【画家の悩みに効く香り】マティスの悩みを想像して、香りを調合してみました・・・

ポッドキャストで【画家の悩みに効く香り】という番組をやっています。

3回目の放送で取り上げる画家は、20世紀のフランスで活躍した画家アンリ・マティスです。

アンリ・マティス (Henry Matisse、1869年12月31日-1954年11月3日)フランスの画家

私がマティスの作品からいつも感じるのは、明るさ、豊かさ、楽しさ、リズムなど元気が出る要素。しかし当たり前ですがマティスの人生にもたくさんの暗い時代や苦労などがあります。特に人生後半の十二指腸ガンによる手術で車椅子生活になり立って絵筆を握り絵を描くことができなくなったこと。第二次世界大戦中には、離れて暮らしていた家族が一時捕まったりということもありました。制約のある中でも生涯追求してきた”絵の本質”を問い続けることマティスは、自分の悲しみをどう消化して前を向いていったのだろうと、それが今回マティスの香りを依頼した理由です。

調香のプロのYukiさんにマティスの悩みに効く、マティスのためだけの香りを作ってもらいました!


画家の悩みに効く香り
この番組は、画家の作品や人柄から「こんな悩みを抱えていたのでは?」と想像し、その悩みに効く香りを調合してみるトーク番組です。 ”画家の悩み”という切り口から、絵や人生を見つめる。 豊かな香りと一緒に目も心も開いて、感じたことを自分にも問いかけてみる。そうすることで、自分の真の思いも見えてきます。香りを楽しみながら自分の心を見つめる行為と、絵の鑑賞をつなげる放送を目指しています。パーソナリティーの2人が想像した画家の悩み、それを解決する香りの制作裏話などを語っています。
(不定期配信)

【パーソナリティ】
・画家と絵が好きな人をつなぐ Yoko https://www.instagram.com/cosiness_and_adventure/
・自然と人をつなぐ Yuki https://www.instagram.com/health__nature/


マティスの香りの秘密

番組内でお話した、Yukiさんが調香してくれた素敵な香りのエッセンスをこちらでご紹介します!使ったエッセンシャルオイルはこの6つです。

マティスは腸の病気の手術後に体の自由を失いました。そこで採り入れたのが、色をつけた紙から形を切り出す切り絵。腸の働きに効く”フェンネル”が使われています。

フェンネル

甘さとスパイシーさをもつ香り。頭の中で考えることはできても、実行できない人や、感情を溜め込んでしまう人に、自己表現することをサポートします。食の世界でも活躍するフェンネルは様々な料理に華を添え食欲をそそります。胃腸の気の流れをスムーズにするので、主に消化器系の働きにをスムーズにするのに役立ちます。

カモミール

古代エジプトでは、太陽の神様に祈る時に用いら治療薬としても用いられていました。 かの有名なピーターラビットも怖い思いをした夜にお母さんが入れてくれたカモミールティーをのんで床についていました。食欲不振、吐き気、便秘、下痢といった消化器系の不調にも有効です。安眠作用も期待できます。スキンケアとしても炎症や肌荒れを抑え 、肌を落ち着かせるチカラがあります。

モロッカンローズ

精神面を安定させる働きがあります。そのため、このモロッカンローズオットーオイルを利用していると鎮痛作用や緩和作用があります。バラは「精油の女王」ともよばれています。

ジャスミン

ジャスミンは恐れや不安、悩みを和らげ、感情のバランスをとってくれます。そして心にゆとりをもち、歓喜を促してくれます。濃厚かつ華やかしかしそこには揺るがない強さが気高さを感じさせる香です。

マンダリン

柑橘の香のなかでもレモンやグレープフルーツのようなはじけるような爽やかさの香というよりも皮の近くのほろ苦さを思わせるような重みと実の爽やかな甘みとが重なり合うそんな香の層が深いオイルです

シダーウッドアトラス

シダーの語源はアラビア語で「力」。針葉樹の中でも最も大きく、根をしっかり張るため偉大なる力の象徴とされてきたシダーウッドウッディで甘く落ち着いた香りは、不安や緊張でこわばった心をほぐしてくれます。スパイシーさのある香りが脳を活性化してくれるのに役立ち、やる気と集中力を高めてくれますこのシダーウッドの香りでマティスの香りに彼の為の香りに”チカラ”を注いだ と言う感じです冷えによる腹痛、下痢と言った消化器系に関わる不調に役立ちます不安、混乱、自信喪失といった心の状態をサポートしてくれる香りです。そのままの自分に豊かさを感じられることに気づかせてくれます。

エッセンシャルオイルはそのままで使うのは危険です。ここでご紹介している香りは、すべて用法に則り適切に希釈されています。またオイルにはその他にも禁止事項がありますので、ご自身でしっかり調べてからご使用ください。

マティスの香り作成の舞台裏

今回は高価な香りを使いマティスの香りを調合したYukiさんの、制作舞台裏をご紹介します。

クライアント:アンリ・マティス
キーワード:原点回帰 腸と自然と感覚の表現

彼の人生が大きく変わった21歳、法律を学び法律事務所の書記として働いたが虫垂炎で療養することになった。母親から絵を描くことを勧められた彼は、この経験を通じて「天国のようなものを発見した」と言った。

天国とまで感じた感情は 道具としてのその先、、、色や香り筆を握るその感触など様々な感覚の部分から読み取ったのかもしれない。そして、法律の世界から離れ芸術家としての道を歩むことを決意する。ここから彼の本来の生き方の目覚めになったのかもしれない。

名画誕生の舞台となった、緑好きが高じて所狭しと並べられた多様な花のアトリエはまるで植物園のようであり、大好きな鳥を多い時には300羽も飼っていたと云われている。草花が満ち溢れ、鳥たちが憩うアトリエから数々の傑作を生み出したのは、巨匠が晩年辿りついた癒しに満ちた世界。

好きというのもあるかもしれないが、上辺だけの好きよりももっと奥深く五感にすぐれた人物だったように思う。それは彼の表現する言葉からも。。。。

1941年、マティスは十二指腸癌に罹患し、手術後に重篤な後遺症に苦しみ身体の自由が効かなくなったこの頃には、ますます感覚が研ぎ澄まされたのではないか??

自然から受ける感覚、感触をダイレクトに現すようになり、花や植物から感じる安らぎを心の目で見て、はさみを使い生命力を感じさせる原色の切り絵に。これが、後の有名な「カットアウト」作品へと発展。

一見病気になり 描きなれていた手法で作品作りが出来ないなんて、不幸だと思われるかもしれないが、この不幸とも思われる現状からの原点回帰。

マティスの本来の奥深くにまだ眠っていた感覚・才能といった扉が開いたようにも感じるのです。

自身の感情を独自の色彩感覚で描いた作品が生み出されるきっかけともなり、マティスの作品は後世の後世の芸術家にも多大な影響を及ぼし、名だたる芸術家達に大きな影響与える天性の才能であったのではないでしょうか。。

放送を終えて・・・

Yukiさんより香りのスプレーボトルが届いてすぐ、匂いを試してみたところ、すぐ甘い香りに包まれて、その後スーとするような爽やかな香りが広がっていきました。

今回で3回目の香りですが、サッと消えていくもの、しばらくずっと残るもの、後からどんどん出てくるものなど色々な香りが微妙に重なりあっているのをすごくわかります。これがいわゆるトップとかミドルノートとか言われるものなんだなと実感。

放送でも話していますが、今回はなぜか海が私の中でイメージとして浮かんできました。マティスがニースにいたことや、窓からの海の眺めなどを描いた絵があることに引きずられているのかも知れませんが・・・(笑)

ザバーンという高波や、寒々しい海ではなく、キラキラと太陽を反射する穏やかなブルーの海です。

マティスは何度も荒波に遭遇しましたが、それを穏やかな海に変えるかのように、自分のアトリエを整え、美しい世界で溢れさせることで、あの豊かで明るい前向きな作品を生み出したのだと感じています。

”画家の悩み”という切り口から、絵や人生を見てみる。豊かな香りと一緒に目と心を開いてそこで感じたことを自分にも問いかけてみる。そうすると自分の真の思いも見えてくる。香りを楽しみながらの自分の心を見つめる行為と絵の鑑賞をつなげる放送を目指しています。

次回はイタリアの画家、カナレットの悩みに効く香りを調香します。どうぞお楽しみに!


-ポットキャスト