西洋美術史

「青色」が高級感を与えるわけー色と価値の深い関係

「真珠の耳飾りの少女」
ヤン・フェルメール
1665-166年

こちらのフェルメールの絵のように青と金の色の組み合わせ、とても高級感を感じませんか?
”高貴””高級”と感じるのは、色が作られる歴史ととても深いつながりがあります。

19世紀になって安くて安全な顔料が作られるようになるまでは、科学の実験のようなことをして色を作っていました。
画家が美を求めていくところには、地質学や植物学などともつながっていきます。

色を作り出すプロセスが、色のイメージと結びつき、そのイメージは今でも身の回りに残っています。
今日はそんな話しを書きたいと思います。

青は高価な色だった

”青い色は高価だから聖母マリア様の服などに使われている”
という話しを聞いたことがないでしょうか?

17世紀まで色はその色の素になる材料の価値が、色のイメージにも大きく反映されていました。
たとえば茶色は土を色の素に使う。
赤や青は、鉱物だったり、動植物から抽出した染料だった。
そのため、茶色は赤や青よりも安いイメージになるのはわかりますよね?
土ならいくらでも使えるけど、鉱物の赤や青の方が手に入りにくいと。

その青ですが、とれる天然素材がわずかでした。
しかも半貴石のラピスラズリを使った「ウルトラマリン」という色は、金と同じくらいの価値があって大変高価なものでした。
アフガニスタンで採掘されるラピスラズリは、海を越えて運ばれてきた。お金がかかっているのは当然ですね。
だから画家が思う存分使える色ではなく、大事な部分にだけしか使えないものだったのです。
そんな理由で、聖母マリアやイエス・キリストなどの衣装は青が多かったのです。

ウルトラマリンを愛した画家 フェルメール

高価なウルトラマリンを愛した画家と言えば、17世紀のオランダの画家ヤン・フェルメールです。
たとえば、この「真珠の耳飾りの少女」にも贅沢に使っているのです。

そして、さらに驚くのは金色のように見える部分。
実は黄色を使っているのです。
黄色の原料はそこまで高価ではなかったのですが、ルネサンス以降金箔を使うより黄色で金に見せる技術のほうが値打ちがあったのだそうです。
そういった経緯から黄色にも豪華なイメージがあります。

この黄色を金のように見せる技術。
ヤン・ファン・エイクの驚異的な技をこちらからもぜひ見てください。

青以外にも高級なイメージを与える色

青以外にも、赤、白、黒は高級なイメージがありますよね。
でもこれらの色は材料としてはそこまで高価なものではなく、色の出し方にも難しさがあったようです。

たとえば白や黒。
真っ白にする、濃くむらなく布を染めるためには材料も手間も技術も必要だった。
そのため王侯貴族しか着ることができないものでした。

また赤は古代から血と生命を連想させる色ということで、特別な存在でありました。
とくに深紅の布は、聖母マリアやキリストの衣装に使われたり、ローマ教皇もその肖像画で着ているのを見たことがありませんか?

現在のデザインにも影響を与える色のイメージ

色のイメージを見てきましたが、そのイメージは現在のわたしたちにもそのまま受け継がれていることに驚かされます。

商品や、ポスターなどのデザインなど、青と金、黒と白、赤と白の組み合わせなどありますよね。
それらを見ると高級なイメージで見てしまう。
それはなんとなくという感覚的なものではなく、イメージが植え付けられているのだと知ると、絵画の歴史おそるべしです。

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