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【展覧会レポート】ストラスブール美術館展を見に、姫路市立美術館に行ってきました。

お正月休みの1月3日、姫路市立美術館のストラスブール美術館展に行ってきました。
姫路市立美術館は、あの美しい姫路城のお側に建つ美術館です。

ストラスブールは、フランス北東部アルザス地方にある、パリから3時間ほどに場所にある街。
ドイツ国境に近い場所にある、ストラスブール近現代美術館は20世紀〜21世紀のモダンアートが中心のコレクション約18000点所蔵。

その美術館から、印象主義からモダンアートまでの作品約110点が集められた展覧会です。
コロー、クールベ、モネ、シスレー、ピカソ、ブラックからカンディンスキーなど、フランス絵画の主要な流れを見ることができます。

そして、日本の美術館でよく開催されている、印象派やその流れの紹介する展覧会で見る超有名どころ画家の作品ばかりではなく、私はこれまで見たことがなかったストラスブール出身の画家の作品もありとても新鮮な展覧会でした。

 

ストラスブール美術館展の構成

展覧会の構成はこんな感じになっていました。

時代を追って見ていきますが、アヴァン=ギャルドになるととたん難しくなるな。
頭ではわかっていてもその解釈が自分の中まで分解できていない感じです。
でも頭で見るよりも、じっと見ていくとだんだん気づいていく見えるものや、色や形から与えられる印象を素直に受け取ってみようと見ていきました。

 

1章 印象派とポスト印象派

・印象派以前の風景画

野外で自然を自由に観察することを大切にし、彼らの作品には古代の風景や、理想の美ではなくて、現実の姿が描き出された。
ルソー、コロー、ピサロ、ドービニなどの作品。

・印象派と風景画

ルソーたちが行ったように野外での観察をして、目のまえの風景から個人個人が受ける感覚を表現しようとした。
そして伝統的な描き方を捨てていく。
モネ、シスレーや、その後に続くストラスブールの画家たちの作品

・筆触

この時代の筆触(ひっしょく)はとても重要なことになっていきます。筆触って筆さばきと言ったらいいのでしょうか。
印象派以前も筆の跡を残す描き方はあったけど、一般的には跡の残らないツルツル、すべすべの画面が良いとされてきました。
でも、印象派以降、筆の強さや、速さや、リズム感、色の載せ方などが、画家独自の表現方法となり、アートの意味を問いかけることになっていきます。
ゴーギャン、マルタン、シニャック、ボナール、デュフィなどの作品が並びます

2章 近代絵画におけるモデルのかかわり

マネによって変化した画家とモデルとのかかわり。このモデルとは人物だけでなく描く対象となる物も含まれています。
その後に、新しい肖像画や風景画を作っていった、ロダン、カリエール、ゼーバッハ、シャガール、ピカソ、A.R.ペンクなどの作品が並びます。

 

3章 アヴァン=ギャルド
・キュビズム

ブラックやピカソによって生き物、物体、自然までもが幾何学的に描かれるようになる。
ルネサンスから続く絵画の伝統であった、目の前の現実を再現する絵画の役割が崩れることとなった。
ヴラマンク、マルクーシ、グリスなどの作品が並びます。

・抽象絵画

作品は、幾何学的な表現、形や姿の単純化、色彩にも形式さを加えるものが出てきたり、そして画面には時間や空間といった物もなくなっていく。
カンディンスキーやアルプなどの作品。

・シュルレアリスム

意識や意思を、画家と作品の間に存在させることを少なくするために、フロッタージュやコラージュ、レイヨグラフなどといった新しい技法が使われていく。
マグリット、エルンスト、ブラウナーなどの作品。

好きになった作品たち

見ていていいなぁーと離れがたかった作品を少しだけご紹介。
アヴァン=ギャルドの作品になると現代に近いため画像がない作品が多いので、印象派やポスト印象派です。

 

「ラ・ドゥアンヌからストラスブールへの道、雨の効果」
ロタール・フォン・ゼーバッハ
1895年ごろ

今回初めて知ったゼーバッハ。アルザスの印象派とも称されているのだそうです。
1853年に貴族の家系に生まれ、美術アカデミーで学び、1875年にストラスブールに移り住んだ人。
風景画2点と女性の肖像画3点見たのですが、どれも良かったな。
このストラスブールの風景は、雨の濡れた道や空気のしっとり感に光が当たった感じがなんとも言えず美しかった。

 

 

「ガブリエル・セアイユと娘の肖像」
ウジェーヌ・カリエール
1893年

独特の褐色で描き出すスタイルのカリエール。
男性とその娘の作り出す幸せ感がよく表現されていると思いませんか?
女の子の表情やポーズが、私の姪っ子が彼女の父や祖父(私の父)と写ってる写真にもこんなのあったなーと思わせてくれて、見ていてこちらも幸せな気持ちに。

 

「内なる光」
モーリス・ドニ
1914年

ドニの作品は色が本当に美しい。
これは彼の別荘の食堂が舞台で、妻と3人の娘が描かれている。

家族を大切にしていたドニが奥さんについて語った言葉が、ストラスブルグ展の図録に紹介されていました。
「感覚の歓びと精神的な歓びをこれほど親密に融合させながら、人生をこんなにも愛せたのは、彼女のおかげなのです」

 

姫路市立美術館だけのお楽しみ

 

姫路市立美術館は、フランス近代絵画のコレクションの名品を所蔵しているということもあって、ルノワールの「母性」のデッサンや、マティスの連作版画本「ジャズ」の全点が公開されるコーナーがありました。
ルノワールの「母性」はストラスブール美術館のコレクション作品で、原画は今回の展覧会では来ていませんが、写真とデッサンとの比較を見ることができました。

常設展示室ではルオーの「町外れ」の裏面に描かれた作品「老女」も初公開もあり、さらにさらに、同期間の常設展では、シュルレアリストのマグリットの版画集「マグリットの落とし子たち」の展示がありました。
この版画集は、マグリットが友人で詩人のルイ・スキュトネールの詩と自分の版画をあわせて出版したもの。
詩がマグリットの版画の横に添えられていて、読みながら、マグリットの描く独特の世界に入り込んでみてしまいました。

特別展覧会に合わせて、その美術館独自のコレクションをこうやって見せてくれるのってすごく嬉しい!!
その時期だけの、その美術館だけのお楽しみなので貴重なんですよね。

 

ストラスブール美術館展の詳細

「ストラスブール美術館展」
姫路市立美術館
会期:2019年11月12日〜2020年1月26日
休館日:月曜日(1/13は開館)、1/14
開館時間:午前10時〜午後5時
*入館は午後4時半まで
美術館サイト:https://www.city.himeji.lg.jp/art/index.html

→下記の美術館へ巡回します
豊橋市美術博物館(2020/2/8-3/29)
いわき市立美術館(2020/4/11-5/24)
福岡県立美術館(2020/6/5-7/19)

 

 

 

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