初心者必見!西洋美術史を学ぶためのオススメ本5冊+実践的アドバイス

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「美術史を学びたいな。初心者にオススメの本はなんだろう?」
「たくさんあるけれどどの本を選んだらいいのだろう」

この記事ではこういった疑問に答えます。

「美術史を学んでみたいな」と思った初心者の方にオススメな本と、具体的な行動の重要性を解説しました。
本で知識が増えたとしても、読むだけではすぐ忘れてしまって実はとてももったいない。
知識と行動がセットになると価値を生みます。

本記事の内容
・西洋美術史初心者が最初に読んでおくべき本【5冊】
・さらに別の角度から美術を見るためにおすすめの本【2冊】
・本を読みつつやるべきこと

というわけでさっそく見ていきましょう。

西洋美術史初心者にオススメな本【5冊】

これから紹介する5冊を厳選しました。

本を読んでいると、「ここの分野は、よく分からないな」という箇所がでてきますので、そしたら、その分野の本で勉強したらOKかなと思います。

というわけで、おすすめ本をみていきましょう。

西洋美術史の基礎が学べる本 (3冊)

美術の物語

ラスコーの洞窟壁画から現代アートまで、紹介されている累計800万部の大ベストセラー本。著者はナイト爵位も授与されている美術史家のエルンスト・ゴンブリッチ卿。初めて出版されたのは1950年で、2019年に出版社を変えて新装版が出ています。

あの原田マハさんもおすすめしている本です!

この本はタイトルの通り、”美術の物語”です。
はるか昔の洞窟時代から現代までの歴史の中で絵画、彫刻、建築などが登場して、飲み込まれ、また新しいものが誕生してという、大河の流れのような美術の物語があるのだなぁということがわかります。画家が、彫刻家が、建築家が、すでにあるものより少しでも良いものを作ろう!何か新しいことができないか!そのように挑戦を重ねてできたもの、作品や芸術家が主人公の小説を読んでいるようです。

芸術家の挑戦がどんなものだったのか、知識に偏るだけでなく、著者ゴンブリッチの作品や芸術家に対する深い愛情を持った視点で語られていて、言葉がスッと入ってきます。

この本は、私がイギリスの大学の美術史学部に入る時、授業が始まる前に読んでおきなさいと勧められていた参考図書の中の一冊です。私が持っているものはPHAIDON社のもので、今は河出書房新社が出版しています。

私が持っているのは旧タイプのPHAIDON社の英語版と、日本語版のポケットサイズ本です。薄いグリーンの方がポケットサイズです。今はどちらも中古でしか買えないですが。ちなみにポケットサイズは小さくて便利なのですが、画像が全て後ろのページに集められているため、本文がどの画像を指しているのか探すのがちょっと不便です・・・



2023年秋、イギリスを旅行してきました!!
写真を撮ってくるのを忘れたのですが、書店にはオリジナルである英語版の本がちゃんとアートのコーナーにありました!
これからもまだまだ読み継がれる良書です。

鑑賞のための西洋美術史入門

ギリシア美術から始まり、1960年以降の美術までを扱った、視覚デザイン研究所の本。
他にも絵の見方関連のわかりやすいシリーズを数冊出している会社でもあります。

内容は、年表や専門用語の解説、コラムなどで多彩。
イラストや手書き文字が可愛らしい印象なので、軽めな本のように感じますが、内容はかなり本格的です。
どうしても堅苦しくなりがちな美術史の本ですが、初心者でもとっつきやすいはずです。
美術の様式ごとに、総合的で詳しい解説ページと、その時代の代表的な芸術家の作品の見かたが分けられています。
大きな特徴をつかむ、具体的な作品を見てこういうことなのねと確認できる。
内容が濃いだけにこの二つのやりとりの質が高まります。

巻末には登場作品の情報一覧と、索引もあります。
情報が多くなるとどこに書いてあったのか探すのが大変ですが、これは助かりますね。


武器になる知的教養 西洋美術鑑賞

ルネサンスから20世紀のポップアートまで、それぞれを代表する23作品を厳選して解説した本。
東京藝術大学大学美術館鑑賞で教授の秋元雄史氏の書籍。
扱っている作品数は少ないですが、コンパクトに大切なポイントが凝縮して解説されています。

特にわかりやすいのは、ルネサンスから印象派までの第2章と、フォーヴィスムからポップ・アートまでの第3章。
各作品を技法や色彩、モチーフなど美学的なことを解説しているパートと、制作当時の社会や思想背景など歴史的なことを解説しているパートに分けているところです。

美術を見るときに、絵や彫刻といった作品の表現方法と、その作品が社会の中でどんな役割だったのか?どうして生まれてきたのか?という二つの側面から見るということが大切です。
その鑑賞方法を、自分でもできるようになるきっかけを与えてくれる本です。


歴史から見る西洋美術(1冊)

西洋史を美術を使って見るという本をご紹介します。

美術でめぐる西洋史年表

2021年に出版された新しい本です。
美術史家で東京造形大学教授の池上英洋氏と、美術分野のライターで編集者の青野尚子さんの書籍。

「本書の目的は、西洋の長い歴史の流れを、人類の思考の結果であり、創造性と想像力の所産にほかならない芸術作品で確認しながら概観することにある」
と書かれているように、美術を軸に見るということから少し角度を変えて、西洋史300点以上のを美術の名作で読み解くという内容になっています。

始まりは西洋文明の誕生したメソボタミアとエジプトから、21世紀の現代まで。
社会のさまざまな問題と美術が密接な関係であることがとてもわかりやすくまとめてあります。

アーティストの思いつきやひらめきだけで作品はできているのではなく、作品にはいろいろな役割があったのだなと理解でき、鑑賞する知識が深まります。

挿絵で楽しめる本(1冊)

美術の歴史

こちらは他の本と傾向が違いますが、挿絵を眺めて美術の歴史を楽しめる本。
洞窟時代から20世紀の美術までを、絵画、彫刻、建築など世界の美術を紹介した、カラー図版たっぷりの大型本。
絵本のような本です。

おすすめする理由は、イラストでの紹介がとても良いからです。
例えば、ルネサンスのページには、ラファエロがヴァチカンの署名の間に描いた「アテネの学堂」を制作している風景を、イラストで再現したものがあったりします。
もちろん写真が残っているわけではないので、残された文献やこれまでの専門家の調査の結果から、こんな様子なのではないかというイメージです。
ですが、当時どのような場所で作品が作られていたのか?
制作過程はどんなものだったのか?
当時の人の服装は?
など、美術を鑑賞するときにこういった背景がイメージできると作品を楽しむ力がさらに高まります。

他にもパルテノン神殿、ゴシック大聖堂などの建築物を作る風景。
中世のモザイクやフレスコ画を作る風景。
ゴッホがローソクの明かりで「ローヌ川の星月夜」を描いている様子などもあったりしてとても楽しい。
西洋だけでなく、日本などアジアやアフリカなどの美術も含まれています。

手に入りにくい本かとは思いますが、制作過程にも想像力を働かせられる良書だと思っているので、ご紹介したかったのです。

さらに別の角度から美術を見るためにおすすめの本【2冊】

ここでご紹介している本は美術史の本ではありませんが、

13歳からのアート思考

2020年に出版され大きな話題となった、美術講師である末永幸歩さんの本です。
「自分だけの答え」が見つかる と副題についているように、絵を自分のものの見方で観て、自分の頭で考えるという、思考力を磨くことを強く歌い、アートを使ったワークも豊富に掲載されています。

20世紀に登場して世間を驚かし、美術の歴史を大きく変えた作品6つを軸に、”美術”とは何なのか?ということを問いかけ考えさせる本です。
アーティストは、マティス、ピカソ、カンディンスキー、デュシャン、ポロック、ウォーホル。
彼らの作品を知ることにより、過去に作られた作品についても歴史を遡り考えるきっかけを与えます。
なぜなら、西洋美術史は変革の歴史でもあるからです。
過去のものを壊すような、乗り越えるような動きで新しい芸術が生まれてくるからです。

美術史の流れが書かれた本ではないのですが、現代から過去へ美術史を遡って考える。
逆から見ることで今まで気が付かなかったことに気がつかせられる本です。

絵を見る技術

”名画の構造を読み解く”という、美術史研究家の秋田麻早子さんの本です。
絵の見方を解説したかなりマニアックな本ですが、ワクワクしながら読め、知ったことを実際に絵を見て確認したくなる内容です。

内容は、絵のフォーカルポイント(主役)はどこにあるのか?
絵を見る順番の探し方。
絵のバランス、色、構造、統一感など、絵の技術的なことを、多くの絵を使って説明しています。

今まで、なにげなくいい絵だなぁと思っていたものが、偶然ではなく全て意味があって描かれているということに気がつくと絵をもっともっと見たくなるはずです。

この知識に、歴史的知識も加わったら鑑賞力がぐんと高まります。

本を読みながらやるべきこと

本を読みながら次のことを意識していきましょう

その①:ポイントとなるところをメモすること
その②:できるだけ多くの作品を見ること(本物を)
その③:メモしたことや作品を見て感じたことを人に伝えたり文章に書いてみる(アウトプット)
その④:本の参考文献から興味を持った分野の本を選び読んでみる

ポイントとなるところをメモすること

本を読みながらポイントとなるところ、覚えておきたいところをメモしていきましょう
スマホのメモアプリに、大まかにカテゴリを作ってメモしていくと、自分だけの美術史ノートができますよ。
また、後から見返すと自分がどんなところに興味があるのか一目でわかるという、自分の好きな傾向もわかります。

できるだけ多くの作品を見ること(本物を)

美術史は座学だけでは身につきません。
本物は本の挿絵よりもはるかに多くの情報量を与えてくれます。
そして心も動かされる。
たくさん作品を見ていきましょう

おすすめは西洋美術史を体感できる美術館。
東京の国立西洋美術館の常設展にぜひ足を運んで見てください。
ああ・・・これが本で書かれていたことだなってわかる時が嬉しい瞬間です。

メモしたことや感じたことを人に伝えたり文章に書いてみる(アウトプット)

知ったことを使うことで初めて知識として定着します。
身近な人に話したり、SNSで投稿することでもOK。
その時にぜひ自分の気づきなども加えることがより良いです!

本の参考文献から興味を持った分野の本を選び読んでみる

ここで紹介した本のいくつかには、巻末に参考文献が載っています。
本を読んでいて興味を持ったテーマについてさらに本を読んでみましょう。
こうやって美術史の旅へとつながっていきます。

約2500年にも渡る西洋美術の歴史を、全て理解しなくても親しんでいけます。

千里の道も一歩から!

本を読み、知識をメモして、本物を見て目を養い、アウトプットしていきましょう、

これがあなたとアートの距離を近づける近道です。


-映画と本で知るアートの世界, 本とアート, 西洋美術史の学び方