アートで知る自分の価値観

レンブラントの「放蕩息子の帰還」をどの視点から見ますか?

レンブラントが描いた名画「放蕩息子の帰還」。

こちらはイエス・キリストが語ったというとても有名なたとえ話のワンシーンが描かれています。

あなたはこの物語を誰の視点から見ているでしょうか?

自分の心と名画を鑑賞しながら向き合って、自分の価値観について考えてみてください。


「放蕩息子の帰還」は父の深い愛と許しのストーリー


RembrandtThe Return of the Prodigal Son, Public Domain, via Wikipedia Commons

「放蕩息子の帰還」
レンブラント・ファン・レイン
1663−65年
エルミタージュ美術館所蔵

絵に描かれているのは、新約聖書の中にあるイエスが語った「放蕩息子の帰還」というとても有名なたとえ話です。

一言でいうと父の深い愛と許しのストーリー。

でも実は色んな側面から見ることができる深い話しでもあります。

父親は2人の息子に財産を分け与えますが、弟の方はそれを持って家を出ていきました。

彼は湯水のように財産を使い果し、そのうち食べるものにも困るようになる。

困窮のなかで自分の罪を悔い改めて父のもとに帰ろうと決意します。

父親は帰ってきた息子を喜んで迎え入れ、祝宴まで催しました。

「死んでいたのに生き返った、いなくなっていたのに見つかった」と。

息子はお金、健康、信用など多くのものを失いましたが失わなかったものが一つある。

それが「父親の愛」です。

物語は父の愛として語られますが、”神の愛”がとても偉大であるということを伝えるたとえ話です。


レンブラントはイエスのたとえ話をどう描いているのか?

レンブラントは、前かがみになった父が戻ってきた息子を優しく包み込んでいる瞬間をとらえています。

ぼろぼろになった服、すりむけているようにも見える足の裏。

息子は完全に弱りきった姿です。

そんな息子の背中に回した父の手や表情からは、許した父の気持ちを上手く描き出していますね。

横で親子の対面を見守る人物。
赤や金色で抑えた色使い。
奥につながるアーチ型の通路とともに、暗い背景に浮かびあがる親子を包みこんでいる。

レンブラントは50代になったころにはそれまでに築き上げてきた富を失い破産申告します。

2番めの奥さんヘンドリッケを失い、内にこもりがちとなり画風も変化しました。

鮮やかな光の効果や身振りの大きな豊かな表現よりも、内面を見つめるようなテーマの作品になっていったんです。

「放蕩息子の帰還」はレンブラント苦悩の日々の作品です。

この絵の中で自分自身を誰かに重ね合わせて描いていたのでしょうか・・・

誰にでも分け隔てない愛を注ぐ神?

息子を温かく迎え入れた父親?

父に謝罪の気持ちを伝え救いを求めた息子?

あなたはどう思いますか?

そしてなぜそのように考えましたか?


忘れてはいけないもう一人の人物

ここでもう一人の人物を忘れてはいけません。

それは、自分勝手に出ていって、戻ってきた弟ではなく、お兄さんです。

兄は、弟が戻ってきたとき怒りの気持ちを持ちました。

それはそうですよね。

自分は長年父と働き支えてきたのに、弟のように祝宴などしてもらったことがないと。

そんな兄に対して父は、「お前はいつも私と一緒にいる。私のものは全部おまえのものだ」とそれぞれに父の愛を受けていることを伝えたのです。


大切なことを忘れているだろう。

弟を憎むのではなく、自分の豊かさをありがたく思い弟と和解することこそやらなくてはいけないことだと。


少しややこしい話しですが、一つの事実というものは実は存在しておらず、みんながそれぞれにもっている解釈(フィルターのようなもの)で世の中を見ている。

父の、兄の、弟の見方があります。

そしてここには登場しませんが、母にも、この家族を見ている他の人の見方もあるはずです。

だから見る人によって色々なとり方があるというのが哲学の世界で長年言われていることです。

あなたは誰の視点からこの物語を見ていますか?

誰に共感できますか?また共感できませんか?

それはなぜですか?

ぜひそんな質問を自分に問いかけて絵を鑑賞してみてください。


自分の価値観に問いかけるアート鑑賞マンツーマンセッションを開催しています。
アート鑑賞も、こちらのレンブラントの絵の話しと同じで自分の解釈を通してみているので人によって感じ方や受け取り方が違うのです。

その解釈の部分を深堀りすると、自分らしさが表れてきたりします。
あなたが絵画を見て感じた気持ちや気付きを、質問をしながら丁寧に拾い上げていきます。

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