クリムトの悩みを勝手に想像して香りを調合してみました・・・

画家の悩みに効く香り」を配信しました!2回目に取り上げた画家は、19世紀末のウィーンで活躍した画家グスタフ・クリムトです。

クリムトの悩みに効く香り - アートと歴史・YOKO | stand.fm
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グスタフ・クリムト (Gustav Klimt、1862年7月14日-1918年2月6日)ウィーンの画家

私にとってクリムトはとってもミステリアスな存在です。

官能的・幻想的・華やかな作品のイメージと、家族を支え・芸術家仲間を束ね・社会的に弱い立場の女性モデルの味方となる親分肌の彼のイメージ。多くの女性との関係などが必ず付いて回るけど、そこに溺れるのではなく、自分の作品は女性の美しさに焦点を当てていた。作品の中の男性は主題としてはほとんど目立たず、時には顔が隠されていたり、存在感が薄れたりする。それはクリムト自身が自分のことをあまり語らず、自画像もほとんど描かなかったこととも繋がっているようで。

クリムトに対するイメージはたくさんあるようで、何となく彼はそこにいないようにも感じるところが私にとってミステリアスに感じる部分です。

そんな彼はたびたびスキャンダルになることもあって、芸術への情熱とスキャンダルとのはざまで悩んでいたのではないかと今回香りを依頼することにしたのです。

調香のプロのYukiさんにクリムトの悩みに効く、クリムトのためだけの香りを作ってもらいました!

クリムトの香りの秘密

番組内でお話した、Yukiさんが調香してくれた素敵な香りのエッセンスをこちらでご紹介します!
使ったエッセンシャルオイルはこの4つです。


〇ラヴィンツァラ

体にいい葉を意味する。自分の意思を表す力を与える。免疫力を高めて、感染症を予防する働きを持つ。呼吸器系全般の不調にもよく、喘息、気管支炎、咳を抑える。婦人科系の感染症にもいいと言われています。


〇ユーカリ

病気の治癒と関連付けられる精油。持ち歩くことで健康が保たれるなんていうちょっとお守り的な逸話ももつエッセンシャル。体調がすぐれない人の寝室に置くと、病状がよくなるなんていう言い伝えも。抗菌、去痰作用、風邪や花粉症、喘息、のどの炎症などに。


〇カモミールローマン

古代エジプトでは、太陽の神様に祈る時に用いられていた。治療薬としても用いられ、ヨーロッパでは香りを楽しむため、時には薬として、時には観賞用として何世紀にも渡って親しまれています。かの有名なピーターラビットも腹痛のさいカモミールティーを飲んでいるんですよ!過度の自我への欲求が生み出す緊張や、自分らしさを見失った時の落ち込み、嫌悪感、不安と言った気持ちを緩和させ、ありのままの自分を受け入れ安心感と癒しを引き出します。


〇クラリセージ

鎮痙し、鎮痛する作用。筋肉痛、痙攣、頭痛、偏頭痛といった症状に。呼吸器系にも働きかけます。去痰や抗感染、咳やのどの感染症、気管支炎に。心の強壮とリラックスに働く。優柔不断や混乱、不安といった感情を和らげる。クラリは明晰という言葉の由来から、インスピレーションがわく精油とも言われています。

クリムトの香り作成の舞台裏

今回、クリムトの処方箋を出すように香りを調合したYukiさん。制作の舞台裏のあれこれを教えてくれました。

クライアント:グスタフ・クリムト
キーワード:免疫力

【クリムトの考察】

“冷静と情熱”の間で生きている人。伝統に従っていたクリムトが 後に新しい表現を追求するようになる古典や伝統を重んじる美術からの分離を目指した結果、展覧会や出版物などを通し、モダンデザインの成立に大きな役割を果たすが、その他の派による対立や国からの補助金停止などが重な困難を強いられた。

この困難を打破するべく彼の底チカラはどこから?!

【肉体的なテーマを扱っている】

多くの愛人がいたが彼にとっては愛だの恋だのっていう事より、彼の描くテーマの完成度を上げるために題材を五感を使い理解し完成度高く作品として表現したのではないかと感じた。つまり。。。女性への感情が占める割合はゼロではないだろうが、とりわけ高いものではなかったのではないだろうか?後に心奪われる女性に巡り合うも今度は尊敬のあまりにプラトニックな愛を貫いた。この点でも 相手に対しての情熱 というより冷静さが働いたのではないだろうかと。。。。作品は甘美な雰囲気が感じられる一方で、女性には不思議と精気がない側面があり、

【そこはかとなく「死」を感じさせる】と形容される理由

クリムトの情熱は描く事であり その女性ではない事。つまり 彼だけの世界 絵画への情熱 その裏側は非常に冷静(時に冷酷?)であるのではないかと。はっきり言って一番気になったのは彼の生活スタイルからの彼の免疫力。多くの女性が彼の家に寝泊まりする環境で生活していたといることであれば 風邪を引いたり、体調が悪かったりする人も。。。。彼自身の生活スタイルもそうだが、セルフケア無しで過ごすにはあまりにも無謀なのではないか。。。と冷静にみてしまいました(笑)

1918年脳梗塞を発症、結局はインフルエンザの症状悪化により肺炎にかかり、同年の2月にウィーンで死去した(彼の死去後、世界的なインフルエンザの大流行が起きるのちの「スペインかぜ」と呼ばれる物。この点からも 彼は若いうちからかなり特殊なスタイルで生活をしていたので免疫力 をしっかりつけておく必要あったなと思います。そうすればもう少し長く人を魅了する絵を描き続けける時間が持てたのではないでしょうか

冷静と情熱の間を生きた クリムト彼の絵画の様なミステリアスでありながら 奥深い 彼を表現するにふさわしい忘れがたい香りに仕上がったと思います。

放送を終えて・・・

クリムトと”免疫力”のキーワードは私はこれまで一度も結びついたことがなかった笑

でも産業革命後の世の中の変化、スペイン風邪の流行や、第一次世界大戦などの不安材料がどんどん襲ってくる中で、免疫力は欠かせません。いつも多くの女性に囲まれていたクリムトならなおさら。

見方にまた一つ新しい視点が加わったようで、クリムト愛がさらに深まりました。

”画家の悩み”という切り口から、絵や人生を見てみる。豊かな香りと一緒に目と心を開いてそこで感じたことを自分にも問いかけてみる。そうすると自分の真の思いも見えてくる。香りを楽しみながらの自分の心を見つめる行為と絵の鑑賞をつなげる放送を目指しています。

次回は、マティスの悩みに効く香りを調香します。お楽しみに!


-ポットキャスト