タイトル:「ピンクの服の女性 (The Lady in Pink)
画家:アルフレッド・ステヴァンス (Alfred Stevens 1823-1906)
制作年:1866年作
ベルギー王立美術館蔵 (Musees royaux des Beaux-Arts de Belgique)
油彩 87x57cm
アルフレッド・ステヴァンスの描く富裕層の女性
アルフレッド・ステヴァンスは、ベルギーで生まれ、その後パリで修行し成功した画家です。 日本ではそこまで知名度はありませんが、フランスやベルギーでは人気のある画家です。 パリには住んでいた家があったことから彼の名前がついた通りもあるほど。
この絵のようなエレガントなインテリアの中に、当時の最新のファッションに身を包んだ富裕層の女性の肖像画をたくさん描きました。 絵のタイトルにもなっているピンクのドレスは、色は落ち着いていますがとても華やかです。 豪華なレースから下の生地が透けているところ、ドレープや折り返しの部分、全体的に室内は暗いですが、材質によっての光の反射も丁寧に描かれていて美しいですね
ジャポニズムとシノワズリ
女性が手にしている人形は日本の人形でしょうか? 側にある漆パネルのチェストや、その上には東洋の陶磁器も飾られています。
この絵が描かれた頃、1862年にロンドンで、1867年にパリで万国博覧会が開かれました。 日本は浮世絵、琳派の絵画、漆器、陶磁器などを出品しました。 1854年まで鎖国していた日本。 そのためヨーロッパでは、その展示品の技術力の高さや、今まで見たことがないようなデザインの素晴らしさが高く評価されたのです。 それがヨーロッパに「ジャポニズム」が広がったきっかけです。
「ジャポニズム」とは、フランスを中心としたヨーロッパで日本の美術や工芸品がとても人気があった現象のこと。 日本趣味がジャポニズムなら中国趣味はシノワズリ。 この作品にはジャポニズムとシノワズリが入り混じってます。
ステヴァンスは自分の家にチャイニーズルームとして中国の品々で飾った部屋を作ったり、家具、屏風、着物、扇、などの品を集めていました。 チェストに置かれた龍が描かれたブルーの花瓶はステヴァンスのコレクションだったそうです。