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【展覧会レポート】コートールド美術館展プレミアムナイトに行ってきました

東京都美術館の、コートールド美術館展のプレミアムナイトの鑑賞会に行ってきました。
最近はこんな風にちょっとだけ特別感のある限定のイベントも多くなってきたなと感じます。
少しでも混雑をさけて、自分のペースで見るということを優先に考えている私にはとてもうれしい。

通常の開館が終わった18時から20時半までの人数限定の鑑賞タイム。
音声ガイドや図録もセットになっていて、19時からは写真撮影もokでした。

サミュエル・コートールドのコレクションがもとになったコートールド美術館

コートールド美術館は、印象派・ポスト印象派の殿堂とも言われるロンドンにある美術館。
美術館のコレクションを形作ったのはサミュエル・コートールド(1876年〜1947年)。
彼は代々繊維産業を営んでいた一族の出身で、人工シルクであるレーヨンの製造によって成功した実業家。
印象派の作品に惹きつけられ絵画収集を始め、わずか10年で印象派・ポスト印象派の素晴らしいコレクションを作り上げました。
しかし彼が収集していたころのイギリスでは、印象派の評価は高くはありませんでした。
それでもサミュエルはその魅力を自国の多くに知ってもらいたいと収集し、1932年には美術史を専門とした研究、教育機関を設立し、コレクションの大半を寄贈したのです。
それがコートールド美術館の始まりです。

今回のコートールド美術館展は、その素晴らしいコレクションを見せるというだけではなく、サミュエル・コートールドが自身の美術への愛をとおしてどんなことを目指していたのかも伝えてくれる内容になっているのです。
自分の欲で好きな作品を集めていたわけではなく、美術が私たちの人生を豊かにしてくれることを信じ、多くの人に作品を見てもらいたいと考えていたのですね。
彼の親友である小説家のチャールズ・モーガンの言葉を展覧会の図録に見つけました。
とても素敵な言葉で綴られているので一部をご紹介。

だからこそ、彼はコートールド美術研究所を創設し、オペラは室内楽が聴けるように設備を整え、絵画コレクションを寄贈したのだ。
それは、「国家」のためにではない。絵画作品のうちの1点にたまたま出くわして、それを観察するままに感嘆したり称賛したり楽しんだりする
刺激に誘われるばかりでなく、まるで矢に射抜かれるようにして心の奥深くで受け止めて、その人生の中にほとばしるような想像力が再び息づいたり、
凍てついた想像力が融けていくのを発見できるような男性や女性、子供のひとりひとりのために贈ったとむしろ言いたいのだ。
コートールドの願いは、一般の人々を目利きにすることではなくて、セザンヌやマネやルノワールの作品をとおして、
私たちひとりひとりの個人の生活を詩情溢れるものにしてほしいということだった。
「コートールド・コレクション」カレン・セレス(コートールド美術館展魅惑の印象派図録より)

絵画を読み解くという内容の展覧会の構成

世界でも有名な美術史と保存科学の研究の場所でもある、ロンドン大学付属のコートールド美術研究所の美術館でもあるコートールド美術館。
そのため展覧会の構成も、作品を3つのテーマから読み解くという内容になっていました。

第1章 は画家の言葉から読み解く

たとえば、ゴッホが書いた手紙から。
モネがロダンに送った手紙から、画家の想いや気持ちに触れて絵をみるとどう見えてくるのか?

第2章 は時代背景から読み解く

19世紀、近代都市となったパリでは人々の生活が大きく変わる。
たとえば、劇場やカフェが次々登場したり、鉄道で気軽に郊外へ出かけられるようになり、画家は余暇を楽しむ人々の姿を描いていった。

第3章 は素材・技法から読み解く

19世紀のチューブ絵の具、カメラの発明や、色彩理論の発展は画家に大きな刺激を与えた。
コートールド美術館の科学的調査や研究で明らかになったことも絵を読み解く材料を提供している。

このテーマのもとに、ゴッホ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、スーラ、シスレーなどなどの作品が並んでいました。

そして作品以外の資料も興味深いものがたくさんありました。

・セザンヌから画家エミール・ベルナールに宛てた手紙。
・作品購入の領収書
・コートールド美術研究所の講義リストや試験問題など
・当時の風刺画など

作品数もほどよくて、主要作品は別パネルに詳しい解説があるなど、わかりやすく、楽しく絵を読み解いていけます。
また、サミュエル・コートールドが自宅に作品を飾っていた写真が引き伸ばされて展示室の壁を飾っていて、これがいい雰囲気作りになっていました。

コートールド美術館展の詳細(終了しています)

2019/9/10〜12/15
東京都美術館

2020/1/3〜3/15
愛知県美術館

2020/3/28〜6/21
神戸市立博物館

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