美術館

【展覧会レポート】「ピピロッティ・リスト:YOUR EYE IS MY ISLANDーあなたの眼はわたしの島」

洗濯もののように吊り下げられているのも作品ですよ!

京都国立近代美術館で見た「ピピロッティ・リスト:YOUR EYE IS MY ISLANDーあなたの眼はわたしの島」の展覧会レポートです。

あれからすでに2ヶ月も経ってしまいました・・・

こちらの展覧会で私が一番感激したことは、フワフワとしたカーペットの上に座って、じっくり作品を見たいという夢が叶ったことでした。
1つや2つの作品というのではなく、展覧会会場すべてが土足厳禁になっていたからです。
なぜそれが夢だったのかというと、硬い床と靴から開放され、リラックスして見ることができれば、作品の見え方もまた違うのではないだろうか?と考えていたからです。

結果はどうだったのか?
作品の世界にどっぷりと浸かることができました!!
しかも映像作品なので、会場全体が暗くなっていることも集中できることに繋がりました。

ピピロッティ・リストの作る世界観の中に身をおきながら、自分は作品をどう見ているのか?どう感じるのか?
身体や心を解き放ち、そんなことを問いかけながら見て感じる。
美術館の中で、雑念を取り払い五感を意識する、そんな体験がしたいという方にとてもオススメな展覧会です。

ピピロッティ・リストの大回顧展

ピピロッティ・リストは、スイスを拠点に活動している女性アーティスト。
ヴィデオ・インスタレーションと言って、音楽と映像を合わせた作品で知られてます。

今回の展覧会は、30年間のアーティスト活動の全体像を見せてくれる回顧展になっていて、4つのテーマで作品が選ばれてます。

・身体
・女性
・自然
・エコロジー

初期の短編ヴィデオやヴェニス・ビエンナーレに出品された代表作。
自然と人間との共生をのびやかに謳う、最新の映像技術を駆使した近年の大規模な映像インスタレーション。
美術館の所蔵作品を取り込んだ新作や廃材を活用した屋外作品も。

面白いなと思ったのは、ベットに寝転んで見ることができる2016年の作品「4階から穏やかさへ向かって」。
川の中にカメラを入れて撮影されている映像には、気泡、泥、藻などクローズアップがおさめられていて、水の中から上をみているような感覚になります。
光が差し込んで、明るい色で広がる天井の映像は、もくもくとした雲の形のようなスクリーンに写ってます。

リストはカメラを水の中に入れた時、
「まるでモネの『睡蓮』を水の下側から見たような景色」が広がっていたと語っているそうです。
そのような中に女性の身体、乳房のアップなどもあり、赤ちゃんが母を見ているような、そんな不思議な感覚にもなりました。

映像に合わさっている音楽もとっても印象的で、思わす一緒に歌ってしまいたくなるようなメロディーと歌詞がちょっとくせになる感じです。
子供のころから身近にミュージシャンがいたり、バンド活動もしていたリストにとって、音楽が作品になるのは当然の流れだったのでしょうか。

扱われている4つのテーマも、コロナウィルス、人種・性別・国籍などの差別問題、環境問題などにもつながっていて、改めて問いかけるきっかけにもなるのではないでしょうか。

こちらの3枚の画像は、リビングルームのような部屋になっていた最後の展示室のものです。
複数の作品が集まっているようです。
まるで友人の家を訪問したようで、作品をじっと見ていると美術館に来ていることを一瞬忘れてしまうほどでした!

京都国立近代美術館のYoutubeチャンネルで「ピピロッティ・リスト展のすすめ」が公開されているのでぜひそちらもチェックして見てください!

リモートワークでの展示会場設営

京都国立近代美術館の動画集の中に、ピピロッティ・リストのインタビュー動画がありました。

この中でリストは作品の意味や、4つのテーマに関する意見などを語ってくれています。
私が一番興味を持ったのは、展覧会の設営準備がリモートで行われたということでした。
コロナの影響でリストが日本に来日することが叶わず、美術館側とオンラインでやりとりしながら作品一つ一つの展示を確認していったようでした。

素人考えなのですが、絵画を60点壁に展示するといったものと大きく違います。
映像をどこに映すのか?
照明はどこからどの角度で当てるのか?
音楽はどれくらいの音量なのか?
こんなことも調整していかないといけないよねと思いました。

また、最後の展示室はリビングルームのような広い部屋もありました。
家具、食器やインテリア用品まですごい数の作品です。
美術館によって展示室の大きさも違うはずですから、そこに合わせて調整するとしたら、むずかしい作業だなぁなど想像をしてしまいます。

それでも、いつかアーティストが亡くなっても、展示ができるようにしておかないといけない。
その出発点になるとキュレーターの方から説得されましたというリストの言葉が印象的でした。

アーティストと美術館がともに展示室をリモートで作り上げた動画というものがあるのなら、いずれはそれも作品と同じように価値を持つものになるのではないのかなと感じたのです。

ピピロッティ・リスト展の詳細(終了しています)

<京都展> 
2021年4月6日(火)~6月20日(日)
京都国立近代美術館

<茨城展>
水戸芸術館
2021年8月7日(土)~10月17日(日)
会期が変更になっています。 2021年9月1日(水)~10月17日(日)

-美術館