈リンボ〉に降り,福音をもたらす以前に生きた正しき人々を救い出して,天国に連れのぼります。リンボとは地獄と天国との中間にある霊魂の住む場所。キリストは赤いローブ姿に変わり、上部に十字架の付けられた杖を持っている。

復活のストーリがここから始まる。墓の前の衛兵は眠っている中、キリストが墓の入り口に立ち復活しました。

上に目を向けると復活したキリストに呼びかけるマグダラのマリアの姿が。ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)

ここからは遠くの遥か彼方に見えているエマオへ道でキリストは突然現れている。エマオへの道

奇跡の漁りでは、遠くのガリラヤ湖畔で師弟たちの前に姿を現す。船と海岸線に立つ人影が見える。
この奇跡の漁りは、使徒たちがガリラヤ湖で魚がとれず苦労しているところにイエスが現れて、網をもう一度投げるように指示すると大量の魚が取れる奇跡が起こったというものです。この奇跡は2回起こっていて、最初はイエスの伝道の初め頃のこと。この出来事でペテロ、ヤコブ、ヨハネがイエスの弟子となります。この時はイエスが一緒に船に座っています。
2回目はイエスの復活後で岸辺に立っている姿で表されます。

謙虚な姿でエルサレムに入り、イエスの教えがあり、排除されるところへ繋がっていく。悲劇で残酷な行為がありますが、イエスの成し遂げたことによってすべての人が救われ回復させられると気がつかされました。
ペテロは一度キリストを裏切り否認します。でもガリラヤの湖で復活したキリストの姿を見つけ海に飛び込み彼の元に向かいます。

イギリスで西洋美術史を学んでいるとき、苦労したのが宗教観がなかなか理解できなかったことです。頭ではなんとなく理解していても実はちっともわかっていない。もちろん今も大して変わっていないのかもしれませんが右上には太陽が姿を見せていて希望と癒しがあるのだと感じることができました。

detail image Memling, Hans The Passion. image courtesy of Turin, Galleria Sabauda

絵の下部の右と左端にはこの絵を依頼した2人の人物の祈祷姿の肖像画も描きこまれています。
次回はこの2人についてご紹介します。


▼絵をじっくりと見ていたい方は美術館のサイトもおすすめです。拡大して見ることができます。
本当に細部まで描きこまれた作品です。建築の描き込みも素晴らしいし、何より物語が見てすぐわかるように細かいところまで手を抜いていません。絵を読むことの素晴らしさを実感させてくれる絵です。


タイトル:キリストの受難(Scenes From Passion of Christ)
画家: ハンス・メムリンク(Hans Memling (1430ごろ-1494年))
制作年:1470年ごろ
所蔵館:サバウダ美術館、トリノ





Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/hope-and-healing/feed/ 0
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ大聖堂/ヴェネツィア【365日絵のなかで”旅”をする】 https://cosinessandadventure.com/madonna-della-salute/ https://cosinessandadventure.com/madonna-della-salute/#respond Sun, 28 Jan 2024 02:04:47 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6225 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーはイギリスを代表する風景画家。ロンドンで生涯の大部分を過ごしているけれど、イタリアには1819年、1833年、1840年と3回旅をしています。

画家にとってやはりイタリアは行ってみないといけない場所なのです。

旅行をして戸外でスケッチすることが習慣だったので、イタリア滞在中も道具を持ってあちこちと動きながらスケッチをしているターナーを想像してしまいます。


絵を見てみると、目の前にはヴェネッツィアらしいたくさんの船が浮かぶ、カナル・グランデと言われる大運河が広がっています。そして右手に見える白く美しい建物はサンタ・マリア・デッラ・サルーテ大聖堂(Basilica di Santa Maria della Salute)。白いイストリア石の外観は、光が反射して、運河や青い空に映える姿は本当に美しくてヴェネッツィアの見どころの一つです。

名前には、この教会が建てられた意味がしっかりと刻み込まれています。

Basilica di Santa Maria della Salute

  • Basilica (バシリカ): 元々はローマ時代の公共建築物の形式を指していましたが、キリスト教の文脈では、特に重要な教会や礼拝堂を指すために使われる称号です。一般に、大きな、格式高い教会を意味します。
  • di (ディ): イタリア語で「の」という意味。
  • Santa (サンタ): 「聖なる」や「聖」という意味の形容詞で、女性名詞に対して使われます。「Saint」の女性形。
  • Maria (マリア): マリアとは、キリスト教におけるイエス・キリストの母の名前です。英語の「Mary」に相当します。
  • della (デッラ): 「di」(の)と「la」(定冠詞「the」の女性単数形)が結合した形で、「~の」という意味を持ちます。
  • Salute (サルーテ): 「救済」や「安全」を意味します。

ちょっとイタリア語講座のようになってしまいましたが、”救済の聖母”という、ヴェネツィアを疫病から救った聖母マリアに捧げられているという意味が込められているのです。

1630年から1631年にかけてヴェネツィアを襲ったペスト(黒死病)は、ヴェネツィアの人口の約4分の1を死に至らしめる大惨事でした。当時、ヴェネツィアのドージェ(最高の公職)ニコロ・コンタリーニはこの疫病からの救済を聖母マリアに祈願しました。聖母マリアがヴェネツィアを疫病から救ってくれたなら、彼女に捧げる教会を建設するという誓約をしました。

ペストが終息した後、この誓約を果たすために、バルダッサーレ・ロンゲーナという建築家が設計したこの壮大な教会の建設が始まりました。教会は1681年に完成し、その設計はヴェネツィアのバロック建築の最高傑作の一つとされています。

毎年11月21日には「サルーテの祭り」が開催され、ヴェネツィアの人々はこの教会を訪れて聖母マリアへの感謝を表します。

Venice, from the Porch of Madonna della Salute, image courtesy of The Metropolitan Museum of Art


タイトル:ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む 
     (Venice, from the Porch of Madonna della Salute)
画家: ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner(1775-1851)
制作年:1835年ごろ
所蔵館:メトロポリタン美術館、ニューヨーク


Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/madonna-della-salute/feed/ 0
ホッベマの遺したミッデルハルニスの並木道【365日絵のなかで"旅"をする】 https://cosinessandadventure.com/middelharnis/ https://cosinessandadventure.com/middelharnis/#respond Sat, 27 Jan 2024 06:36:58 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6195 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
ミッデルハルニス(Middelharnis)は、オランダ西部のグーレーオーフェルフラッキー島にある町。

ホッベマはそのミッデルハルニスのアルダー(カバノキ科ハンノキ属の広葉樹)の並木道を描いています。並木道の絵というとこの絵がすぐに頭に思い浮かぶくらい、のどかな田舎道の風景をこんなにも印象的にしているのはなんなのだろうう。

やっぱりまずは、絵の前に立つと自分も前にずっと続く道を歩いているような気分にさせる、遠近法。絵に奥行きと立体感をもたらす技術の”一点消失遠近法”です。

これを使うと、平面の紙の上でも物が遠くにあるように見えるように描くことができます。どうやっているのかというと、まっすぐな道の両側の線は遠くに行くほど近づいていき、最終的には一つの点で交わります。実際には道はまっすぐに伸びていますが、紙の上では遠くに行くほど狭く見えるため、奥行きが感じられるのです。全ての線が一つの点に向かっていくように描き、この点を「消失点」と言うために”一点消失遠近法”と言われています。

視線は、並木道とそれに接する水を湛えた堤防で、絵の中心へと誘導される。細く伸びた木が力強く空に向かって伸びているので、目が自然と広大な空へと導いてくれる

そして丁寧に構成された色々なものがもっと風景の中に引き込んでいきます。それらは当時のオランダの生活を知る手がかり。スペインからの独立後、土地の開墾、商業、誠実な労働に重点を置いたオランダ共和国。特に17世紀前半のオランダは、海外との貿易の展開と共に、国内での干拓や運河の整備や園芸農業が盛んに。風車のあるオランダの風景はこの頃に出来上がったのだとか。ガラス工芸、毛織物、造船、醸造、印刷も盛んでした。

右手遠くに見えるのは船のマスト。
左手には尖塔のある教会が見えている。

detail of The Avenue at Middelharnis

果樹園に水を運ぶ溝。
ナイフで剪定している男性も。

detail of The Avenue at Middelharnis



荷車の通った跡が見える道。
犬を連れて銃を持って歩いてくる男性。左手の雑木林は狩猟所となっているのでそちらに向かっているのかも。

detail of The Avenue at Middelharnis

ホッベマの人生は当時のオランダのように華やかなものとは違ったようで、大工の息子として1638年生まれて、15歳の時に弟や妹と一緒に孤児院に預けられている。そのあとオランダの風景画家ヤーコプ・ファン・ロイスダールに弟子入り。

結婚と同じ頃輸入ワインの計量を行うワイン醸造技師になっている。そうして画家の仕事は減っていく。

代表作のこの絵は、画家活動をストップして20年後に描いた作品。その数年後に妻の2人の子供が亡くなり、最終的にホッベマは貧民の墓に埋葬されるようになった。なんだか寂しい最後です。

The Avenue at Middelharnis, image courtesy of National Gallery, London

ミッデルハルニスの並木道 (The avenue Middelharnis)
画家: メインデルト・ホッベマ(Meindert Hobbema(1638-1709))
制作年:1689年
所蔵館:ナショナル・ギャラリー、ロンドン



現在ミッデルハルニスは家や建物が建ち並んで、風景は様変わりしています。並木道があった場所も住宅街の道路のようになっていて面影などなさそう。でもGoogle Mapで見るとホッベマ通りという名前のある道が見つかったり、素敵なゲストハウスもあって、いつか行ってみたいと思う場所の一つです。



Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/middelharnis/feed/ 0
コンスタブルの描くワイブンホー・パークの昼下がり【365日絵のなかで”旅”をする】 https://cosinessandadventure.com/wivenhoe-park/ https://cosinessandadventure.com/wivenhoe-park/#respond Fri, 26 Jan 2024 06:17:37 +0000 https://cosinessandadventure.com/?p=6181 Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
晴れた夏の日のイングランドの美しい田園風景。
ここはイギリス東部エセックス州にある広大な公園、ワイブンホー・パーク(Wivenhoe Park)。公園には湖があり白鳥が泳ぎ、たくさんの他の鳥の姿も見えます。右側には船に乗って網を広げている2人の人物も。船が傾いていてちょっと怖いくらいです。湖の周りには牛がのんびりと草を食べているゆったりとした時間が流れています!

雲が作り出す地上と湖の光と影が美しい。刻々とその影が動いていく様子が目に浮かぶようです。コンスタブルは雲を見て研究するのが大好きでした。観察をし、スケッチしながら研究したのは、空が風景にどのような影響を与えるか、雲がどのように風景に冷たい影を作り出し、太陽の光が通り抜ける明るいエリアを作るかです。

池のちょうど真ん中あたりには雲の切れ目で明るく空が反射している部分があります。そこからもう少し目を上に向けていくと・・・木のすき間から赤煉瓦作りの18世紀の邸宅が姿を見せます。

絵を画家ジョン・コンスタブルに注文したフランシス・レボー少将 (Francis Slater Rebow)家です。

レボー少佐はコンスタブルのパトロンであり友人。絵の代金を前払いしてコンスタブルの結婚を支援したのだとか。

公園と邸宅は所有者を変えながら、1960年代にはエセックス大学へ売却。邸宅は大学の運営でホテルに生まれ変わっています。そう!ここは絵の中に泊まることができるのです。

もう少し絵を見てみると、れぼー少佐の娘メアリーが、ドンキーにカートを引かせて運転しています。

邸宅を取り囲む広大な庭園はなだらかな丘になっていて、曲線を作り出す小道も見えます。池から邸宅に向かって歩いている途中、木の間から見える景色も次々を変わる演出は、イギリスの風景式庭園の特徴です。


タイトル:ワイブンホー・パーク、エセックス(Wivenhoe Park, Essex)
画家: ジョン・コンスタブル(John Constable (1776-1837年))
制作年:1816年
所蔵館:ナショナルギャラリー、ワシントン


イギリスの田舎には、今でも昔と変わらずに同じような眺めを残しているところがたくさんあるのが魅力です。
コンスタブルの絵のように、湖を優雅に泳ぐ白鳥や鳥のさえずり、牧草地帯でゆったりと歩く馬、牛、羊たちの風景は身近にあります。
ワイブンホー・パークはどのように残されているのかいつか見に行きたいものです。


(参考)
https://www.nga.gov/collection/art-object-page.1147.html
https://www.wivenhoehistory.org.uk/content/category/topics/places-buildings/wivenhoe-park
https://www.wivenhoehouse.co.uk/



Copyright © 2024 Cosiness and Adventure All Rights Reserved.

]]>
https://cosinessandadventure.com/wivenhoe-park/feed/ 0