アート日記

「機知に富む恋多き天才」「人間力」から伝わってくるラファエロの人柄


今日、最近リニューアルオープンした無印良品に行きました。商品を購入し、レジで会計しているとき、「お持ち帰りの袋をお持ちですか?」と聞かれました。ずいぶんと丁寧な言い方で感じが良いなと思いました。

別のレジからは「レジ袋お持ちですか?」と聞こえてきた。

レジ袋の方がわかりやすいという方もいるのかもしれませんが、私は前者が好きだなぁと。なぜかというと、とても心地よく聞こえて良い気分にさせてもらえたからです。大切に扱われているような気がしたということでしょうか。

どっちが良いとか悪いとかではなく、同じ物をどんな言葉で表現するのか。その人がどう捉えててどう伝えたいのかなんだなって思ったのです。

私はアーティストのエピソードを本で読んだりすることがありますが、これも同様著者がどう伝えたいのかにより言葉も違うのだなーと最近読んでいる本で感じました。

「天才と凡才の時代 ルネサンス芸術家奇譚」
秋山聰著
芸術新聞社


ルネサンスの芸術家の、天才だけでなく凡才のエピソードにも着目しますとしっかり書いてある面白い本。超有名な人から初めて聞く名前まで、80人に芸術家が紹介されてます。

その中では、ルネサンスの3大巨匠の一人ラファエロについてこんな言葉で語られてます。”機知に富む恋多き天才”と。
ラファエロが女性だけでなく男性もつややかで赤みの差した頬で描くことがあって、それは時にはからかいのもとにもなっていたらしいのです。そんなある時2人の枢機卿が、聖ペテロと聖パウロの頬が赤いのはおかしいと批判したのだとか。
ラファエロはどう切り替えしたのか?

「貴方のような人たちが牛耳ってる教会の様子を見て、聖人方が赤面されているのですよ」と切り返したそうだ。優雅で善良というイメージが先行しがちなラファエロには、このように機知に富んだ一面もあり、それがまた宮廷での大いなる活躍の一因にもなったのだろう

「天才と凡才の時代 ルネサンス芸術家奇譚」秋山聰著

機知という、その場に応じてすばやく言葉や態度で対応できていた人と伝えてくれてました。

そしてもう一つ
「メンタルに効く西洋美術」
宮本由紀著
マール社

ここでは”人間力という才能”と書かれている。
ヴァザーリの書籍の中で書かれているラファエロの人柄を紹介しながらこう述べられてます。

ラファエロのおかげで「絵画」のランクが上がったという文章からは、画家としての才能も「人間力」も両方を兼ね備えていた、誰からも愛されるラファエロという人物像が見えてきます。

「メンタルに効く西洋美術」宮本由紀著

人間力!!成功の条件は才能だけでなく良い人間であるってことなんですね。

3大巨匠の中でも強烈な個性を持った他の2人、ダ・ヴィンチとミケランジェロと比べると地味な印象がありますが、ラファエロは弟子やパトロンなど関わる人にも愛される人柄を持っていた。でもそれは大物だからってペコペコしたりではなく批判もユーモアでもって交わせるような人でもあった。これらの本から、私が受け取ったラファエロの人物像です。


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