フェルメールの魅力を深く知る!厳選おすすめ本5選


「フェルメールの絵画には、どんな秘密や物語が隠されているのだろう?」
「フェルメールの絵に心惹かれるけれど、他の画家の絵と何が違うの?」


フェルメールの魅力をもっと知りたいと思っているあなたに、ぜひおすすめしたい本があります。私自身がじっくりと読み込んだ、フェルメールを深く理解するための5冊です。これらの本でフェルメールの絵と人物像だけでなく、多角的な視点から知ることができるはずです。

そして、彼の作品に会いに、実際に巡礼の旅に出たくなるかもしれません!

もっと知りたい フェルメール ー 生涯と作品



17世紀オランダ美術の専門家、小林頼子さんのフェルメール解説本。
このもっと知りたいシリーズは、アートビギナーズ向けの本なので、図説も多くとてもわかりやすく読みやすい内容。
でも中身はビギナーズ向けではなく、情報が濃い。
表表紙の裏にある、フェルメールの作品の大きさ比べや、フェルメールの生涯を追いながら、物語画、風俗画、女性への眼差し、寓意画などテーマに分けて書かれているのもわかりやすいです。
これだけでも、フェルメールという画家、作品について結構な知識をつけられる、何を買ったらいいかわからない人にもまずお勧めできる本です。

フェルメール巡礼



朽木 ゆり子さん、前橋 重二さんの本。
このタイトル良いですよね。
オランダのマウリッツハイス美術館を出発点に、フェルメール作品がある世界全16美術館に訪ねる旅を聖地巡礼に例えているところが、ファンの気持ちをわかってるなぁって感じませんか?
フェルメールが作品に施した仕掛けを解き明かしたり、フェルメールの絵についてある程度知っている方も楽しめる本。
まだまだ知らないことあるなと感じられます。
透視図法のことや、フェルメールのアトリエ再現なども読み込んでしまいます。
訪れた16美術館の詳細な情報もあるので、旅行ガイドのような気持ちでも読めます。

盗まれたフェルメール


フェルメール巡礼でもご紹介した朽木ゆり子さんの本です。
フェルメールの絵画盗難について4年の歳月をかけて調査を重ねて書かれた本。
主要参考文献の量を見たらその凄さが伝わってきます。
過去に4枚のフェルメール作品が盗難に遭い、その中の一枚は未だ行方不明です。
その一つ一つの事件を詳細に語ってくれています。
例えば、アメリアのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から盗まれて行方不明の「合奏」はこんな3つのポイントで読んでいくと、フェルメールの盗難事件だけでなく、美術品の所有者の移り変わりの価値の変化や、「合奏」作品の持つ意味など実に色々なことが見えてくることがわかります。
その3つのポイントとは、
一つは、イザベラ・スチュワート・ガードナーがどんな人物で彼女がなぜこの「合奏」を購入したのか?という視点で書かれているところ。
二つ目は、イザベラが購入するまでの絵の所有者の移り変わり。
三つ目は、史上最大と言われた「合奏」の盗難事件について。
去年もさまざまな美術館で有名な絵に対してテロ活動をするということが頻発してましたが、それだけ世界中にインパクトを与える行為になるということですよね。
美術品の盗難やテロはこれからも続いていくのかな・・・
そのようなことを考えながらこの本を読んでいました。

▼こちらの本について、もう少し詳しく書いています。(毎週配信のメールレターです!)

見れないと気になる? 2023年大フェルメール 展に出ない8枚の絵と行方不明の1枚とは


フェルメール光の王国


フェルメール好きで有名な、生物学者の福岡伸一先生が書いたフェルメール本。
科学者からみたフェルメールという画家や、描いた作品についての視点は、興味深い仮説を生み出しました。
フェルメールと同じ年の1632年に、同じデルフトで生まれた光学顕微鏡の父と言われているアントニ・ファン・レーウェンフック。
レーウェンフックの観察している顕微鏡の微小な生物をフェルメールが記録し、フェルメールはそこで得た光の動きを絵の中にとどめる。
2人は顕微鏡を一緒に覗いて語り合ったのではないか?という仮説です。

4年かけて、”フェルメールの作品を所蔵されている美術館で見る”という、絵が置かれている地域の風土を感じ、都市の匂いや音の中で見るという記録。

旅に同行した写真家の撮った美しい写真もたっぷりな豪華な本です。
所蔵されている美術館を巡り、そこで感じる感覚を大切にしながら作品を見てみたい!そう感じさせてくれる本でした。

ぼくはヨハネス・フェルメール


キュレーターでアートライターの林綾野さんの、優しい雰囲気たっぷりのフェルメールの絵本。
絵本ではありますが、古文書に残された史実をもとに、絵がどんなふうに描かれたのか?画家の人生と暮らしをたどりながら、フェルメールの素顔に迫る内容です。
著者は、アーティストの食卓という本も出している人で、画家の作品のことだけでなく、生活環境や食の好みなどにも研究対象に向けています。
どんな生活をしていたかを知ることで、遠い国で何百年前に絵を描いていた人から、急に身近に感じられるようになるから不思議です。

史実とは、”フェルメールが何年何月、どこどこで洗礼をした”などという記録なのですが、その記録に言葉や絵でストーリーを肉付けすることで私たちが今イメージしているフェルメール像が出来上がっている。

そのことを改めて感じさせてくれる本です。
添えられている絵が可愛くて読むのがとても楽しいですよ!



フェルメールについて知りたい方にオススメする本を5冊ご紹介しました。
2023年は、フェルメールの故郷オランダで、史上最大規模のフェルメール展が開催されるので、色々と情報もたくさん出てくる可能性あり。
この機会にフェルメールをもっと知ってみませんか?


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