高知県立美術館

 

高知県立美術館

高知県立美術館
1993年11月3日に開館
〒781-8123
高知県高知市高須353-2
TEL 088-866-8000 / FAX088-866-8008
美術館HP: https://moak.jp/

 

シャガールの版画1200点以上を専用展示室で入れ替え展示

高知県立美術館のみどころの1つは、マーク・シャガールの油彩画5点、版画1200点以上になる世界的規模のコレクションです。
ヨーロッパの美術館のような赤い壁紙が素敵な、シャガール専用展示室でじっくりと楽しむことができます。
多数のコレクションの中から、年に4.5回の企画展として展示しているそうです。
いつ行ってもシャガールの作品を見ることができるのは嬉しいですよね。

シャガールコレクションの成り立ち

なぜこんなに大規模なコレクションがこの美術館にあるのか、学芸員の方にお聞きしてみました。
1993年に開館した高知県立美術館は県立の美術館としては後発で、そのため何か目玉になるようなコレクションを持ちたいということになり、日本人にも人気があるシャガールが候補にあがったそうです。
当時高知県知事と交流のあったCSKの創業者でセガ・エンタープライゼスの会長や社長を歴任された故大川功氏が、美術館の開館記念に貸してくださることに。
その後大川氏のコレクションは、寄贈という形で高知県立美術館のものになったのだそうです。

この話をもう少し調べたくて検索していると、このシャガールの版画コレクションの元の持ち主は、須磨学園理事長、エンジニアの西和彦氏だったそうです。
西氏の会社が資金難の時、大川氏がまとめて10億円で買い取った。
このことが結果、西氏の大規模コレクションが売りに出されバラバラにならことなく美術館にまとまったことになったらしいのです。

 

シャガールのこんな冊子もいただけました

マルク・シャガールについて

1887-1985年
帝政ロシア(現在のベラルーシ共和国)のヴィテブスクのユダヤ人家庭に生まれる。
1911年から14年までパリに住み、詩人サンドラール、アポリネールらと親交を結ぶ。
キュビスムの空間的効果、ドローネーらの鮮烈な色彩表現に影響を受けつつ、子供の頃の記憶からイメージを引き出し、独自の幻想的なスタイルを展開した。14年、ベルリンのシュトゥルム画廊で個展を開催。その後も同画廊と関係を保ち、ドイツ表現主義の運動に影響を与える。二度にわたる世界大戦の戦火や、ナチ政権によるユダヤ民族迫害、アメリカへの亡命、制作の霊感の源であった愛妻ベラの死去など、さまざまな苦難を乗り越えて画業を深めた。

 

写真家・石本康博のフォトセンター

国際的に活躍した写真家・石元泰博の膨大な写真作品をこちらも専用の展示室で公開しています。
2013年には、フォトセンターが開設されて、プリント・フィルム・関連資料等を網羅的に所蔵しています。

石本康博コレクションの成り立ち

ご両親の出身地が高知である写真家の石元氏。
高知県立美術館では石本氏の生前から逝去した後にかけて、ご本人とご遺族から段階的に作品等の寄贈を受けていたそうです。
コレクションの規模は、プリント34,753枚に加え、ネガフィルム約100,000枚、ポジフィルム約50,000枚など。

石本康博について

1921-2012年
1921年6月14日、アメリカ・サンフランシスコに生まれる。3歳のとき両親の郷里である高知県に戻り、39年高知県立農業高校を卒業。同年、単身渡米するが、間もなく太平洋戦争がはじまり、収容所生活を経験する。終戦後は、シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称、ニュー・バウハウス)で、写真技法のみならず、石元作品の基礎を成す造形感覚の訓練を積む。その後、桂離宮のモダニズムを写真により見出した作品で高い評価を受ける。丹下健三、菊竹清訓、磯崎新、内藤廣など日本を代表する建築家の作品を多く撮影していたことでも知られる。

 

その他のコレクション

2018年には岡上淑子のコラージュ展が開催されました。

美術館には、国内外の約440名の作家による41,000点以上の作品を収蔵されています。(2021年1月美術館ホームページより)

 

美術館サイトでも紹介されているアーティストたち

ヴァシリー・カンディンスキー
パウル・クレー
マックス・ペヒシュタイン
ジョージ・グロス

↓高知県ゆかりのアーティスト
中山高陽
弘瀬洞意(絵金)
河田小龍
山本昇雲
石川寅治
山脇信徳
土方久功
今西中通
高橋元尚
岡上淑子
岡谷博
合田佐和子
日和崎尊夫

 

弘瀬洞意(絵金)は狩野派として江戸の土佐藩御用絵師をして活躍していた人物。贋作事件で失脚し地元高知に戻り「芝居絵屏風」を描きました。
彼の屏風は毎年7月の絵金祭りに商店街に飾られ登場します。

私の美術館お気に入り情報

鑑賞者に寄り添ってくれる

私は展示室でメモ取りながら見ていました。ノートを持ってくるのを忘れて、書きにくそうに紙に書いている私の姿を見ていた係の方がバインダーを貸してくださいました。
美術館に行ってこんなことしてもらったの初めて!
また作品と並んで展示してあるアーティストの言葉は、「印刷資料があるので持ってきますね」とプリントされた資料をいただきました。
このプリント資料は英語版でもちゃんと用意してあった。
私が見た「岡上淑子展」は、海外で高く評価されているアーティストだからなおさらなのかもしれませんが、鑑賞者のこと考えられてる美術館だなと感じました。

 

最寄り駅から美術館へのアプローチにもワクワク感がある


美術館へは、とさでん路面電車が便利です。「県立美術館通駅」を降り歩いて行くと、土佐湾に注ぐ国分川の向こうに土佐漆喰技術で土蔵をイメージした建物が見えてきます。
訪問した日は快晴だったので、さわやかな風を感じながらの美術館までの道のりも楽しめました。

 

 

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