アート日記

アートを通して”気づかせる””考えさせる””言葉にする”授業

こちらの切り絵は、私のブログやSNSにもたまに登場しているイギリスに住む6歳の姪っ子が作りました。
ロックダウン中のホームスクーリングで、フランスの画家アンリ・マティスについて学んで、その課題で作ったもの。
授業は4回に分かれていて、マティスの作品をみて彼の生涯について知る。
または作品を作って技法や色の使い方からマティスの発想や表現力を知る。
そんな素晴らしい内容でした。

でもそれ以上に私が興味を持ったのは、マティスについて学ぶということだけに収まらないことです!!

気づかせる
考えさせる
考えを発言させる

これらのことをアートを通しておこなう内容になっていることでした。
”自分の考え”を持ち発言することを、子供のころから、どんな授業でもおこなっていることに羨ましさを感じました。

正解のない3枚の絵を見て考えさせる質問

アンリ・マティスの3枚の絵を見ながら、彼の生き方や絵について学んでいきました。
傑作の「赤のハーモニー」という作品で彼の好きな赤という色について知りました。
さらに3枚の作品を見ながら、このような質問に答えていきます。

「3枚の絵で共通で使われている色は何色ですか?」

「なぜマティスはこの絵を描いたと思う?」

「この絵を見てどんな気持ちがしますか?」

「もし自分の部屋に飾るならどの絵がいいですか?それはどうして?」

この質問の意図はなんだと思いますか?
マティスがどんな人物だったのか、マティスの作品は何を描いてるのかなど、正解を答えることではないのです。

自分の目で絵をしっかりと見て、自分で気づくこと。
そして自分で考えたことを言葉にすること。

その答えは違ってるよと言われたり、これ合ってるのかな?とか気にすることもない。
どうどうと自分の思ったこと感じたことを言葉にできる。
この安心感や自由があることが、結果的に発想力・想像力などさまざまな能力を強めていくことにつながるのではないかなと思っています。

アートを通したコミュニケーション

今回はコロナのロックダウン中という異常事態での授業だったので、姪っ子は自分のママ(私の妹)とホームスクーリングでこの授業を受けました。
用意されたプレゼンテーションや資料を見ながら、ママと子どもの会話によって授業が進んでいきます。
そして、先に紹介した質問を親子で会話しながら、作品を作りながら語り合います。

日常会話とは違う、別の角度からのコミュニケーションだから、子どもの発言から意外なことにも気がつけるかも。
たとえば「もし自分の部屋に飾るならどの絵がいいですか?それはどうして?」という質問の答えから、そんなことに興味があるのか?とか自分の部屋をそんな風にとらえているんだなと気がつけるかも。

また作品作りをとおしては、色の選びかた、作業の進め方について子供のやり方を見ていくことができるのも興味深いです。
しかしそれ以上に、やり方に困ったときどんな言葉で質問してくるのか?またアドバイスしたときにそのアドバイスをどのように受け取るのか?などその子らしさをコミュニケーションをとおして感じることができるのではないでしょうか。

ではこれを学校の授業でやったらどうなるか?
想像つきますよね?
クラスの生徒間のコミュニケーションになります。
質問をとおしてお互いを知り、作品作りをとおしてやり方を教え合ったり、できた作品をみて感想言い合ったり。
アートを通したコミュニケーションです。

成功体験を積み重ねる

これは授業内容とは違うのですが、私の妹はこのマティスの授業を最大限に活かしていました!
授業のあとオンラインなどで誰かと話すたびに姪っ子に作った作品を紹介させていたのです。
ときには、「マティスってどんな人だった?」なんて質問したりして、姪っ子はそのたびにマティスのことを振り返り、自分の作品を説明してました。

ほとんどに人は、姪っ子の作品を見たり、彼女の一生懸命の話を聞いた人は褒めてくれます。
「すごいねー」「上手ねー」と。
この褒められるのがいいんですよね。

マティスが姪っ子の中でしっかり印象に残ることも良いけれど、それよりもこの”褒められる”、”関心をもって聞いてもらえる”ことがきっと彼女の自信につながっていく。
小さな成功体験を積み重ねるためのコミュニケーションにもなってました。

「マティス好き!」
「マティスの絵が欲しい!」笑

と言っていた姪っ子と一緒に美術館に行って、本物のマティスの絵を見せたいなー。
きっと大喜びするだろうなと考えているだけでワクワクします♪

一人のアーティストの授業ですが、やり方によってはいかようにも広げられていくことを実感したできごとでした。
アートの持つすばらしい力をお借りして、私もそんな学びの体験を作ることをやっていきたい!!と強く思いました。

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