「モネ 睡蓮のとき」展を見に行ってきました。
展示室と展示室の間の空間でモネのショート動画が流されていました。動いているモネだぁ大感激!!✨
そこには、スーツ姿で話すモネ、大きなカンヴァスの前で絵を描くモネの姿が映し出されていました。
葉巻をくわえ、大きなパレットを持ち、素早く筆を動かす様子。そして、歩くモネの後ろには、犬がついてきています。
まるで時を超えて、モネと同じ空間にいるような気持ちになりました。
この動画、もしかしたら見たことがある方もいるかもしれません。YouTubeなどにも公開されているので、有名な映像なのかもしれませんね。1915年に撮影された貴重な映像ですが、100年以上前のものとは思えないほど、モネがどのように絵を描いていたのか、その空気感まで伝わってきます。
アメリカのボストン美術館のサイトでも紹介されていたので、改めてじっくりと何度も見返しました。ここで、その映像について詳しくご紹介したいと思います。
100年前のモネの制作風景を記録した貴重な映像
動画は、1915年フランスの映画監督サシャ・ギトリ(Sacha Guitry)が撮影した無声映画『Ceux de Chez Nous(祖国の人々)』の一部です。ギトリはフランスを代表する画家や文学者たちを手回しカメラで記録していて、その中にモネも含まれていました。
撮影されたのは、モネが74歳の1915年の夏。この頃のモネの人生は決して穏やかなものではありませんでした。
- 4年前に最愛の妻アリスを亡くす。
- 数年前から続く視覚障害が、ついに白内障と診断される。
- 1914年には長男が長い闘病生活の末に他界。
- 次男や義理の娘の夫たちは戦争に駆り出されていく。
そんな悲しみの時期を乗り越え、新たな挑戦へ向かおうとしていたのが、この時期のモネでした。
この映画は22分の作品ですが、アメリカのボストン美術館のサイトで約1分半の映像が公開されています。私が展覧会で見たのも、きっと同じ映像だったのではないかと思います。
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Inspired by Gardens | Museum of Fine Arts Boston
www.mfa.org
動くモネの姿から見えてくるものとは?
映像の冒頭では、監督のギトリとモネが会話を交わしている様子が映し出されます。モネは帽子を被っていて顔が影になってるので表情がよくわからないのですが、何の話をしているのかなととっても気になります。
次に、ジヴェルニーの水の庭が映り、画面右には柳、奥にはあの太鼓橋が見えてきます。
そして太鼓橋のそばに立ち、白いパラソルの下で大きなキャンバスに向かうモネの姿が登場。大きなパレットを片手に、ちらちらと太鼓橋の方を見ながら素早く筆を動かします。ちょんちょんと色を置いていく動き。
白いスーツに定番の帽子、口には葉巻。
しばらく描いたあと、汗を拭いながら歩き出すモネ。
その後ろには、モネの愛犬がついてきています。
もしかすると、家に戻って休憩するところだったのかもしれません。
美しい庭で絵を描くモネの姿を見ることができるなんて、とても興味深い体験でした。
映像が語るモネの秘密——制作の"本当の姿"とは?
たった1分半の映像ですが、ここからいろいろなことがわかります。
✔ モネは、本当に屋外で光を感じながら制作していた。
映像はモノクロですが、強い日差しの下での制作だったことが伝わってきます。モネが汗を拭う仕草からも、かなり暑い日だったのではないでしょうか。
✔ モネの筆の動きは、非常に速い。
池の方をチラッと見て、素早くパレットから色をとり、迷いなく筆を動かす。このリズム感が、モネの作品のダイナミズムにつながっているのかもしれません。
映像が教えてくれる——モネが見ていた世界
モネのアトリエは、庭そのものだった。植物に囲まれ、光の中で制作を続けていた。
それはよくわかっていたけれど、実際にモネが絵を描く様子を映像で見ると、その感覚がよりリアルに伝わってきます。
こんな貴重な映像を残してくれたギトリ監督に感謝したい!!
ぜひこの映像を見て、モネの世界を体験してみてください。