「カナレットとヴェネツィアの輝き」展

2024年カナレットの大規模な展覧会が開催されます。

昨年末そのことを知ってからとても楽しみで、気がついた時に情報が出ているのか常にチェックしています。新しい情報が出てきたらここでもご紹介していきます!

「カナレットとヴェネツィアの輝き」は巡回展

この展覧会は、7月に静岡からスタートして2025年6月の山口県まで4館の美術館を巡回するようです。

「カナレットとヴェネツィアの輝き」
開催日:2024年7月27日〜9月29日
開催場所:静岡県立美術館

開催日:2024年10月12日〜12月28日
開催場所:SOMPO美術館

開催日:2025年2月15日〜4月13日
開催場所:京都文化博物館

開催日:2025年4月24日〜6月22日
開催場所:山口県立美術館

展覧会の特徴は?

カナレット(本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)は、1697年ヴェネツィアで生まれた画家。彼が生涯描いたのは、ロンドンに滞在した10年間の絵を除くとヴェネツィアの絵ばかり。特にヴェネツィアの水や光の煌めきや、祝祭の様子を鮮やかに描いたのです。

今わかっている情報から推測すると、ヴェネツィアの大運河を行き交うゴンドラや、華やかな祝祭の様子に思いを馳せながら、当時の旅行者の気持ちになって展覧会を楽しむことができそうです!

その理由はこの3つ。

当時のヴェネツィアの旅行者になって楽しめる理由

  1. ヴェネツィアの名所をたくさん描いているから
    カナレットはヴェネツィアの大運河、サン・マルコ広場、リアルト橋など、象徴的な場所を精密に描いています。旅行者にとって特に人気のあったこれらの名所は、鮮明に再現されて当時の様子や雰囲気を今に伝えてくれてるからです。
  2. イギリス旅行者の旅の記念品だったから
    カナレットのヴェドゥータと呼ばれている景観図はイギリスからの旅行者たちに愛され、旅の記念品としてたくさんの絵が描かれてたのです。カナレットの絵は旅行者がイギリスに帰ってからも旅を追体験するのにぴったりだったのです。
  3. ヴェネツィアの祝祭や日常生活を描いているから
    カナレットはヴェネツィアといえばと言う象徴的な場所だけでなく、祝祭や日常生活も詳細に描き込んでました。そこには18世紀のヴェネツィアの活気が溢れているのです。絵を通して、当時の旅行者が街をどのように楽しんだのかを感じ取ることができるはずです。

その他にも、カナレットより1年早くヴェネツィアに生まれた画家ティエポロの作品も紹介されます。装飾壁画で活躍したティポロとの比較は面白そう。

またカナレットの甥のベルナルド・べロッドの作品も展示されるようです。

のちの時代にヴェネツィアの風景を画家はどのように描いているのか、モネやシニャックの作品で見ることができるようになっているそうです。

カナレットの作品をまとめて展示する展覧会は、おそらくアジアでは初めてなのだとか。これは本当に楽しみです。

▼静岡県立美術館のサイトです。展覧会の内容についてはこちらを参照しました。

カナレットとヴェネツィアの輝き|展覧会一覧|展覧会|静岡県立美術館|日本平のふもと、緑に囲まれた美術館
カナレットとヴェネツィアの輝き|展覧会一覧|展覧会|静岡県立美術館|日本平のふもと、緑に囲まれた美術館

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カナレットについてもう少し詳しく!

カナレット(本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル (Giovanni Antonio Canal "Canaletto"))は、1697年ヴェネツィアで、劇場の背景画家をしていた父のもとに生まれました。父から遠近法の基礎をしっかりと教わりながら働く中、カナル親子の呼び名を区別するために”カナレット”(小さなカナル)と呼ばれるようになったのです。

生涯描いたのは、ロンドンに滞在した10年の絵を除けばヴェネツィアの絵ばかり。ここまで詳細に広範に描いた画家はいないわけで、ヴェネツィアの記録としても価値があります。

カナレットはカメラオブスクーラという、遠近法を正確に描くための強力なツールを使用していたとされたと言われています。その理由の一つは正確さです。柱の大理石の模様、建物のドアの装飾、屋台の日除けにかかる影などじっくり見れば見るほど驚かされます。でも正確なだけではなく詩的な情緒も溢れているんです。このバランスがカナレットの作品を特別なものにしています。

カナレットは当時は景観画家として珍しい選択をしました。まだ、景観風は歴史画や宗教画、さらには肖像画や風景画に比べても評価されていなかったからです。都市景観図が発展していたのはオランダです。オランダではフェルメールのように100年前にもデルフトの細部を忠実に描く絵が登場していました。

現場でのスケッチから始まり、アトリエでの構成がカナレット作品制作の流れ。想像力を駆使して自由に改変を加え、ヴェネツィアの風景を劇的な効果で捉えました。そうやって描かれたのが景観図(ヴェドゥータ)と、カプリッチオという空想的な風景画。実際には見えないはずの場所から見える風景を描いたり作品にドラマを加えているのです。

イギリスの旅行者に人気だったと前に書きましたが、彼にはジョセフ・スミスというスポンサー兼プロモーターの存在がありました。当時イギリスからグランドツアーとして貴族の子息が教養旅行として大量にイタリアに訪れていたのです。そこで活躍したのがスミス。彼がイギリス貴族とカナレットを繋いでくれたのです。

スミスもカナレットの絵を大量に所有していて、その内容は油絵50点、素描は150点ほどあったようです。その後財政難になりコレクションの大半を英国王ジョージ3世に売却しました。それらの作品は今でも英国王室コレクションになっています。

イギリスの美術館、バッキンガムパレス、イギリスのカントリーハウスにはカナレットの作品が必ずといっていいほどあるくらいなのはそんな理由があるからです!

展示される作品について

今回展覧会に登場する絵の一つが、この記事の画像の右の絵!!

「大運河のレガッタ」(Regatta on the Grand Canal)

毎年2月2日に開催されたレガッタ・カーニヴァルの様子を描いてます。運河にはベネチアの有力な家族が所有しているビッソーネ(ゴンドラの一種)が並んでます。精巧に彫刻されて金箔で飾られた豪華な船やシンプルなゴンドラなどたくさん勢揃いしています。そのお祭りを見学する人も一人一人丁寧に両脇にたくさん描かれているんですよ。

実はこの絵、昨年イギリスのボウズ・ミュージアム(Bowes Museum)で見てきたんです!!この時2枚のカナレットが並べて飾られていて、もう一枚は今回は来るのかしら・・・

バッキンガムパレス、ナショナルギャラリーやアニック城でもカナレットの絵をたくさん見てきました。再会できる絵があると嬉しいな。

ブログではカナレットについて記事書いていきます!ぜひまた読みにきてくださいね。

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