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クリムトの絵画の数奇な運命を描いた映画【黄金のアデーレ 名画の帰還】

今日はクリムトの絵画が大好きな人におすすめしたい映画をご紹介。

タイトルは「黄金のアデーレ 名画の帰還」
クリムトが描いた美しい肖像画の数奇な運命を描いた実話です。


華やかなウィーンの上流社会の生活、ナチスのユダヤ人迫害の暗黒の日々、現代のアメリカロサンゼルスと舞台が行ったり来たりする中で、豪華で美しいクリムト作の肖像画が数奇な運命を辿るストーリーです。


ドキドキハラハラするサスペンス要素もありながら、奪われた一族の宝である肖像画を取り戻すべく奮闘する主人公たちに感情移入して涙が溢れるところもあり・・・これは実話を元に作られた映画だそうです。


クリムトが活躍した時代の空気感も感じらえる。
そして彼の描いた名画に秘められた物語もたっぷり味わえます。

主人公のマリア・アルトマンとは?

主人公はアメリカに暮らす82歳のマリア・アルトマン。

彼女と共に駆け出しの弁護士ランディがオーストリア政府を訴えた。

要求は“オーストリアのモナリザ”と称えられ、国の美術館に飾られてきたクリムトの名画〈黄金のアデーレ〉を、「私に返してほしい」というものです。

マリアの叔母・アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である自分のもとに返して欲しいというのが、彼女の主張だった。

それに対するオーストリア政府は、真っ向から反論。大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てアメリカに渡ったマリアが国を相手に奇跡を起こす実話です。

クリムトが描いた「アデーレ・ブロッホ・バウアー」の肖像画

wikipediaより

クリムトが描いたアデーレ・ブロッホ・バウアー(1881-1925)は、砂糖産業で巨大な富を築いたウィーンの実業家で銀行家のフェルディナンド・ブロッホ・バウアーの奥さん。

彼女はウィーン社交界のセレブであり、クリムトのパトロンであり親友。

ご主人の注文で制作されたこの肖像画は金箔、金箔が使われ、絵全体に緻密な装飾がされている大変豪華な絵画です。

この絵は138cmx138cmと大きなサイズの絵。

映画の中では応接間に飾られていたので、夜になると照明の灯が金箔に反射して神々しいほどの絵だったのではないでしょうか。

映画の主人公マリアの母とアデーレは姉妹でそれぞれブロッホ家のフェルナンドとグスタフ兄弟と結婚していました。

2家族は豪華なアパートに一緒に暮らしていました。

叔母であるアデーレは、この肖像画を自分の死後オーストリアの美術館に寄贈するように遺言して1925年に43歳という若さで他界。

その後1938年にナチスがオーストリアを占拠し、結婚したばかりのマリアはご主人と祖国を捨てアメリカに亡命。

マリアの両親はウィーンに残りましたが、財産や価値ある家財道具と共に肖像画も奪われてしまいました。

1943年には肖像画はオーストリア国立ベルベデーレ美術館に「Lady in Gold」と名前を変えられて展示されました。

1998年、マリアは家族ぐるみの付き合いである友人の息子で駆け出しの弁護士ランディに、肖像画を始めとする絵画の返還を頼む。

二人はその後数年かけて2006年5枚の絵画を返還することに成功。

1枚の肖像画が多くの人の人生に影響を与えたことがこの映画から伝わってきました。

弁護士であるランディは始めこの訴訟に乗り気ではなかったのに、オーストリアへ行くことにより自分の祖先のことを深く考えるきっかけになった。

ランディの苗字はシェーンベルク。作曲家のアーノルト・シェーンベルクは彼のおじいさんで、彼もウィーン生まれのユダヤ人で、第二次世界大戦でアメリカに移住しました。

ランディはその後ナチスによって略奪された芸術品に関する法律の専門家として活躍しているそうです。

肖像画のその後

2006年1月17日、マリアへ絵画の返還が決定し、5枚の絵画はロサンゼルスに展示された後オークションにかけられるなどし、個人の収集家たちに売却されました。

アデーレの肖像画は、誰もが鑑賞できるよう、常時展示することを希望していたマリアの想いを受け、化粧品会社エスティローダーの社長であるロナルド・ローダー氏に1億3500万ドル(約155億円)で買い取られた。

この売却価格は当時絵画として史上最高額だったそうです。

ローダー氏自身も母親がユダヤ人であり、2001年ドイツとオーストリアに没収された絵画を展示する美術館としてニューヨークにノイエギャラリーをオープンしていた。

このアデーレの肖像画も自分のためではなく、この美術館に展示するために購入されたと言われています。

「黄金のアデーレ 名画の帰還」の感想

このクリムトの絵画の物語はとても興味深く、グイグイ惹きつけられていく展開に映画としてもとても楽しめました。

でもこの映画は完全にアメリカ側からみた話。

アメリカの正義が勝ったというメッセージがものすごく伝わってきました。

マリアの訴訟を受けるオーストリア側の人物については深い人物描写がなく、悪者といった印象しか持つことができませんでした。

絵画が奪われた過去があるとしても、1943年から展示されているオーストリア国立ベルベデーレ美術館では絵画の研究や大切に保存してきた方々がいるわけですし、オーストリアの国民に愛されてきた作品であったはずです。

その両面の方々の話を知りたいなと思いました。



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