365日絵のなかで”旅”をする 旅するアート鑑賞

「レイフ・エリクソン、アメリカを発見する」”幸運なレイフ”の新大陸発見の旅【365日絵のなかで”旅”をする】

今回の旅は1000年以上前の、新大陸発見瞬間への時間旅行。

絵の中では今まさに、レイフ・エイリークソン一が、北アメリカの東海岸の大陸を目にして、指を指して同行者たちに知らせている瞬間の場面です。左の方に確かに陸地のようなものが見えています。船は荒波の上で激しく揺れていて、空もどんよりしていますが、目指す場所は明るく輝いて見えている。

船から乗り出して見ている少年の足元には侵入した水も激しく動いている様子が。その背後には陸地を見ようと駆け上がる男性の姿も。船の中の興奮と荒波が発見瞬間をドラマチックに演出してる。

980年アイスランド生まれのレイフ・エイリークソンは、父が作ったグリーンランドにあるヨーロッパ人コミュニティーで育ちました。ノルウェーでオーラフ1世に謁見しキリスト教に改宗、布教するように指示を受けます。

その後グリーランドに戻る途中アメリカ大陸を発見するわけですが、そこには諸説あるようで、航路を外れてしまってそれでは新しい土地を探そうとしていたら偶然に辿り着いた。または、別の船乗りから北アメリカの新しい土地について聞いてその場所を目指したなどがあります。

彼らが辿り着いた正確な場所はわかっていないようですが、ラブラドールというカナダの北東部に位置する地域から、チェサピーク湾というアメリカ合衆国の東海岸にある港のあたりだとか。

彼と仲間たちは上陸した場所にヘルランド(石が平たい場所)、マークランド(森のある場所)、ヴィンランド(ぶどうが育つ場所)と名もつけています。

レイフの父はノルウェー人で、殺人をおかしアイスランドへ、その後事件をおこしまた追放。西に向かううちに新しい国「グリーランド」を発見。《赤毛のエイリークのサガ》というレイフの父の物語もあります。

親子で新大陸を発見なんて!!

Leiv Eiriksson Discovers America, Christian Krohg image CC BY4.0 courtesy of Nasjonalmuseet

さらにこの絵にはまだ海を超えた物語があります。

ノルウェーの画家、クリスチャン・クローグは、1891年にこの作品をアメリカのシカゴのレイフ・エリクソン記念協会(ノルウェー系アメリカ人によって設立された組織)から委託されました。その委託はコンテストで、中世アイスランドのサガと呼ばれる物語集に描かれているレイフ・エリクソンのアメリカ発見を描くというもの。コンテスト優勝者は1893年のシカゴ万国博覧会に展示されるのです。

クローグの絵は優勝、ヴァイキング船のレプリカ「ヴァイキング」と一緒に展示されました。

現在絵はこのオスロの国立美術館にありますが、クローグの息子、ペール・クローグによって制作されたこの絵のコピーがアメリカ合衆国議会議事堂に掛けられているそうです。

タイトル:レイフ・エイリークソン、アメリカを発見する(Leiv Eiriksson Discovers America)
画家:クリスチャン・クローグ(Christian Krohg(1852-1925))
制作年:1893年
所蔵美術館:オスロ国立美術館

レイフ・エイリークソンは”幸運のレイフ(Leiv the Lucky")と呼ばれているのだそうです。それは北米大陸を「発見」し、無事に帰還したことから来ています。ヨーロッパ人として初めて北米の地を踏み、新しい土地との遭遇を生き延びた人物。

「幸運」には、未知の海域を航海し、未踏の土地に上陸するという大胆な冒険を成功させたことだけじゃなく、航海中の多くの自然の危険や困難を克服したことも含まれているのだと感じます。

(参考)

https://www.nasjonalmuseet.no/en/collection/object/NG.M.00558
https://www.govinfo.gov/content/pkg/GPO-CDOC-107sdoc11/pdf/GPO-CDOC-107sdoc11-2-36.pdf

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