ありのままの子供を描くということ

久しぶりの国立西洋美術館で、ジョン・エヴァレット・ミレイの「狼の巣穴 」を見た。

『狼の巣穴』ジョン・エヴァレット・ミレイ 1863年

ミレイは子どもの絵もたくさん描いているけれど、彼らは何だか不安げな表情が多いように感じるのは気のせいだろうか…
この絵もまさにそう。タイトルにもあるように、狼ごっこをしてるらしい。

描かれているのは、4人はミレイの子供たち。
左から寝そべって退屈そうな長女エフィ
オオカミ役で毛皮を羽織り睨みつけているのが長男エヴァレット
うずくまってこちらを見ている次女のメアリー
白いふわふわの羊の毛を羽織る次男のジョージ。

遊んでいるはずなのに、全く楽しそうじゃないのはなぜだろう。

タイトルは『The Wolf’s Den』となっていて、オオカミの巣穴です。
このDenというのは、動物の巣穴、人間の隠れ家や避難所の意味もあるそうです。
子供って狭い小さなスペースで遊ぶことが好きですよね。イギリスに住む私の姪っ子たちも勉強机の下に潜り込に、布でカバーして隠れ家を作って遊んでました。その時に「Den」を作っているって言っていたなぁ。

ではミレイの子供たちはどうなのか?
私も説明を読むまで気が付かなかったのですが、4人の後ろには大きなグランドピアノが置いてあるのが見えます。
ピアノの下に滑り込むようにして遊んでいるのだろうか。
彼らの楽しそうではない表情は、絵を描くためだけに作り込まれていない、無防備な子供の表情なのかもしれない。


-アート日記