言葉の表現力をもっと磨いていかないとと、文章を書くたびに思うのだけど、自分のいつもの言葉や使い回しからなかなか成長していないなぁと感じる日々。
その文章を読むだけで、色や形だけでなく、肌触りまで想像でき、その美しさにときめいてしまうという、素敵なファッションがたくさん登場する本が私の憧れる表現力だ。
その本は、20代の頃から持っている光野桃さんの「おしゃれの視線」。
光野さんは、主にファッションに関することをたくさん書かれていて、この本は洋服選びに迷い自分のスタイルを持ちたい!という女性のアドバイスのようなエッセイが集められたもの。
ご自身もご結婚されてイタリアへ移ったのち、何を着たらいいのか・・・何が似合うのか・・・と悩まれた経験があるそうだ。
本の中には、イタリアで出会うミラネーゼやマダムの装いをたっぷりと紹介してくれるのですが、その文章が本当に素敵なんです!!
触ると溶けてしまいそうにはかないシフォンのワンピースと、ジョーゼットのトロリと甘い襟なしのジャケット。そして真珠のロングネックレスの、それぞれ微妙に違う白が重なりあって、蒼く暮れたテラスにふわっと華やいだ空気が流れた。
「おしゃれの視線」光野桃
夜のレストランで見かけた女性の装い。
柔らかなブラウン色の、波打つ方までの髪。真っ白な肌にごく薄いメイク。その小さな顔を包んでいるのは、大きなシルクタフタのフリルの襟である。彼女は、クラッシックなデザインの、艶やかな黒い絹のマントを着ているのだ。
「おしゃれの視線」光野桃
裾にもたっぷりとフリルが寄せられ、彼女が動くたびに風を孕んでドラマティックに揺れる。防寒ではなく、ドレスアップのためのマントなんて!私は意表を疲れた。
こちらはスカラ座で出会った女性。
ただの描写でなくて、想像させて、さらに着てみたいなぁーなんて思わせることができるなんて・・・
読んでるだけでは身につかないけど、こんな表現力が欲しい。