アート日記

歴史や文化は静止ではなく、つねに進化し変化している

2023-11-29

これは、「カピトリーノの雌狼(複製)」のポストカードです。
先日見に行った「永遠の都ローマ展」で買ったものです。

会場に入ってすぐの場所に彫刻は展示されていました。展覧会のスタートにぴったりの作品。ローマのシンボル的存在だからです。しかし、一緒に見に行った友人は「複製なんだ・・・残念」と言ってました。

そうそうこの展覧会、私も楽しみにしていたこちらの作品やコンスタンティヌス帝の巨像はすべて複製だったのでちょっとがっかりしたのです。しかし、そんなに簡単に貴重な品々をたくさん運んでくるわけにはいかないですよね。

「カピトリーノの雌狼」は、かなり面白い作品です。

ローマのシンボルとして大切に扱われているのは、この銅像がローマ建国のイメージを表しているからです。神話によると、ローマの創設者で双子のロムルスとレムスは、子供の時にティベル川の岸に捨てられて、彼らを救った雌狼が授乳し育てたとされています。まさにこの銅像のイメージです。

しかし、雌狼は紀元前5世紀製。そして双子はルネサンスの時代に後から付け加えられたものなんだとか。もともと狼はカピトリーノの丘にある宮殿に置かれており重要なものだったはずですが、ミケランジェロが広場を整備したときに宮殿内に移されて双子が追加されました。

そう、このときにローマのシンボルになったんです。

近年の修復調査では、この狼が12世紀ごろのものだという結果も出てきたそうです。専門家の間でも議論が続いているそうですが、このことはどんな意味を持つのだろうと考えてみました。

制作された時代が違うと本来の目的や意味が変わってきます。だってローマの建国とは何の関係もなかったものかもしれないのですから・・・

永遠の都ローマ展
2023/9/16-12/10 東京都美術館
2023/1/5-3/10 福岡市美術館

双子のロムレスとレムスは、軍神マルスと、かまどの女神ウェスタの神殿に使える巫女レア・シルヴィアとの間に生まれた子供とされています。ルーベンスがマルスとレア・シルヴィアの出会いの場面を描いた素敵な絵があります。2018年に国立西洋美術館で開催されていたルーベンス展の記事で紹介しています。


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