クロード・モネのように、ゆるぎない自分らしさを確立するには?

Yoko

英国大学で西洋美術史専攻
日本の大学で文化支援専攻
海外.国内旅で多くのアートに触れる
2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。

美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

「プルヴィルの崖の散歩道」
クロード・モネ
1882年

1882年、モネがフランスのノルマンディー地方で描いた絵。
青空と青い海が目の前に広がって、気持ちの良さそうな風が吹いているように感じます。
遠くに見えるのはヨット?。帽子とパラソルで強い日差しから守りながらも、この気持ち良い空間を満喫している女性が2人います。

この絵を見て、どんな感情が湧いてきますか?
どんなことを感じますか?

絵を鑑賞しながら、自分らしさや価値観に気づくための方法をご紹介します。

モネのように、ゆるぎない自分らしさを確立するには?

Claude Monet, 「Cliff Walk at Pourville」1882, The Art Institute of Chicago (public domain)

「プルヴィルの崖の散歩道」 クロード・モネ 1882年

自分らしさや価値観に気づくためにぜひ習慣化したいのは、感情を拾い上げ、言葉にして、客観視することです。

私たちは日々何かしら外部からの刺激を受け、さまざまなことを感じています。
嬉しいことも、悲しいことも、悔しいことも。

そのような素直な気持ちを人に話したり、ノートに書いたり、発信することを私は習慣にしてます。
すると自分という人間の形が暗闇から浮かぶように見えてきます。

私はこんなことを考えているのか。
私はこういう見方をしているんだ。

なんてことないことのように感じるかもしれませんが、たった1日のことでも本当に色々と考え・感じているので、丁寧に拾い上げないとどんどん流れていって忘れてしまいます。

モネの絵を見て感じたことを書き出してみよう

この絵を描いたフランスの画家クロード・モネ。
彼の絵には心が解き放され穏やかにさせる魅力があります。

またここで質問に戻ってみます。

この絵を見て、どんな感情が湧いてきますか?
どんなことを感じますか?

「青空・海・明るい日差しのもとで、何も考えずボーとしたい!!」
「チーズや生ハムと、冷えた白ワインを飲みながら、友人とたわいもない話をして過ごしたいなぁ」
「絵がたくさん残っているほどモネが好きだったこの場所で、モネについて対話鑑賞するの面白いかも」

私がこの絵を見ると感じること一部を書いてみました。

一度ではわかりませんが、これをやり続けることに意味があります。
自分の”価値観”や”好きなこと”のように抽象的なことは、自分の内面に向き合わずぼんやり日々を過ごしていてはいつまでたってもわからなままです。

アート鑑賞で自分と対話する理由

こちらのブログには、”アートで知る自分の価値観”という大きなテーマがあります。
それは今のべてきたように、自分の感情の変化などを丁寧に拾い上げることを、アート鑑賞をとおしてすることなんです。

アート鑑賞で自分との対話の時間を作るのはこんな理由があります。

自分の内から出てくる表現したい!という衝動を作品にするアーティストの思考や行動を自分たちにも取り入れるため。
アートを見て自由に感想を語る心緩んだ状態で、自分の心と対話するため

モネの揺るぎない想いとは?

モネの絵には、心が解き放され穏やかにさせる魅力があります。
それは色が明るいとか、宗教画や神話画などのように知らないと深く楽しめない絵ではなく、日常がテーマになっているとかの理由もあると思います。

でもそれだけではないと私は思っています。
いつまでも私たちの心に寄り添ってくれるのは、モネは自分の感じたことを絵を使って伝えたいと、人生をかけて描き続けた人だからです。
伝統的な技法など学んだ上で、次第に決まりごとから離れていきました。

もしも彼が当時の美術界の常識に合わせて絵を描いていたら、きっとこんな絵はできなかったはずです。

私たちにもありませんか?

私を評価・理解してくれるだろうか?
人は私をどうみているのだろう?
こうやって他者を意識しすぎわかってもらおうと、自分が望んでもないことに努力してしまうこと。
やりたいことではない矛盾した努力は、成果をあげられず悩んだりと苦しめることになるんです。

だからこそいつも自分の心と対話することって大切なんです。

感動した気持ちを手紙で伝えるモネも見習おう

さて、この絵が描かれたモネの状況をもう少しみてみましょう!

最初の奥様カミーユは3年前に亡くなって、当時のちの2番目の奥様になるアリスと家庭内別居をしていました。
そしてフランスの不況が長引く中、絵の販売にも影響が出るという、ビジネスもプライベートもなかなか複雑な状況だったモネ・・・

1882年2月、モネはフランスのノルマンディー地方に絵を描きに行きました。

港町ディエップ周辺はあまりに都会的で失望して、プールヴィルに移動して4月中旬までこの漁村に滞在していたようです。

プールヴィル

プールヴィルをとっても気に入り、その気持ちをアリスや彼女の子供たちに手紙で知らせています。

How beautiful the countryside is becoming, and what joy it would be for me to show you all its delightful nooks and crannies!

「都会から離れたこの田舎の風景はなんと美しいのだろう。隅々まで見せることができたらどんなに嬉しいだろう。」

こんな感じでしょうか。

モネは手紙もたくさん書く人でした!
感動したことだけじゃなく困ってる助けてくれ・・・という借金のお願いなども(笑

絵の中にはアリスの娘のマルトとブランシュが描かれていると言われてます。
家で待っている2人のことを思いながら絵に描きこんだのでしょうか。

(参考)シカゴ美術館のホームページ

まとめ

モネのように、ゆるぎない自分らしさを確立するには、周りに流されることなく自分の気持ちに素直になることです。

そのために”自分の心と対話する”ことぜひ取り入れてみてください。

その時に絵はあなたの心の声を外に出しやすくしてくれるはずです。


こちらのブログではアート鑑賞を使った自分との対話についてご紹介しています!
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