カントリーハウス

500年の歴史あるお屋敷を支える使用人たちの仕事部屋 スピークホール②  イギリス カントリーハウスの旅

2017-10-02

イギリス・カントリーハウスのスピーク・ホール訪問記の2回目。

前回はスピークホールの華やかなエリア、当主やその家族のスペースを見て回りました。
ウィリアム・モリスの壁紙が残るスピーク・ホール① イギリス カントリーハウス

今回はお屋敷での豪華な生活を支える使用人達たちが過ごした仕事場、そして庭園などの外のエリアの紹介です。
最後には、このお屋敷の維持にどれくらいお金が必要なの?にも触れていますので、ぜひ最後まで読んで行ってくださいね!

お屋敷を支える使用人たちの仕事場

カントリーハウス内では多くの使用人達が住み込みで働いていました。使用人の中にも序列があります。上級使用人とは、使用人の長である執事、女性使用人の長である家政婦、料理人たちをまとめる料理長、男性の個人付き使用人の従者、女性の身の回りの世話人の待女などです。その上級使用人の下で働くのが下級使用人たち。食事の準備、後片付け、洗濯、アイロン、靴磨き、銀器磨き、服のメンテナンス、子供のお世話、庭の手入れ、馬の世話...思いつく限りあげてみましたがもっともっと様々な仕事があり、日々業務もこのスペースで行っていたのです。

天井に近い所にたくさんのベルが並んでいます。使用人に用事がある時、ご主人たちが各部屋から呼び出しをする時に使われます。ベルの下には部屋の名前のふだが掛かっていて、どの部屋で呼ばれているかわかるようになっています。お屋敷が舞台となる映画やドラマの中で度々出てくるので目にする機会もあるのではないでしょうか。

長い机の上にはミシンなど様々な作業道具が置かれています。

こちらは使用人たちが食事などをとるテーブル。先ほどの作業テーブルのところもそうですが、殺風景でとても質素なスペース。朝から晩まで仕事に終われ、冬は寒い中仕事をしていたんだろうなぁと想像してしまいました。

次はキッチンエリアへ。大きなコンロ、壁にはたくさんの鍋やフライパンが掛けられていて、調理器具もたくさん並んでいました。ここで普段の食事から、パーティーなどの大人数の食事まで作られていました。

緑が美しい庭園を散策

次は建物の外に出てみましょう。

南側に面したこの前に広い芝生のエリアが広がっています。その芝生で当時の当主や家族達が庭を散歩したり、座ってゆったりとした時間を過ごす様子が1849年に絵画として残されています。16世紀はここが建物の正面玄関であったと考えられています。写真の中央部分に見える門の右側に見える部屋はBlue Drawing Room, 左側はGreat Hall となっています。

またこの写真では綺麗なばらが見ることができないのですが、これはローズガーデンです。ローズガーデンに面した部屋は豪華な応接間であるGreat Parlour。砂岩でできた張り出した屋根付き玄関は1612年に付けれたものだそうです。

ドアの上には当時の当主 Sir William Norris IV と妻の Eleanor Molyneux のイニシャルと1612の数字を見ることができます。

先ほどの昔の正面玄関前の道をずっと進んで行くと、一面に広がる青い絨毯に出くわしました。これはイングリッシュ・ブルーベルのカーペット。ブルーベルは私たち日本人にとっての桜のような春のような存在、イギリスの春の訪れの花なんだそうです。新緑の中の青い絨毯はとても幻想的で美しすぎる景色でした。

ベルという名前の通り、釣鐘型の青と紫が掛け合ったような可憐な花です。

管理をしているのはイギリスのボランティア団体のナショナル・トラスト

ナショナルトラストはこのような歴史的に価値のある建物や庭園を数多く保存管理しています。私たち観光客が支払う入場料やお土産やレストランで使う料金などが、その莫大や管理費用の一部に当てられています。
奥に見える建物がビジターセンター。入場券を買ったり、お土産物が並ぶ売店、レストランやトイレなどの施設が集まっています。そして私の立っている場所は木でできた迷路の中の迷路の中の展望台のようなスペースになっているところです。

敷地の一角にあるこの建物。この日は使われていませんでしたが、中にはたくさんのテーブルに食器などが並べられていました。 お屋敷内のGreat Hall で結婚式を上げることができるようなので、その後のパーティー会場などに使われるのではないでしょうか。

駐車場からエントランスに向かう途中に見つけた表示です。ここには年137,000ポンドの費用がこのお屋敷の維持にかかると書いてあります。今の換算だと約2000万円。これは寄付のお願いでもあり、入場料やその他にここで使ってもらったお金はこの美しいお屋敷や庭園を守り、将来へ残すためになるんだと。こうやって貴重な歴史的遺産を守っているんですね。

ホームページ:SPEKE HALL, GARDEN AND ESTATE (ナショナル・トラストのホームページに飛びます)
住所:The Walk, Speke, Liverpool, L24 1XD, England


訪問記1はこちらから
ウィリアム・モリスの壁紙が残るスピーク・ホール① イギリス カントリーハウスの旅



今まではこのブログにカントリーハウスの記事を書いてきたのですが、一つにまとめて集中するために、カントリーハウス専用のホームページを作りました。
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