西洋美術の宗教画 西洋美術史

宗教画の見方を知りたい!意識して見たい3つのポイント

ヨーロッパへ海外旅行に行ったり、日本で西洋美術の展覧会に出かけると宗教画に出会いますよね?

何が描かれてるか分からない・・・
どう見れば良いのかむずかしい・・・
あまり興味がないな。

そんな風に感じたことありませんか?

ここでは宗教画を見るときに知っておくとよいポイントを3つご紹介します。

そしてその3つのポイントを、ヤン・ファン・エイクの名画を例にして説明。

あなたの宗教画へのイメージがきっと変わるはずです。

何が描かれているのか意味がわかると宗教画はおもしろくなる

西洋美術の歴史の中で、古代ギリシア・ローマ時代以降の多くは宗教美術です。
聖書の世界をテーマにした美術ということですね。

宗教画は識字率(文字の読み書きができる人の割合です)の低かった時代、人々にキリスト教の教えを伝えるために描かれたもの。
見てわかるための”聖書”です。

絵を注文していたパトロンは教会。

ということは、キリスト教の教えをこう伝えたい!というパトロンの思惑があるのが想像できますよね?

イエス・キリストはこう描かれるべき!
などという決まり事ができてくるわけです。


だからこそ、宗教画は見ただけでは分からない、背景を知って読むように愉しむことが必要。

では、知っておくとよい3つのポイントはこちらです。

  • の絵画には誰が描かれているのか。
  • 聖書のどんな物語が描かれているのか。
  • 画家は聖書のその場面をどのように表現しているのか。

絵を丁寧に見ながら、こういったポイントを知っていくと、ぐっと面白くなってきます。

そして美術館、インターネットや本などで、多くの作品を見ていくとこの決まり事やパターンがわかってくる。

これは断言できるので、ぜひちょっとづつ楽しんで見てほしいです。

ヤン・ファン・エイクの「受胎告知」を見てみましょう

「受胎告知」
ヤン・ファン・エイク
1434-1436

では3つのポイントを絵を使って説明します。

こちらは、ヤン・ファン・エイクという画家が聖書の中の「受胎告知」という場面を描いた絵です。

描かれたのは1434年から36年。

ファン・エイクは、今のベルギーやオランダで活躍した画家です。

絵画には誰が描かれているの?

受胎告知」は、聖母マリアのもとに神の使いである大天使ガブリエルが現れて、神の子を身ごもることを告げる場面。

なので絵の中には聖母マリアと大天使ガブリエルが描かれるのが普通です。

聖母マリアの衣装は伝統的に青となっています。
そしてマリアと一緒に描かれるアトリビュートという持ち物の百合の花も手前に描かれています。

大天使ガブリエルはマリアの横に立って何かを語りかけていますね。

聖書のどんな場面を描いているの?

この絵は新約聖書の中に出てくる「受胎告知」の場面です。

大天使によって神の子を宿すというお告げを聞いたマリアは、静かにそのことを受け入れます。

この場面は新約聖書に登場するものですが、新約聖書と旧約聖書は密接に繋がってます。

旧約聖書の中でアダムとエヴァは、神から禁止されていた果実を食べるという罪を犯しました。

そのために人間は神に与えられた永遠の生命を失います。

しかし、聖霊によって処女マリアから生まれて人となったのがイエスです。

イエス・キリストが人間の救済のために、人間になって(化肉と言われます)現れる。

その神秘の瞬間を絵で表現しているのが「受胎告知」という絵です。

画家は聖書の場面をどのように表現しているの?

さて、ここからはヤン・ファン・エイクという画家が「受胎告知」をどのように描いているのか見ていきます。

聖書には一つ一つの場面にそんなに詳細な説明がされているわけではありません。

そこをどのように描くのかは画家の腕にかかっています。

まずはマリアの衣装。
伝統的な青の衣装ですが、襟や袖元は白地に黒の模様の入った柔らかそうな布地の縁取りあったり、ガウンには金色の縁取りもありとてもエレガントです。

大天使ガブリエルの方は、虹色の翼を持った豪華な衣装を着せています。
この衣装、金を使って描かれているように思いませんか?
でもこの部分、薄い黄色に黒の線を細く描いて金色に見せているのだそうです。
金箔を貼るよりも、金に見えるように黄色を使う技術が画家の腕の見せどころだったわけです。

2人のの口元にはセリフが添えられています。
そしてマリアの返答は神へ見えるように逆さまに描かれています!!

そして、2人のいるのは教会の中。
教会の上部の窓からは、聖霊の鳩がマリアに向かって飛んできています。
光の線も見えますね。

そして、教会の床にもぜひ注目!!!
旧約聖書と新約聖書の世界をつなぐために、床のタイルには旧約聖書の物語や星座が描かれています。
とにかく一つ一つ細かく丁寧に描かれます。

教会の建物もじっくり見ていくとそのリアルな表現に驚かされます。
ステンドグラス
壁画
柱頭の模様
にもぜひ注目してください。

ヤン・ファン・エイクの作品は細部まで本当に丁寧に描かれています。
一見堅苦しそうな絵画ですが、彼は絵の中に遊び心をたくさん仕込んでいて、それを発見することも楽しみの1つです。

細かいところはぜひ美術館のサイトでズームしてじっくり見てください。


▼ワシントン・ナショナルギャラリーのホームページに飛びます

https://www.nga.gov/collection/art-object-page.46.html



まとめ

はじめにも書きましたが、宗教画はたくさん見ていくと徐々に分かるようになってきます。

タイトルを見なくても、描かれている人物や物を見ることで、これはあの場面だ!とかこの人物はあの人だ!と必ず分かるようになる。

もちろんすぐにというわけには行きませんが、少しづつ見る経験が積み重なっていくとです。

そしてただ見るだけではなく、ここに書いた3つのポイントを意識して見ていってください。

① その絵画には誰が描かれているのか

②聖書のどんな物語が描かれているのか

③画家はその場面をどのように表現しているのか。

同じテーマで様々な画家が描いてもいるので、比較して見るのもおすすめです。


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