アート思考とは自分の興味や疑問を探求していくプロセス

松戸スタートアップオフィス主催の「ベストセラー「13歳からのアート思考」著者・末永幸歩さんによる特別講座&対談> アート思考で「自分なりの視点」を鍛えよう」のオンラインセミナーに参加しました。
「13歳からのアート思考」は私も実際に読んでみて、西洋美術の教え方に新たな視点をもらえました。
自分の常識とは何なのか?アートをもとに向き合う思考法だとも捉えました。

でもさらにもっと深く知ってみたいと末永さんの講演を探していたところ、末永さんの講義だけでなく慶應義塾大学特任准教授/プロデューサーの若新雄純さんとの対談もあるとのことで参加することにしました。
アート思考が教育やビジネスにどう関わるのかそのあたりの話をお聞きしたかったのです。

私の受け取った結論は
アート思考とは、自分が興味をもっていること、日々感じた違和感などどんな小さなことも流さずに探求していくこと。
そしてこのアート思考は結果に直結することではなく、その探求していくプロセスが大切。
自分の専門のエリアから離れた活動や人との出会いの遊びの部分が視野を広げてくれることでもある。
どんなセミナーだったのか書いていきます。

マルセル・デュシャンの「泉」を使ったアート思考講義

まずは、「13歳からのアート思考」の著者末永幸歩さんの、マルセル・デュシャンの「泉」という作品の講義でした。
▼こんな作品です。
https://artsandculture.google.com/asset/fountain-marcel-duchamp/1QGek4Lw6B5sBQ?hl=ja

デュシャンはアートの定義を完全にひっくり返したアーティストとして、当時は大きな問題作であってとても重要な位置づけとなってます。
自分では作らず、買ってきた男性用小便器を向きを変えて、サインをして台においた作品。
これを誰でも飾ることができる展覧会に作品として出したけれど、結果ボツとして展示されなかった。
ただの便器でアートではないと。
アートの常識とされてきた、目で見て楽しむ作品から頭で楽しむ作品へ。
アートとは何なのか?という疑問を私たちに突きつけて、鑑賞者はそれを自分に問いかけて見る作品。

講義には約100人の参加者がいて、この作品をしらない方が半分くらいいらっしゃいました。
きっと衝撃だっただろうなぁーこれがアートなのか?って。

そして、みんなでアートとは?という問いを作るワークもあり、zoomのチャット欄がものすごく盛り上げっていました!
これが楽しかった。

アートにオリジナリティは必要なのか?
造り手のもの?鑑賞者のもの?
上手い、下手の概念は?
アートは常識を覆す必要があるのか?

などなどこの作品からこんなたくさんの問いが生まれたのですよ。
このようにアート思考はいつも自分に問いかけることが自分らしさを作っていくということなのです。

アート思考って何に役に立つのか?そこがもうナンセンス

若新雄純さんと末永幸歩さんとの対談でいきなり出てきたのが、このアート思考が何に役に立つのかという思考がすでにナンセンスなんだと。
それはどういうことかというと、アート思考とは結果に直結しないプロセスを追求することだからです。

対談の中で語られたアートとは

・思考から広がっていくもので絵を描くことだけじゃない
・疑問を持って探求していくことから生まれる
・世の中の常識のような正解にとらわれず非効率なものでもある
・結果に直結するものではなくプロセスを追求して生み出されるもの
・言葉にすると角が立ちそうなこともアートでなら表現できる

美術館に展示されている完成された”作品”だけがアートではなくて、作品が生み出されるプロセスがむしろ重要。
何か結果を求めて考えるのでなく、自分が持った問いからさまざまなプロセスを経て生み出されるから自分らしい作品となる。

それがアート思考。

だから例えばビジネスや教育現場では、プロセスって評価がむずかしいく、どう対処するのかっていう問題点もあるという話も出てきました。

末永さんは生徒さんのアート作品を評価するのに、スケッチブックなどを見てプロセスも見るようにしてるそうです。
ビジネスでも同じ。今必要と思わせて買わせることがビジネスなのに、売上が上がった、売上が下がったに至るまでの努力の過程など会社では評価されないですよね。

結果に直結しないけど余白や遊びといった部分も実は大切なんだと、ここはGoogleの20%ルールにも通じてるとも若新さんが話されてました。
Googleの20%ルールとは、業務時間内の20%を普段の担当業務とは異なることに充てて良いというものです。

▼Google20%ルールはこちらのサイトに詳しい説明があります。
https://www.lifehacker.jp/2020/11/223428google-says-it-still-uses-20-percent-rule-you-should-totally-copy-it.html

感想

今回のセミナーは、経営者の方やアートに縁のない方が多かったみたいでしたが、あの盛り上がりようはすごかったです。
末永先生の授業が面白いというのが一番で、アートもやっぱり伝え方でこんなにも面白いと感じてもらえるんだと思いました。

そしてアート思考については、自分がぼんやりと考えていたことが腑に落ちた感覚がありました。

アート思考って自分の興味や違和感を感じることを常に自分に問いかけていくこと。
どんなことにも疑問を持って、それを流さないで探求していくこと。
アーティストってそういう人ばっかりじゃないですか。
でも世の中、特に日本は常識みたいなものに囚われて違和感感じても流してしまう人が多いし、子供のころもっていた興味もどんどん無くして大人になっていく。
そういうことにおかしいと感じよう、もっと自分らしさを取り戻そうという考え方なんだと思ってます。

アート鑑賞や美術史を勉強することは、視野を広げ自分らしく生きることへつながると確信してます。

アートを通して物事のとらえ方に気づくことができると、今の自分の考え方や行動を理解することができます。
唯一の答えなどないアートを色んな視点で見ることで、自分のとらえ方も変えてもいいのだと気づけるからです。

-アート日記