【アート映画】おすすめ美術館ドキュメンタリー３選【必見です！】

2019年に開館200周年を迎えたプラド美術館にカメラが初密着。
ディエゴ・ベラスケスやエル・グレコといった天才たちが残した作品の数々。
関係者以外立入禁止のエリアで行われる修復の模様。
貴重な映像で美術館の魅力をたっぷりと伝えます。

ナビゲーターは名優ジェレミー・アイアンズ。
彼の存在がこの映画をただのドキュメンタリーではなく、極上のアート作品に仕上げています。
始まりは神聖ローマ帝国皇帝カール５世の物語から。
歴代スペイン王が集めてきた絵画と、スペインの歴史を、美術館内やゆかりの場所の映像とともに紹介されます。
ナビゲーターの声と音楽、そして豪華な展示室の風景に、うっとりさせられること間違いなしです。
プラド美術館がおくる壮大な美術史の物語です。

撮影は、フレデリック・ワイズマン。
世界的名画が登場する講演会や高度な修復作業、会議の様子にまでカメラを向けています。
アートの素晴らしさを人々に伝えたいという美術館側の願いをとらえます。

ナショナル・ギャラリーの撮影を、30年間切望し続けたワイズマン。
全てをありのままに撮影しているそうです。
美術館が多くの人でにぎわっていて、愛されているんだなと感じます。
特におすすめは、個性的な専門家によるギャラリー解説。
大人もぐいぐいと作品の魅力に引き込まれます。
子供たちと一緒になって美術館の床に座っている映像も、日本ではなかなか見られないもの。
決して特別な催しではなくて、後ろには他の観客が歩いている姿が見えるんですよね。
アートの素晴らしさを伝えるのに、決まり事はないはずです。
型にはまることのない姿勢から学べることがたくさんあります。

ハプスブルグ家の膨大な美術品を所蔵し、ヨーロッパ３大美術館の一つにも数えられるウィーン美術史美術館。
2012年から2013年3月のリニューアルオープンまで大規模改修が行われていました。
2年以上にわたって美術館に密着して撮影。
伝統を受け継ぎつつ、新しい美術館へ生まれ変わっていく様子を描いています。

美しい建物の中の、美術館の舞台裏映像がこの映画の見どころ。
中で働く様々な専門家やスタッフの仕事内容を垣間見ることができます。
修復作業の様子、作品の保管方法、展示風景、作品の買い付けや予算についての会議など、こんなにオープンに開示するのだなと驚きます。
スタッフのありのままの日常の姿にも親近感が。
映画の最後に、リニューアルオープンした華やかな美術館の様子から、ブリューゲルの描いた「バベルの塔」をじっくりと映すラストに胸が熱くなります。
これまで見てきた多くの人々が美術館を支えているのだなと実感できるからです。