Cosiness and Adventure

  • 教養を磨く西洋美術史
    • 西洋美術のためのキリスト教
    • 西洋美術史のためのギリシア神話
    • アートディクショナリー
    • 美術様式から学ぶ
    • 画家を知る
    • 絵画の見方
  • 美術館
    • おすすめ美術館
      • 東京
      • 大阪
      • 京都
      • イギリス
        • ロンドン・ナショナル・ギャラリー
    • 展覧会レポート
      • 2020年
      • 2019年
      • 2018年
    • これから行きたい展覧会
    • 美術館を楽しむコツ
  • サービス
    • 鑑賞会
    • 美術史講座
    • 展覧会ガイド
    • お客さまの感想
    • 開催済みの鑑賞会・講座
  • アート de 価値観
    • 対話型鑑賞
    • アート思考
  • 美術館と私
  • アートにまつわるあれこれ
    • アートに関する映画
    • 子供向けアート対話型鑑賞
    • ブックレビュー
    • アート旅
      • 国内
        • 京都
        • 大阪
        • 東京
        • 滋賀
        • 金沢
      • 海外
        • イギリス
  • ブログ
    • つぶやき
    • 好きなもの/こと/人
    • 学び
    • 起業
  • プロフィール
  • Contact
You are here: Home / 教養を磨く西洋美術史 / アートディクショナリー / ピーテル・パウル・ルーベンス 「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」

ピーテル・パウル・ルーベンス 「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」

2019-02-10 By Yoko

10 2月

「マリード・メディシスのマルセイユ上陸」連作マリード・メディシスの生涯から
The Disembarkation at Marseilles
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577年ー1640年)
Peter Paul Rubens
1622年ー25年
ルーブル美術館所蔵

描かれているのはマルセイユに到着したマリー・ド・メディシス

たくさんの登場人物が描かれているこちらの絵、主人公はどの人物だかわかりますか?

 

船から降りて陸へと渡ろうとしている真ん中の白いドレスの女性。
右の青いマントを着た人物から手を広げ迎えられている、堂々とした人物が主人公のイタリアメディチ家のマリー・ド・メディシス(1573年〜1642年)です。

 

イタリアではマリア・デ・メディチ。フランスではマリー・ド・メディシスと呼ばれています。

 

1600年の10月5日、マリー・ド・メディシスは、故郷であるフィレンツェでフランス国王アンリ4世との代理結婚式をあげました。
多忙でフランスを離れられなかったアンリ4世の代理人と、マリーが結婚式を挙げることになったのです。
アンリ4世の代理人役はトスカーナの大公が務め、フランスのブルボン王家とイタリアのメディチ家がここで結びつきました。

 

1599年からフランスの使節団がフィレンツェ宮廷にやってきて、婚姻の準備を整えていたというそうですから準備から気合の入れようが違います。
マリーの持参金は金銀財宝の他、フランスがフィレンツェ共和国に負っていた負債の金額を帳消しにする分も含まれていたそうです。
まさに政略結婚ですね。

 

フィレンツェ大聖堂で行われた挙式と1週間に及ぶ祝祭のあと、マリーは金の織物や宝石で飾られた豪華なガリー船で11月3日にマルセイユに到着。
この絵はその到着の様子を描いたものなのです。

 

さらにその後リヨンでついにアンリ4世に会い、2人の結婚の儀式は完了しました。

 

神話や寓話を交え壮大な歴史画に描いたルーベンス

マリーは、パリのリュクサンブール宮殿に飾るためにピーテル・パウル・ルーベンスに自分の連作絵画を依頼しました。
24枚からなる「マリー・ド・メディシスの生涯」には、21枚が彼女の重要な出来事と、3枚はマリーと両親の肖像画が描かれました。

 

この絵はその21枚の中の1枚で、マルセイユ到着の様子を、神話の世界や寓意なども交えて、まるで歴史画を見るような壮大さを演出しています。

 

ルーベンスはどのように演出したのでしょうか?

 

マリーは、両脇に叔母でトスカーナ大公妃クリスティーナと、姉のマントヴァ公妃エレオノーラを従えタラップを降りています。
彼女たちを両手を広げて迎え入れているのは、兜と黄金のフルール・ド・リス(アヤメの花の紋章でフランス王家とゆかりがある)が刺繍してあるマントを羽織った「フランス」を擬人化した人物。
その上には「名声」の擬人像がトランペットを鳴り響かせています。
船から岸に渡るタラップの下には、フィレンツェからマルセイユまでの長い船旅を見守ってきた、海の神やニンフたちもこの歓迎に加わっています。

 

実際にマルセイユに着いた時にはタラップが上向きになっていて、マリーはタラップを上がっていったそうです。
でもそこを彼女が船から降りていく様子で描くことで、彼女の地位の高さ、威厳さを加えています。

 

ルーベンスから自分の価値を高めることを学ぶ

マリー・ド・メディシスの生涯を描いたピーテル・パウル・ルーベンスは、「王の画家」「画家の王」と言われるほど当時もそしてその後の画家にも大きな影響をおよぼした人。
そして、画家として多くの注文をさばくため大工房を運営し、宮廷画家としても外交官のような重要な任務をこなす人物でした。
活躍の範囲はヨーロッパのさまざまな国。
イギリスのチャールズ1世からは称号まで与えられています。

 

ルーベンスの父はアントワープでは有力な法律家でした。
しかし当時のフランドルはカトリックが国教のスペインハプスブルク家の支配下で、プロテスタントが厳しく迫害されていました。
父は1568年に告発されて家族はドイツのケルンに亡命。ルーベンスはその後1575年にドイツで生まれています。
その後父はオランダオラニエ公ウィレム一世の妻アンナの秘書けん法律顧問となるものの、2人の不倫が発覚。
父は死罪は免れましたが自宅軟禁となりました。
軟禁はとかれ父の死後はアントワープに戻りカトリックに改宗。
家庭を支えるために13歳で伯爵の小姓となったあと、14歳からは画家の修行を始めます。

 

マリー・ド・メディシスの代理結婚式に、当時イタリア留学中のルーベンスはマントヴァ公に付き添い参列しています。
当時はまだマリーと対等に出会えるような身分ではありませんでしたが、その後直接マリーから重要な絵画を依頼されるまでになる。

 

当時のイタリアは芸術の最高峰の国でした。
古代ギリシアやローマの芸術、ルネサンス芸術、最先端の芸術が発信される場所。
そこで8年間徹底して吸収したスケッチを終生大事にして制作に役立て、手紙を描く時はほぼいつもイタリア語を使っていたそうです。

 

擬人像や神話の人物を絵に入れる。ルーベンスの描きこんだ意味を知識のあるお客様は見つけて意味を考え楽しむことができるのですね。
またこのマリー・ド・メディシスの絵画のように自分が歴史の中の重要な人物のように描かれていたらそれは満足することができるでしょう。
自分の知識を最大限に活かしたルーベンスの絵画は、当時のお客様である王族や貴族の人たちの知的好奇心を刺激するようなものだったのです。

 

▼ルーベンスにとって貴重だった8年間のイタリアでの日々に焦点をあてた2018年の展覧会「ルーベンス展ーバロックの誕生」の展覧会レポートはこちらから読めます。
ルーベンス展ーバロックの誕生 国立西洋美術館で開催中

 

 

 関連記事

  • 自分の才能を信じる強い気持ちが溢れる「34歳の自画像」レンブラント自分の才能を信じる強い気持ちが溢れる「34歳の自画像」レンブラント
  • アルルでの幸せな日々に描かれた【ひまわり】フィンセント・ファン・ゴッホアルルでの幸せな日々に描かれた【ひまわり】フィンセント・ファン・ゴッホ
  • 西洋美術への敬意があふれる「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」ジョン・コンスタブル西洋美術への敬意があふれる「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」ジョン・コンスタブル
  • 愛というテーマが潜む「ヴァージナルの前に座る女」ヨハネス・フェルメール愛というテーマが潜む「ヴァージナルの前に座る女」ヨハネス・フェルメール

Filed Under: アートディクショナリー, 教養を磨く西洋美術史

« 美術館をまるごとお得に楽しめる 京都国立近代美術館の友の会に入会しました
西洋美術史のためのキリスト教 »

メルマガ登録

< アートで価値観の気づき方 >

5日間無料メール講座です。

このメール講座は、自分の価値観やあり方に気づくためのアート鑑賞について体験できます。
2枚の絵を見てワークをして、自分が感じたことを掘り下げていきます。

アート鑑賞の鑑という字は鏡という意味もあります。アート作品は自分の心の中にあるものを気づかせてくれるのです。

美しいと感じたり、共感したり、苦手だと感じたり。それらは本来自分の心の中にあるもので、存在していないものは自分では見えないのです。

世間の評価ではなく、自分の価値観でアートを見ませんか?

▼詳細・登録はこちらからです。

LINE@読者登録

LINEで登録すれば、講座や鑑賞会のご案内などの情報をお届けします!

カテゴリー

検索

Latest on Instagram

cosiness_and_adventure

Yoko アート鑑賞で知る自分の価値観
【美化ではなく日常の女性や子どもの姿を描いたカサット】


1860年ごろ日本の美術品や工芸品がヨーロッパやアメリカに紹介されてジャポニズムと言われ人気もなりました。


印象派のアーティストがそれらに大きな影響を受けて、作品に生かしていったことは有名ですよね。


さらに、自分でと浮世絵をコレクションしていたり、日本の品を絵の中に登場させたりもしていました。


メアリー・カサットもそんな強く影響を受けた1人で、版画を制作したりもしています。


そして、アメリカ人コレクターのアートアドバイザーにもなって、印象派の作品を紹介したり、アメリカとヨーロッパの橋渡し的存在としても活躍していました。


このアドバイザー的役割については、

@yukimiyamoto777 
さんの著書
「メンタルに効く西洋美術 」にわかりやすく、詳しく書かれていて、こちらを読むことをお勧めしますよー。




+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室、Art and More。

第一弾講座は、印象派です。
講座のご案内はLINEでいち早くお知らせ。

@cosiness_and_adventure 

プロフィールのリンクからご登録くださいね。


+____________________________+



  【自分を生かす道を求めて画家 

【自分を生かす道を求めて画家にたどり着いたゴッホ】


ゴッホの激しい生き方やアルル時代の作品を見ていると、生きるために描くことが必要だったのだろうなと感じます。


大都会パリの生活に疲れて、1882年2月にアルルに旅立ちます。
アルルではパリで抑えていたものから解放されて、どんどん作品を描くゴッホ。


"自分が自分であるということをさえ意識しなくなる"

という言葉も残しています。





+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で
自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室は3月からスタートです。


@cosiness_and_adventure 

+____________________________+



  【科学的理論で時間をかけ描く 

【科学的理論で時間をかけ描くスーラ】


スーラと言えば点描画
点描画が言えばスーラ


この「グランド・ジャット島の日曜日の午後」は、どこかで目にしている人が多いだろうし、
一度見たら忘れられない作品ではないでしょうか?



印象派は、自然の中で描くこと、見たものの”印象”をすばやくキャンバスに描くことを重視していました。
そして光輝く生き生きとした明るい絵を作り出したけれど、ものの形は不鮮明で構図も曖昧になりやすいなとスーラは感じていました。
前の投稿でもご紹介したルノワールも、その辺りで行き詰まりを感じてました。



スーラはその原因は色の置き方が感覚的なのではないだろうか?と仮設をたてて、科学的な色彩理論で一点一点丁寧に色をおいて描きました。
その絵はもはや新しい印象派。


この絵なんか何点色をおいてるのだろうか・・・と驚きませんか??


以前神戸にあるファッション美術館で、カラフルな色の玉が付いた待ち針でこの絵を作った作品をみたことがあります。


あれはすごかった!!


こういうことなんだなとすごく納得のいった作品で、改めてスーラの凄さを理解できたのでした。







+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で
自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室は3月からスタートです。


@cosiness_and_adventure 

+____________________________+



 【ルノワールとモネの違い】  
【ルノワールとモネの違い】


20歳ごろ、2人ははパリの美術教室で出会います。
そこで出会った画家仲間が、グループ展を開催し、印象派と呼ばれるきっかけとなっていきます。


2人は一時期一緒に描き、とても似ているので見分けがむずかしいものも。


でも、ルノワールは印象派の描き方の限界を感じて、徐々に自分のスタイルを見つけようとしていきます。



2人の絵をたくさん並べて見ると、モネは風景画が多いけど、ルノワールは人物を描く絵が多い。



印象派の技法では、しっかりとした形が失われ、色模様になってしまう。
人物や建物などしっかりと手応えのある存在として描くことができないと考えたのですね。




+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で
自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室は3月からスタートです。


@cosiness_and_adventure 

+____________________________+




【ジヴェルニーの庭は戸外アトリエ兼モネの作品でもある】


印象派を代表する画家を、だれか1人あげてみてと言われたらやっぱりこの人しかいないでしょう!!



印象派って絵画の歴史を変えた革命児たちみたいに言われてるけど、モネは自分の”印象”をできるだけ忠実に描き続けたきたことが結果そうなってしまっただけなんですよね。



もちろん絵の才能や、鋭い感覚が備わっていたのは当然なんですが。



新しいスタイルは世の中になかなか受け入れられず、苦悩も多かったけれど、自分に嘘をつくことない生き方が作品にも力強さと明るさに溢れているように感じます。



人生の後半に移り住んだジヴェルニーに、理想の庭を作る。
それは、自分だけのアトリエであり、モネの作品でもあるのです。




+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で
自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室は3月からスタートです。


@cosiness_and_adventure 

+____________________________+



 大きく「印象派 」とくくられてい 
大きく「印象派 」とくくられていても、
描くものも、描き方も、画家としての生き方も目指すものも違います。



何に惹かれるのか?
どんなところに興味あるのか?



印象派好き!


から


ルノワールが好き
スーラが好き


さらに


絵のために美しい庭を作ったモネの生き方に憧れる
ゴッホの力強い筆致に気持ちが揺れ動かされる


とか語れるようになったらちょっと嬉しくないですか?



そして、そのあなたが惹かれるポイントには、自分の心を満たすヒントがきっとあるはず!




募集中の2月の鑑賞会は、「トライアローグ展」から3つの作品を対話鑑賞します。
プロフィールからチェックしてくださいね。




+____________________________+

対話鑑賞 * アート思考 * 西洋美術史知識で
自分の心、ものの見方を知る。


"常識"にとらわれず、自分らしく個性を表現して生きていくためのアート鑑賞教室を準備中です。


@cosiness_and_adventure 

+____________________________+

Load More... Follow on Instagram

CONTACT

  • Contact
  • 【無料メール講座】アートで価値観の気づき方

ABOUT

  • 【無料メール講座】アートで価値観の気づき方
  • サイトポリシー
  • プライバシーポリシー
  • プロフィール

CONNECT ME

  • Facebook
  • Instagram

Copyright © 2021 cosinessandadventure.com· All rights reserved