名作はなぜ何度でも心を動かすのか?

名作はなぜ何度でも心を動かすのか?そんなことを最近考えた。

青春時代に繰り返し繰り返し聴いていたハードロックの名曲を無性に聴きたくなる時がある。そして久しぶりに聴くと、やっぱりいいなぁ、かっこいいなと思う。あの頃の興奮が蘇るだけじゃなく、今聴くとまた違う部分が耳に残る。
爆発するエネルギー、圧倒的なサウンド、複雑なのに絶妙にまとまるリズムやメロディ。ただただ激しいだけじゃなくて、絶妙に計算されたような混沌に、ぎゅっと心をつかまれる。

こういう感覚って、絵でも同じ。最初はなんとなく好きだなって眺めていた絵が、何年か経ってから見ると、「ああ、ここにこんな表現があったんだ」「光の入れ方がすごい…」と、前とは違う発見がある。その時にはわからなくても、時間が経つことでようやく気づくことがある。

さらに、作品を知れば知るほど、もっと深く味わえるようになる。背景を知ることで「なるほどね、だからこういう表現なのね」と腑に落ちて、今度は感覚的にもっと強く響いてくる。

でもそれだけじゃない。背景から入ることもある。最初はただの一枚の絵、ただの一曲だったものが、生まれた経緯や作り手の想いを知ることで、「えーこれはすごい!!」と感動することもよくある。

直感的に惹かれる感覚と、作品の背景を知ることは、繋がってるの??と考えているとわからなくなってきた笑

もうどちらが先でもいい。

私にとって興味深いのは、このループを繰り返していくうちに、気がつけばどんどんハマっていくことだ・・・最初は「なんとなく好き」だったものが、「これは本当にすごい作品だ」って確信に変わる。そんなふうにハマっていくうちに、気づけば「この作品に出会えたのは、偶然じゃない」なんて思うものがいくつもある。(大袈裟かな・・)

名作って、決して一度で理解し尽くせないものなんだと思う。だからこそ、何度も心を動かされるし、何年経っても惹かれ続ける。

今度は、惹きつけて離さない名作にある「深み」とは何なのかなぁと、自分に問いながら考えてみた。たぶんそれは、アーティストのもつ技術やセンス、込められた想い、時代の空気感や価値観という変わらないものと、生きているから変化しづつける自分が響きあうことってことかな。

変わらない作品と変わり続ける自分が響き合う。その響き方が毎回少しづつ変わるから、同じ作品なのに新しい発見がある。

これは本当にすごいことだ。同じ作品でも新しい対話がどんどん生まれるってことだ。

そして、時代が変われば、作品の意味すら変わっていくこともある。

名作は一度見て終わりじゃなく、何度でも向き合う価値がある。これに気づくともう好きが止まらなくなるよね。

-アート日記