世界のすべてを謎と見なす感受性を磨きに行く?デ・キリコの展覧会

先週末から4日間、東京で美術館巡りをしてきました。
その内3日は毎日上野に足を運ぶということになってしまいました。

西洋美術館では「もうひとつの19世紀―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち」「キュビスム展美の革命」と常設展。
東京都美術館では「永遠の都ローマ展」
上野の森美術館で「モネ 連作の情景」
そして国立新美術館では「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」

面白いことに、西洋美術館以外は常設コレクションがない(東京都美術館は数点だけあるようですが・・)展示会館。これを美術館と呼ぶのかなぁーといつも思うのだけど、日本独特のこのスタイルをうまく表現できないから美術館巡りとなってしまう。

話を戻すと、その美術館巡りで来年行きたい!と思える展覧会を発見。
「デ・キリコ展」です。

一度見たら忘れられないデ・キリコが描く世界。好きなんですよね私。
歪んだり、遠近法がおかしかったり、そんな場所にないと思えるものが置いてあったり。日常の風景にちょこっと手を加え、現実と非現実が同じ空間にあることで、不思議で謎めいた景色になってしまう。どこに違和感を覚えるんだろう、どこがおかしいのだろうと考えさせる絵。

それだけではなく、古典的な建物や彫刻と広場や長い通路にあるという組み合わせや、人がいない静けさと長ーい影などから作られる風景が、私の興味を刺激します。短い影よりも長ーい影だとより不安感を感じるのはなぜなんだろう・・・

デ・キリコはダリやマグリットたちにも影響を与えたのだとか。
アメリカの美術館MoMAのサイトに掲載されていた彼の言葉がカッコよかった。

“What is especially needed is great sensitivity: to look upon everything in the world as enigma….To live in the world as in an immense museum of strange things.

MoMA ホームページ https://www.moma.org/artists/1106

訳すとこんな感じ。
「特に必要なのは、世界のすべてを謎と見なす高い感受性です。世界に住むことは、奇妙なもので溢れた巨大な美術館にいるようなものです。」

何か辛いことがあった時は、不感症で生きていく方が自分を守るという意味でもいいのかなと思う時もあったけど、世の中をいつも新鮮な目や心で見る方が学びも多いし、楽しいことも探せるんですよね。

2024年は、デ・キリコ展で自分の感受性にもっと刺激を与えたい。

『デ・キリコ展』 
東京都美術館 2024年4月27日〜8月29日
神戸市立博物館 2024年9月14日~12月8日(予定)
公式サイト


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