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ブリューゲル展【豊田市美術館】

2018-05-19 By Yoko

19 5月

「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」を愛知県豊田市にある豊田市美術館に見に行きました。この展覧会は東京都美術館を皮切りに全国5ヶ所の美術館を巡回するものです。

「バベルの塔」で有名なブリューゲルというと1人の画家をイメージするかもしれませんが、偉大な父であるピーテル・ブリューゲル1世のあと、2人の息子やその子孫たちが代々引き継ぎ、150年に渡ってブリューゲル一族は画家を生み出してきました。

この展覧会は一族9人の作品と同時代に活躍した画家の作品を通して、16世紀から17世紀のフランドル(現在のベルギーです)絵画の魅力を伝えてくれます。

ブリューゲル(父)、ブリューゲル(子)と表記されていたり、同じタイトルの作品があり、誰の作品?、誰のこと?などとこれまで疑問を持っていた方も、この展覧会できっと頭が整理されてスッキリされることと思います。

ブリューゲル一族とは

展覧会のサブタイトルは”画家一族150年の系譜”。ピーテル・ブリューゲル1世から息子のピーテル2世、ヤン1世へと受け継がれた才能は、150年に渡って孫やひ孫にまで続いていきました。

この展覧会では一族9人の作品が展示されています。

偉大なる父

ピーテル・ブリューゲル1世(1525/30-69)
生まれた年や場所は不明ですが、1525年から30年の間に生まれたと推測されています。1545年にピーテル・クック・ヴァン・アールストに弟子入りし、画家としての活動をはじめました。
2年間のイタリア旅行後の1554年頃、アントウェルペンに戻り版画の下絵制作を始めます。版画出版業者のヒエロニムス・コックの依頼により、風景版画やヒエロニムス・ボス(1450ごろ-1516)風の幻想的な絵を制作し人気となります。1563年に師匠の娘と結婚しブリュッセルへ。そこでの6年間は、農民たちの労働、祝祭、遊びなどをテーマとする作品を描きました。

2人の息子

ピーテル1世は40代という若さで亡くなってしまいます。その時2人の息子ピーテル2世は5歳前後、ヤンは1歳前後。2人は母方の祖母のマイケンから絵を習ったと言われています。父の絵の再現と鑑識眼を受け継ぎ発展させた2人の息子によって父親の名前は世に残り、壮大なブリューゲル家の歴史が続きました。

長男 ピーテル・ブリューゲル2世(1564/65-1637/38)
父の死後も美術コレクターや愛好家の間でブリューゲルの作品はとても人気があったので、弟子たちとともに父のコピーやブリューゲル風の構図の作品を量産しました。
森洋子さんの「ブリューゲルの世界」によると

正確にはわかりませんが工房作の総数は1000点以上といわれ、そのうち7割は父のコピーでした。

次男 ヤン・ブリューゲル1世
花を題材にした作品の人気が高く”花のブリューゲル”と呼ばれています。ルーベンスと友人関係にあったヤンは共同で作品を制作したり、ルーベンスは「ヤン・ブリューゲル一家」という家族の肖像を描いています。オーストリア大公アルブレヒト夫妻にも気に入られ、宮廷画家のような待遇を受けていたそうです。

孫の代へ

ヤン・ブリューゲル2世(1601-78)
ヤン1世と先妻イザベラとの息子
イタリア修業から戻りアントウェルペンで父の工房を受け継ぎ、寓意画や神話画を得意としていました。

アンブロシウス・ブリューゲル(1617-75)
ヤン1世と後妻カタリーナとの息子
イタリア修業後、アントウェルペンで画家として花の絵を得意としていました。

ダーフィット・テニールス2世(1610-90)
ヤン1世とカタリナとの娘婿
一族との血縁関係はありませんが、農民の風俗画を描きブリュッセルの宮廷画家になりました。

ひ孫の代へ

ヤン・ピーテル・ブリューゲル(1628-80以降)
ヤン2世の子
祖父のヤン1世と同じく花の絵を得意としていました。

アブラハム・ブリューゲル(1631-97)
ヤン2世の子(ヤン・ピーテル・ブリューテルの弟)
イタリア、ナポリに住んでいた。祖父譲りの写実主義な静物画が人気がありました。

ヤン・ファン・ケッセル1世(1626-79)
ヤン1世の娘の子
花の絵、農民画を得意とし、昆虫を標本のように精密に描きました。

美術展の内容

展覧会は全部で7つの章に構成されています。特に気になった作品を紹介しています。

第1章 宗教と道徳
師匠のピーテル・クック・ヴァン・アールストの工房作品や、ピーテル1世の版画の下絵などが展示。版画下絵のピーテル1世の「最後の審判」は22.5×29.4cmと小さなものながらも、スケールが大きい作品。審判を受けた人の列が絵の奥へ奥へと繋がっていっているのを目をこらしながら見ました。今ならCG で制作されるような世界観を1つ1つ手で表現しているすごさを感じました。

第2章 自然へのまなざし
主に風景画を展示。特に気になったのはヤン・ブリューゲル2世の「市場からの帰路につく農民たち」。板に貼り付けた高価な銅板に油絵具で描かれているこの作品は12.7X15cmという小ささ!そして細かい!小さい作品ながら、空気遠近法によって壮大な自然を描いているのです。最近美術館のミュージアムショップで目にする単眼鏡やっぱり買おうかなーと思ってしまいました。

第3章 冬の風景と城砦
ピーテル2世の「鳥罠」が目玉でしょうか。題材のオリジナルはピーテル1世の「鳥罠のある冬景色」。ピーテル2世のコピーの中でもっとも需要の高かった作品です。冬の風景というジャンルを確立して、風景画の歴史に大きな影響を与えた作品です。

第4章 旅の風景と物語
ピーテル1世の版画下絵「イカロスの墜落の情景を伴う3本マストの武装帆船」は船の細部まで描かれていて見応えたっぷりです。あまりの正確さゆえ海洋史家が当時の船の細部を知る貴重な資料になっているのだとか。

第5章 寓話と神話
ヤン1世の友人でもあったルーベンスの工房の「豊穣の角をもつ3人のニンフ」という作品も展示されていました。ヤン2世の「地上の楽園」は美しい風景画の中に様々な動物たちが2体づつ描かれている想像上の世界。この章では抽象的な愛や平和や豊穣といった概念を擬人化して描いている作品が展示されています。

第6章 静物画の隆盛
豪華な花がとにかく美しいこの展示室。花だけでなく花瓶の模様までとにかく細かく描かれています。水滴や昆虫までもが描かれていて、ぜひじっくりと見てもらいたいです。そしてヤン・ファン・ケッセル1世の大理石に描かれた昆虫の作品はまるで標本のような精密さです。

第7章 農民たちの踊り
チラシにも使われている「野外での婚礼の踊り」をはじめ農村風景画がたくさん。労働の風景、非日常的なお祭りやお祝いの風景など、とにかく飾ることなく人々の風景画そのままに生き生きと描かれています。

ブリューゲル展巡回について

ブリューゲル展 画家一族150年の系譜
豊田市美術館
2018年4月24日(火)〜7月16日(月・祝)
公式ホームページ

この後の巡回
札幌芸術の森美術館
2018年7月28日(土)〜9月24日(月・祝)

広島県立美術館
2018年10月8日(月)〜12月16日(日)

郡山市立美術館
2019年1月11日(金)〜3月31日(日)

美術館が違うと同じ展覧会でも雰囲気が変わります。復習したのちもう一度別の美術館に行ってみようと思っています。Instagramで交流させていただいている郡山にお住いの方が、郡山市立美術館の期間中は、ブリューゲルの冬景色と同じような風景になりますよ!と教えてくださいました。

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【美化ではなく日常の女性や子どもの姿を描いたカサット】


1860年ごろ日本の美術品や工芸品がヨーロッパやアメリカに紹介されてジャポニズムと言われ人気もなりました。


印象派のアーティストがそれらに大きな影響を受けて、作品に生かしていったことは有名ですよね。


さらに、自分でと浮世絵をコレクションしていたり、日本の品を絵の中に登場させたりもしていました。


メアリー・カサットもそんな強く影響を受けた1人で、版画を制作したりもしています。


そして、アメリカ人コレクターのアートアドバイザーにもなって、印象派の作品を紹介したり、アメリカとヨーロッパの橋渡し的存在としても活躍していました。


このアドバイザー的役割については、

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「メンタルに効く西洋美術 」にわかりやすく、詳しく書かれていて、こちらを読むことをお勧めしますよー。




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【自分を生かす道を求めて画家にたどり着いたゴッホ】


ゴッホの激しい生き方やアルル時代の作品を見ていると、生きるために描くことが必要だったのだろうなと感じます。


大都会パリの生活に疲れて、1882年2月にアルルに旅立ちます。
アルルではパリで抑えていたものから解放されて、どんどん作品を描くゴッホ。


"自分が自分であるということをさえ意識しなくなる"

という言葉も残しています。





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  【科学的理論で時間をかけ描く 

【科学的理論で時間をかけ描くスーラ】


スーラと言えば点描画
点描画が言えばスーラ


この「グランド・ジャット島の日曜日の午後」は、どこかで目にしている人が多いだろうし、
一度見たら忘れられない作品ではないでしょうか?



印象派は、自然の中で描くこと、見たものの”印象”をすばやくキャンバスに描くことを重視していました。
そして光輝く生き生きとした明るい絵を作り出したけれど、ものの形は不鮮明で構図も曖昧になりやすいなとスーラは感じていました。
前の投稿でもご紹介したルノワールも、その辺りで行き詰まりを感じてました。



スーラはその原因は色の置き方が感覚的なのではないだろうか?と仮設をたてて、科学的な色彩理論で一点一点丁寧に色をおいて描きました。
その絵はもはや新しい印象派。


この絵なんか何点色をおいてるのだろうか・・・と驚きませんか??


以前神戸にあるファッション美術館で、カラフルな色の玉が付いた待ち針でこの絵を作った作品をみたことがあります。


あれはすごかった!!


こういうことなんだなとすごく納得のいった作品で、改めてスーラの凄さを理解できたのでした。







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 【ルノワールとモネの違い】  
【ルノワールとモネの違い】


20歳ごろ、2人ははパリの美術教室で出会います。
そこで出会った画家仲間が、グループ展を開催し、印象派と呼ばれるきっかけとなっていきます。


2人は一時期一緒に描き、とても似ているので見分けがむずかしいものも。


でも、ルノワールは印象派の描き方の限界を感じて、徐々に自分のスタイルを見つけようとしていきます。



2人の絵をたくさん並べて見ると、モネは風景画が多いけど、ルノワールは人物を描く絵が多い。



印象派の技法では、しっかりとした形が失われ、色模様になってしまう。
人物や建物などしっかりと手応えのある存在として描くことができないと考えたのですね。




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【ジヴェルニーの庭は戸外アトリエ兼モネの作品でもある】


印象派を代表する画家を、だれか1人あげてみてと言われたらやっぱりこの人しかいないでしょう!!



印象派って絵画の歴史を変えた革命児たちみたいに言われてるけど、モネは自分の”印象”をできるだけ忠実に描き続けたきたことが結果そうなってしまっただけなんですよね。



もちろん絵の才能や、鋭い感覚が備わっていたのは当然なんですが。



新しいスタイルは世の中になかなか受け入れられず、苦悩も多かったけれど、自分に嘘をつくことない生き方が作品にも力強さと明るさに溢れているように感じます。



人生の後半に移り住んだジヴェルニーに、理想の庭を作る。
それは、自分だけのアトリエであり、モネの作品でもあるのです。




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 大きく「印象派 」とくくられてい 
大きく「印象派 」とくくられていても、
描くものも、描き方も、画家としての生き方も目指すものも違います。



何に惹かれるのか?
どんなところに興味あるのか?



印象派好き!


から


ルノワールが好き
スーラが好き


さらに


絵のために美しい庭を作ったモネの生き方に憧れる
ゴッホの力強い筆致に気持ちが揺れ動かされる


とか語れるようになったらちょっと嬉しくないですか?



そして、そのあなたが惹かれるポイントには、自分の心を満たすヒントがきっとあるはず!




募集中の2月の鑑賞会は、「トライアローグ展」から3つの作品を対話鑑賞します。
プロフィールからチェックしてくださいね。




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