まず最初にひとこと言わせてください。本当にすばらしい美術館でした!
長年気になりながら来ることを伸ばしていたことを後悔。
まだ行ったことない人はぜひ訪れていただきたい美術館です。
美術館の成り立ちは心の平安とやすらぎの場となるため
広島市市にあるひろしま美術館は、1978年に設立された美術館です。
創業100年を迎えた広島銀行が記念事業として設立し、原爆で大きな被害を受けた人々の心を、一枚の名画が癒やしたり、この場所がやすらぎの場となればと構想されたそうです。
そのような大きなメッセージをもった美術館には、19世紀〜20世紀前半のフランス近代美術の一大コレクションが集まっています。
印象派が中心の明るくて、風景や日常生活を描いた絵が多いのは、美術館設立のメッセージにぴったり。
そして今も変わらず多くの人を和ませてくれる美術館として続いているのが本当に素敵だと思いました。
円形の展示スペースが心地よさを創り出している
この記事の一枚目の写真を見ていただけるとわかると思いますが、美術館の建物は原爆ドームをイメージした丸いドーム型になっています。
そして建物を取り巻く回廊は、厳島神社の回廊をイメージしているそうです。
どちらも広島を代表する世界遺産であり、私たちが広島といえば思い浮かぶ建物ですよね。
展示室は中央の円形ロビーから、4つの部屋にわかれていてどこからでも自由に回れるようになっています。
これがとても良いなと思っています。
全部見たあとに、あの作品をもう一度見たい!と思って、人の流れに逆行して戻った経験ありませんか?
また入り口から入ってすぐ、狭い通路のような展示スペースを行列のようになって見なくてはいけない経験など。
ここではそんなことしなくても自分のペースで見ることができる。
それがとても心地よかったです。
フランス近代美術150年のコレクション
美術館のコレクションは、印象派を中心としたフランス近代絵画と、日本洋画や日本画などの日本近代絵画。
その中から、フランス近代美術など約90点を常設展示しています。
展示室4室を見終わって、主要なアーティストの作品が並んでいて、どの作品も良いなぁと思えるものが集まっている!!と思いました。
厳選されてこの美術館に集まって、ここに存在している意味がちゃんとある。
そのようなものが伝わってくるような感じでした。
美術館の作品を集めたカタログには、美術史家の高階秀爾先生の西洋近代絵画の流れの解説があり、コレクションについてこのようなコメントがありました。
この図録に収められたひろしま美術館の主要な作品群は、いずれもこの時代を代表する芸術家たちの手になるものである。
その内容を眺めてみる時、われわれは、その豊かさと質の高さに、驚嘆の念を察し得ない。
歴史的にも重要なこの時代の主要な画家たちはほとんど皆顔を揃えているし、作品の質もきわめて高い。
ひとつひとつの作品が充分に厳選された優れたものであるばかりでなく、歴史的にも周到な配慮がなされていて、これらの作品によって、近代絵画の辿った歴史を、一応振り返ってみることができるようになっている。
現在では、この時代の名作を集めることがきわめて困難であることを思えば、それはわが国における貴重なコレクションと言ってよいのであろう。
どうですか?
この文章を読むだけで行ってみたくなりませんか?
モネだから、ルノワールだからと有名なアーティストの作品が揃っても良いコレクションになるとは限らないのですよね。
そのアーティストの代表的なものであることや、美術史的に意味を持っているものであることなどが意味を持ってくるのですね。
「セーヌ河の朝」
クロード・モネ
「ドービニーの庭」
フィンセント・ファン・ゴッホ
「仔羊を連れたポール、画家の息子、二歳」
パブロ・ピカソ
ひろしま美術館の詳細
住所:広島市中区基町3-2 (中央公園内)
美術館の公式サイト:https://www.hiroshima-museum.jp/index.html