365日絵のなかで”旅”をする 旅するアート鑑賞

コンスタブルの描くワイブンホー・パークの昼下がり【365日絵のなかで”旅”をする】

2024-01-26

晴れた夏の日のイングランドの美しい田園風景。
ここはイギリス東部エセックス州にある広大な公園、ワイブンホー・パーク(Wivenhoe Park)。公園には湖があり白鳥が泳ぎ、たくさんの他の鳥の姿も見えます。右側には船に乗って網を広げている2人の人物も。船が傾いていてちょっと怖いくらいです。湖の周りには牛がのんびりと草を食べているゆったりとした時間が流れています!

雲が作り出す地上と湖の光と影が美しい。刻々とその影が動いていく様子が目に浮かぶようです。コンスタブルは雲を見て研究するのが大好きでした。観察をし、スケッチしながら研究したのは、空が風景にどのような影響を与えるか、雲がどのように風景に冷たい影を作り出し、太陽の光が通り抜ける明るいエリアを作るかです。

池のちょうど真ん中あたりには雲の切れ目で明るく空が反射している部分があります。そこからもう少し目を上に向けていくと・・・木のすき間から赤煉瓦作りの18世紀の邸宅が姿を見せます。

絵を画家ジョン・コンスタブルに注文したフランシス・レボー少将 (Francis Slater Rebow)家です。

レボー少佐はコンスタブルのパトロンであり友人。絵の代金を前払いしてコンスタブルの結婚を支援したのだとか。

公園と邸宅は所有者を変えながら、1960年代にはエセックス大学へ売却。邸宅は大学の運営でホテルに生まれ変わっています。そう!ここは絵の中に泊まることができるのです。

もう少し絵を見てみると、れぼー少佐の娘メアリーが、ドンキーにカートを引かせて運転しています。

邸宅を取り囲む広大な庭園はなだらかな丘になっていて、曲線を作り出す小道も見えます。池から邸宅に向かって歩いている途中、木の間から見える景色も次々を変わる演出は、イギリスの風景式庭園の特徴です。


タイトル:ワイブンホー・パーク、エセックス(Wivenhoe Park, Essex)
画家: ジョン・コンスタブル(John Constable (1776-1837年))
制作年:1816年
所蔵館:ナショナルギャラリー、ワシントン


イギリスの田舎には、今でも昔と変わらずに同じような眺めを残しているところがたくさんあるのが魅力です。
コンスタブルの絵のように、湖を優雅に泳ぐ白鳥や鳥のさえずり、牧草地帯でゆったりと歩く馬、牛、羊たちの風景は身近にあります。
ワイブンホー・パークはどのように残されているのかいつか見に行きたいものです。


(参考)
https://www.nga.gov/collection/art-object-page.1147.html
https://www.wivenhoehistory.org.uk/content/category/topics/places-buildings/wivenhoe-park
https://www.wivenhoehouse.co.uk/



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