史上最大のフェルメール展は結局どんな展覧会だったのか?1

Photo: Rijksmuseum/Henk Wildschut

2023年2月10日〜6月4日にオランダ、アムステルダムで開催されていたフェルメールの大展覧会。

フェルメールの絵画28枚(全体の3/4)が一つの美術館に集まるという史上最大規模でした。

残念ながらこの展覧会を見にいくという希望は叶わなかったのですが、この展覧会を機会にフェルメールを再勉強しながらメールマガジンの発行を半年に渡って続けたのはすごく楽しく勉強になりました!!

次回このような展覧会が開催されることはいつのことだろうか・・・

その時は迷わず行けるような状態でいたいと心から思いました。

▼多くの人たちが楽しそうに鑑賞している様子が、このインスタグラムの動画から伺い知る事ができます!


そして、アムステルダム国立美術館(RIJKSMUSEUM)のホームページ、インスタグラムなどを見る機会が増えてそこからの学びも大きかった。

美術館の規模や質が本当に高いのだなぁーと感心させられる事が多かったのです。

展覧会の閉幕にあたって、総括情報を調べようと思ったら、ホームページのプレスリリースにすごいまとめが出来上がってました!!

ご興味のある方はこちらから全文をご覧ください。


ここでは特に私が興味を持ったところを取り上げますね。

4ヶ月の期間来場者数は65万人。

あれ?って思いませんでしたか?

意外に少ないなと。

しかしこれは来館者に最高の体験をしてもらうために来場者数を慎重に制限した結果だそうです。

インスタの映像を見ると、確かにゆったりとした感じで鑑賞していますよね。

この贅沢な感じが羨ましい!

美術館のタコ・ディビッツ総館長はこのように語ってます。

VERMEER IS THE ARTIST OF PEACEFULNESS AND INTIMACY. WE WANTED THE VISITORS TO ENJOY IT TO THE FULLEST. THIS WAS ONLY POSSIBLE BY LIMITING THE NUMBER OF VISITORS. THE RIJKSMUSEUM IS GRATEFUL FOR THE GENEROUS LOANS FROM MUSEUMS AROUND THE WORLD THAT HAVE ENABLED IT TO BRING TOGETHER MORE WORKS BY VERMEER THAN EVER BEFORE. Dibbits, general director Rijksmuseum

訳すと、

「フェルメールは、安らぎと親密さを表現する画家です。私たちは、来場者にその魅力を存分に味わってもらいたいと考えました。そのためには、来館者数を制限する必要がありました。ライクスミュージアムは、世界中の美術館からの寛大な借用によって、これまで以上に多くのフェルメールの作品を集めることができたことに感謝しています。」
ライクスミュージアム総館長 タコ・ディビッツ

いやーなんか感動です。

たくさんの人を集めたら良い!ということではなくて、フェルメールの絵を楽しんでもらうためにどうしたら良いのかを最優先に考えられている・・・

開催したばかりの頃、メールマガジンでその斬新でおしゃれな展覧会会場の様子について書きました。

その時もフェルメールの世界観を堪能できるようになっている空間に感動したことを思いましました!!

ついに開催されたフェルメール展を少し覗いて見よう!

来場者ランキング 日本は海外組の中で13位

展覧会に来た65万人のフェルメールファンは、113カ国から集まっていたようです。

そのうちの55%はもちろんオランダから。

そして海外からの来場者の順位は、

1、フランス17%、2、ドイツ16%、3、イギリス16%、4、アメリカ14%、5、ベルギー14%、6、ポーランド4%、7、イタリア3%、8、スペイン2.3%、9、スイス1.6%、10、カナダ1.3%、11、アイルランド1.1%、12、オーストリア0.8%、13、日本0.8%、14、スウェーデン0.7%、15、フィンランド0.6%)。

欧米の国々に混じって日本は13位。

計算すると約23400人となったけれどこれはちゃんと合っているかしら・・・

この数は多いのか?少ないのか?通常の美術館の来場者数と比較してみたいところです。

展覧会カタログは10万部も売れた

今回の展覧会のカタログは10万部以上売れたそうです。

この数はライクスミュージアムではトップクラスの売れ行きだとか。

購入は美術館のミュージアムショップからできますよ!


そしてこれだけではなく他にも書籍が販売されました。

ライクスミュージアムの美術部門長、グレゴール・J・M・ウェーバー著「信仰、光、そして反射」

そして子供用の「ミッフィー×フェルメール」

ミッフィーのような世界的に有名なキャラクターと美術館の協力関係はすごく相性がいいですよね。


展覧会の裏側を垣間見る2本のドキュメンタリー映画

展覧会について2本のドキュメンタリー映像も作られています。

一つはスザンヌ・ラエス監督の、映画『Close to Vermeer』

これは展覧会準備の裏話を取り上げた作品のようです。

美術館の見解が違うフェルメール作品についてのバタバタした裏事情や、どのように展覧会が作られていくのかが知れる映画。

とっても興味があります。

今はアメリカで上映中で、7月にはDVDの販売もされるようです。

この映画が日本で上映されることを希望しますが、どうなのでしょうか・・・


そしてもう一つは、「Exhibition on Screen」というシリーズの、「Vermeer:The Greatest Exhibition」

こちらはライクスミュージアムの館長やキュレーターの方々が登場する展覧会のドキュメンタリー。

ブログの最初の方でご紹介した、タコ・ディビッツ館長も登場しています!

館長は結構メディア出演機会も多く、私はすっかり彼のファンになってしまいました!!

→追記 2023/11/7  映画の公開日が2024年2月2日に決まりました。
館長やキュレータ ーなどの作品解説や、研究によって明らかになったフェルメールの手法など、より深くフェルメール作品を知ることができる内容になっているそうです。楽しみですね。

展覧会で使われたベルベットカーテンの行く末

展覧会会場をシックな雰囲気にしていたのがベルベットカーテンです。

そのカーテン、その後どうなると思いますか??

なんと、一部は他の美術館へ送られ再利用されるそうです。

さらに加工されミュージアムショップで販売される新しい商品へと生まれ変わるものもあるのだとか。

その一部は慈善財団に寄贈されるようです。

何から何までちゃんと考えられているのですね。

こういった活動全てについて、プレスリリースで報告するということがさすがだなぁと思ったのですが、これが欧米の美術館の当たり前なのでしょうか。

今回ライクスミュージアムのプレスリリースを見ただけなのですが、色々な学びがありました。



次回は、プレスリリースに記載されているフェルメールの絵についてじっくり見ていきます!

新たにわかったことや、今後どんな調査が行われているのかなどこちらも興味深いです。



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