アートと自分をつなぐモノとコト

絵画の対話型鑑賞で得られる7つの効果 自分らしく生きるにつながります!

西洋絵画つかった対話型鑑賞を、対面やオンラインでやっています。
対話型鑑賞を使っている理由は、私が一方的に絵の解説をお話するよりもはるかに絵を楽しむことができるから。
そして絵を楽しむだけではなく、ものごとのとらえ方に気づくことができるのです。
自分がものごとをこう見てるんだ!に気がつくと、今の自分を作ってる生き方や考え方を理解できるようになります。

 

対話型鑑賞とは、対話をとおして絵画をグループで鑑賞していく方法です。
ファシリエ−ターがグループの会話を誘導しながら、鑑賞者がそれぞれに感想や気づきを出し合いながら絵を読み取っていきます。
解説を聞くだけの受け身の鑑賞ではなくて、参加型、アクティブ・ラーニング型の方法なんです。
鑑賞者が積極的に絵を観察し、自分で感じたことを引き出していく。他の参加者の感想を聞く。
これが”たかが絵の鑑賞”だけではなく、生き方や考え方にも良い影響を与えていく理由です!!

 

では具体的にどんな効果をもたらしてくれるのか上げてみますね。

 

・自分のものごとのとらえ方に気がつける
・人それぞれのとらえ方があるのだという多様性を認められる
・目に見えるもの以上のものを想像する力がつく
・意識して見ようとする観察力が身につく
・正解・間違いにとらわれずに自由に自分の考えを発言できるようになる
・”アートの知識がないと鑑賞できないから自分なりに読みとっていけることがわかる
・アートを通して身についた教養が世界を広げる

 

それでは一つ一つ絵をご紹介しながらさらに詳しく書いていきます。

対話型鑑賞の7つのメリットとは

自分のものごとのとらえ方に気がつける

絵を見て受けた印象を2人の方が語ったこと。どこからそう感じたのかも聞いてます。

「初めてきた華やかな場所で落ち着かない感じがする」
ナチュラルで素朴な印象。笑顔が固い感じがするところから落ち着かないのではと感じたそうです。

「演目の幕間にだれかと話してくつろいでいる感じ」
肘掛けにのせた姿勢からくつろいでいる感じがしたそうです。

対話型鑑賞で大切にしていることの一つに、鑑賞者から出てきた感想について、それは絵のどこからそう思ったのか話してもらうことです。
感想とどこからそう思ったのかを分けて見ることで、自分がどんなとらえ方をしているのか気づくことができます。

 

人それぞれのとらえ方があるのだという多様性を認められる

次に2人の方がこの絵を見た印象を比較してみます。

「ぐねぐねしているけど怖い感じはしない。何だかワクワクするしかわいい感じ」
「黒い形のオブジェがおばけみたいで怖いイメージがする。星がおおきくて月と同じくらい光って違和感がある」

絵の見方に正解はありません。鑑賞者がどう受け取っても自由です。
対話型鑑賞のもう一つ大切にしていることは、自由に話してもらうこと
その中で、他者と自分の認識はこんなに違う。自分の常識はみんなの常識じゃなないのだと気づいてもらいたいのです。

 

目に見えるもの以上のことを想像する力がつく

対話型鑑賞でこの絵を出すと下記のようなコメントがでてきます。

”色から物憂げな感じがする”
”男性のマント姿がみすぼらしい”
”男女の間に距離がある”
”柔らかい雰囲気なのと木枠の丸みで全体的に柔らかいけど聖堂の直線ががちょっと府不調和な印象を受ける””
”2人が塔を見ているようで見てない”
”男性の背中や女性のうなじから腕の丸みから熟年夫婦のオーラを感じる”
”女性の様子は見つめる先へ今すぐ出かけようという様子ではない”
”男性の足が一歩前に出ていて視線の先に積極的な関心があるように感じました”

感想とどこから思ったのか?の質問を繰り返しているうちに、想像を膨らませて段々と抽象的なコメントへと変わっていきます

”責任がありそうなことから逃げている”
”理想に向かうのか諦めるのか?”
”頼るのがいや”

このように抽象的なコメントになっていくと、とらえ方がより自分の人間関係や仕事での考え方にむすびつけて考えやすくなります。
具体的なこと、見たままだけを受け取って想像力を働かせられないというのは、物事の本質をとらえられないということにもつながっています。

意識して見ようとする観察力が身につく


こちらの絵画を対話型鑑賞で紹介すると、最初は船、大きな錨、男性の姿が目につくのでそのようなコメントが多くなります。
美術館で絵を見ていたら、男性のうしろに寝ている赤ちゃんの様子や、岸に生えている小さな植物、男性のちょっと変わった服にきがつかないかもしれません。

ところで、人が美術館で1枚の絵にかける時間ってどのくらいだと思いますか?

ある海外の美術館で行われた調査によると、来館者が1つのアート作品を鑑賞するのに費やす時間は、平均10秒前後という結果が出たそうです。
「なぜ、世界のエリートはどんな忙しくても美術館に行くのか?」岡崎大輔著

美術館では自分だけが絵の前を占領できないし、たくさんあるから全部見ないと!という心理からぱっとみて終わりという方がほとんどなのではないでしょうか?
でも対話型鑑賞ではじっくりと意識して見ようとするので、全体から色々な要素を取り出そうとする観察力が身につきます
それはきっと美術館に行って絵を見る時はもちろん、日常生活でも気づく力になります。
観察力があるということは、人と同じものを見ても多く気づくことができる、それは多く学ぶことができるになるのです。

 

正解・間違いにとらわれずに自由に自分の考えを発言できるようになる

対話型鑑賞をはじめる前に、私は正解や間違いはないので自由に感じたことを話してほしいとお伝えしています。
それは、自分の考えを言うということを自分に許可してほしいからなんです。

私も人に話す時こんな気持が出てくることがよくありました。
正しいことを言わないと・・・
きちんと言わないと・・・
間違っているかも・・・
こんなこと言うと変だと思われるかも・・・

でもこういった感情を持ったままで発言しないと、いつまでも自分のことを人に分かってもらえません!
伝えるときに大切なことは正しいか否かではなく、自分はこう思っていると意思表示すること。
それは自分の考えを押し付けるとか、自分ばかりが話すとはちがいます。

少しづつ自分の考えを自分の言葉で伝えられるようになるとこんな良いことがあります。
私の実体験を少しご紹介。

・◯◯さんはこんなこと好きな人だよねと私という人間を印象を持って認めてもらえる
→これは何かあったとき、じゃあ◯◯さんに聞いてみようとか、こんなこと知ったから教えてあげようということにもつながるんですよ。

・自分が発言することで相手も心を開いてくれる。
→自分から心を開かないと相手は開いてくれませんよね。

・伝え不足による勘違いや余計なストレスを抱えないですむようになる。
→言わなくても伝わってるでしょといったことは絶対ないです。家族、職場などにこそきちんと伝えること。

 

”アートの知識がないと鑑賞できない”から”自分なりに読み取っていける”ことがわかる

絵の知識がないと美術館に行ってみてもわからないのではないか?
と知識がないから、よく知らないから・・・といった声を聞くことがよくあります。
でも本当にそうなのでしょうか?

”目線を下にしているところから、右の女性の方が位が上、左はお使いの立場なのか。”
”真剣な表情で右の女性に何か知らせているように見える”
”何かのエネルギーを送っているように見え、右の女性の手の動きはそのエネルギーを受け止めているようにも見える”
”真剣な表情はとても大事な話をしていると想像します。”

どう思われましたか?
この絵について事前情報など何もなく、しかも絵画鑑賞に関しても の方のコメントです。

この絵は新約聖書のエピソード「受胎告知」の聖母マリアの前に神の使いの大天使ガブリエルが降り立ち、聖霊によってキリストを妊娠したことを告げる場面が描かれてます。

右の聖母マリアにガブリエルが神からの重要な知らせを伝えているまさにその瞬間をとらえています。
聖母マリアは驚きながらもその知らせを受け止めるのです。

たとえ情報がなくても、じっくり見ていくことができれば名画というものはわたしたちに多くのことを見せてくれてるんです。
まぁだから名画なのですが。

たしかに美術史の知識や、アーティストの思想やどうやって作品を作っているのかといった情報は作品の鑑賞をより深めてくれる大切な情報です。
次にそのことについて触れていますが、それがすべてじゃないんです。
自分が見たもの、感じたものから、何だろう?どういうことだろう?と問をたて、考えていくことが自分なりのアートの付き合い方です。

今はネットで検索するとわかりやすい情報にあふれていませんか?
答えがすぐ手に入る。でも答えを知ったらそれで終わりなんです。
自分で観察して、考えることにアートの本質があると私は思っています。

 

アートを通して教養がみにつく

対話型鑑賞では解説などは含めず、自分の中で思考を深めるということに重点をおいたやり方もあるようです。
しかし私はアートの大きな役割の一つに、そこから教養が身につくことだと考えています。
教養とは雑学や知識とは違う、リベラルアーツのこと。

脳科学者の茂木健一郎先生は教養についてこのように説明されています。

教養とは「あなたをいまよりも素敵な場所に連れていってくれるもの」ということを知ってください。
本当の意味での教養とは、あなたの脳を覚醒させ、人生をよりブラッシュアップしていくものです。
決して、本を1冊読んだらお手軽に身につくようなものではありません。
一生を通じて磨き、あなたを助け、あなたを導いてくれるもの。
教養とは、何らかの事象に対してすぐに答えを与えてくれるものではありません。
いくら教養を学んだからといって、すぐに仕事の成果に結びついたりはしないかもしれません。
しかし教養を磨くことは、人生をより豊かなものにしてくれる、最高の自己投資でもあるのです。

絵の鑑賞を深めたあと、美術史情報や作品の背景などもお話しています。
もちろんそれをちょっと知ったからと何かにすぐ役に立つものではありません。
知識は少しづつ自分の中で蓄積されていきます。それが教養となっていくものです。

たとえば一つ前のところでご紹介した「受胎告知」の絵。
こちらはレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」。新約聖書のエピソードを描いているので他の多くの画家もこの場面を描いています。
このことを知ったことから、別の画家の絵画を見てみる。
その画家の他の絵が気になって調べてみた。
描かれている人物が気になって調べてみた。
その人物の生誕の地に行ってみたいと旅に出ることになった。
こうやって知識が別の知識とつながって、私たちの世界を広げてくれます。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で語ったスピーチの中にある有名な言葉 Connecting the dotsは、自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識が、のちにかけがえがないものになったというものです。
自分がつけた知識がのちにどんなものになるのかはその時点ではわからない。
でも教養は自分の人生を人とは違う自分のオリジナルの人生にするための欠かせないものであると私は信じています。

 

まとめ

絵画の対話型鑑賞で得られる7つの効果。

・自分のものごとのとらえ方に気がつける
・人それぞれのとらえ方があるのだという多様性を認められる
・目に見えるもの以上のものを想像する力がつく
・意識して見ようとする観察力が身につく
・正解・間違いにとらわれずに自由に自分の考えを発言できるようになる
・”アートの知識がないと鑑賞できないから自分なりに読みとっていけることがわかる
・アートを通して身についた教養が世界を広げる

”たかが絵の鑑賞”から少しはその効果が伝わったでしょうか?

私が西洋美術史を勉強している中で感じていたこと、そしてアートエデュケーターの経験をつんでいく中から得たことがこの7つの効果です。
もっと多くの人に体験していただきたいなと思っています。

 

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2枚の名画の対話型鑑賞会をやっています。
絵画の楽しみ心を豊かにすると同時に、自分はどう感じるかを大切にする鑑賞会です。
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