Yoko

英国大学で西洋美術史専攻 日本の大学で文化支援専攻 海外.国内旅で多くのアートに触れる 2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。 美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

西洋絵画の格付けについて

西洋美術の歴史の中で、17世紀から19世紀にかけて、絵画がその描かれているジャンルによって格付けされていました。格付けを知ることが絵画を見ることと直接関係はないかもしれません。しかし、その時代には定められた明確なランク付けによって、絵画が評価され、芸術家の評価も同様にその格付けに影響を受けていたのですから、覚えておく必要のある知識であることは間違いありません。 絵画の格付けとはどのようなものなのか、なぜジャンルによって格が違うのでしょうか? 絵画の格付けとは? 上のピラミッドをみてください。この絵画の階級 ...

子供のころから変わらない好きなもの。好きなもの、好きなことを大切にする豊かな時間。

自分の好きなもの・好きなことをする時間を大切にしていますか? 自分の好きなものや、こだわりって大人になっても変わらないなぁって感じたことを今日は書きたいと思います。 読者の方にとって全くためになる話ではないのですが、お付き合いいただけいると嬉しいです。 歴史好き 私は小学生のころから歴史が大好きでした。社会の授業で学んだことがきっかけでしょう、戦国武将に憧れてました。夏休みの自由研究に選んだのは、織田信長の「桶狭間の戦い」のレポート。愛知に住む祖父母に会いに行った時、桶狭間の古戦場へ連れて行ってくれるよう ...

ベラスケスの傑作7点を一度に見れる。「プラド美術館展ーベラスケスと絵画の栄光」兵庫県立美術館

兵庫県立美術館で開催中の「プラド美術館展ーベラスケスと絵画の栄光」の美術展レポートです。 歴代の国王による素晴らしいコレクションを持つスペイン、マドリードにあるプラド美術館。今回の展覧会ではコレクションの中でも特に誇るディエゴ・ベラスケスの作品7点が、リベーラ、スルバラン、テイツイアーノ、ルーベンス、ロランなど61点の油彩画と9点の書籍資料と共に来日しています。 ベラスケスと17世紀絵画から、スペインの歴史や文化、芸術と宗教の関係、当時の芸術家の役割など知ると共に、なせこの時代がスペイン絵画の黄金期と言わ ...

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モネの作品を映画館で楽しむ「私は、クロード・モネ」アート・オン・スクリーン

アート・オン・スクリーンという映画を知っていますか?誰もが知っている歴史的な美術品を取り上げるドキュメンタリー映画です。ただ作品を紹介するのではなく、作品を創り出したアーティストに焦点を当て、作品を芸術を生み出した境遇や創作動機に迫ります。 2018年ラインナップは、ミケランジェロ、モネ、ゴッホ。世界中を回らないと見ることができない、数多くの作品が一度に見ることができ、アーティストのエピソードなども交えた映像は、美術展で作品を鑑賞して楽しむのとはまた違った機会を与えてくれます。 まずは予告編をお楽しみくだ ...

西洋絵画で聖書の物語を読む 【東方三博士の礼拝】ディエゴ・ベラスケス

東方三博士の礼拝 / Adoration of the Magiディエゴ・ベラスケス / Diego Velazquez1619年油彩・カンヴァス203 x 125cmブラド美術館(スペイン) 東方三博士の礼拝 [東方三博士の礼拝、とうほうさんはかせのれいはい] 東方三博士の礼拝はイエスの誕生に贈り物を捧げ祝福を受けている場面が描かれます。ローマ皇帝から命令によって、人口調査のため戸籍のあるベツレヘムに来ていたマリアとヨセフ。そこでイエス・キリストは誕生します。 救世主となるイエスの誕生を告げる星をみた東 ...

対照的な才能:ブリューゲルの息子たちの画家としての道

先日豊田市美術館での「ブリューゲル展」にて、ピーテル・ブリューゲル1世を祖に持つ一族の画家たちの歴史を体験しました。 https://cosinessandadventure.com/brueghel-toyota-municipal-museum-2018 そんなブリューゲル一族のことを調べていく中、ピーテル・ブリューゲル1世の2人の息子たちにとても興味がわきました。長男のピーテルと、次男のヤンのことです。画家として成功した2人の息子の功績は、父の人気をさらに高めていくことになりました。 しかし画家とし ...

ブリューゲル展【豊田市美術館】

「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」を愛知県豊田市にある豊田市美術館に見に行きました。この展覧会は東京都美術館を皮切りに全国5ヶ所の美術館を巡回するものです。「バベルの塔」で有名なブリューゲルというと1人の画家をイメージするかもしれませんが、偉大な父であるピーテル・ブリューゲル1世のあと、2人の息子やその子孫たちが代々引き継ぎ、150年に渡ってブリューゲル一族は画家を生み出してきました。この展覧会は一族9人の作品と同時代に活躍した画家の作品を通して、16世紀から17世紀のフランドル(現在のベルギーで ...

【三菱一号館美術館】東京駅から歩いてすぐ、中庭の美しいオフィス街にある美術館

東京駅から有楽町方面へ歩くこと5分。アクセス便利な丸の内のオフィス街の中に趣のある赤煉瓦の建物が見えてきます。 1894年(明治27年)に英国人建築家ジョサイア・コンドル設計の建物を、復元して美術館に生まれ変わった三菱一号館美術館。 この魅力的な建物の中で西洋近代美術の企画展を年に3回楽しむことができます。またミュージアムショップやカフェもとても素敵で、展覧会を楽しむだけでなくトータルで美術鑑賞を盛り上げてくれる、そんな美術館をご紹介します。 企画展は年3回 美術館の建物は1894年に建てられたという関連 ...

フラ・アンジェリコ ”天使のような画家”と呼ばれた人生を知る

フラ・アンジェリコ  Fra Angelico 1400頃〜1455 フィレンツェ北東ムジェロ地方のヴィッキオ生まれ 天使のような画家と呼ばれた人生 本名はグイド・ダ・ピエトロ。彼の生まれた穏やかな田園地帯のムジェロ地方は、画家ジョットやメディチ家の出身地です。 若い頃の活動については詳しくは知られていないようですが、画僧のロレンツォ・モナコに学び、1417年頃画家として活動を初めていると考えられています。 その後フィーゾレのドメニコ会修道院に入り2年ほど修練期間を送り、1422,3年からフラ・ ...

スムーズな行動に結びつけるために、「しなくちゃ!」から「したい!」に変えよう

先日電車内で衝撃的なタイトルの広告を見ました。 『女は大学に行くな』 えーとびっくりして、読み進んでいくとこんな文章が続いていました。 女は大学に行くな、という時代があった。  専業主婦が当然だったり。寿退社が前提だったり。  時代は変わる、というけれど、いちばん変わったのは、女性を決めつけてきた重力かもしれない。  いま、女性の目の前には、いくつもの選択肢が広がっている。  そのぶん、あたらしい迷いや葛藤に直面する時代でもある。 「正解がない」。その不確かさを、不安ではなく、自由として謳歌するために。 ...

「ウィリアム・モリスーデザインの軌跡」アサヒビール大山崎山荘美術館

アサヒビール大山崎山荘美術館で開催している「ウィリアム・モリスーデザインの軌跡」の展覧会レポートです。   ウィリアム・モリスは、19世紀のイギリスで芸術家、詩人、思想家、社会運動家など様々な活躍をした人物です。 この展覧会はその中でも、今も多くのファンをもつモリスのデザインや創作の心を壁紙、テキスタイル、椅子、出版物で紹介するものです。 そして彼と関わりのあった同時代のデザイナーの作品も合わせて展示されています。 役に立たないものや、美しいと思わないものを、家に置いてはならない。 ウィリアム・ ...

知識を深める美術史 ルネサンス2『初期ルネサンス2』

前回の初期ルネサンス1ではイタリアフィレンツェでのルネサンスの始まりを見てきました。それは芸術が花開き、職人から芸術家へと地位が向上していくルネサンスの幕開けでした。 https://cosinessandadventure.com/early-renaissance-1/ 今回は初期ルネサンスの2回目。ブルネレスキ、マザッチオ、ドナテッロに続く世代が先輩たちの発見をどのように生かしたのか、そして直面した課題をどう乗り越えてきたのかを、9人の芸術家の作品を見ていきます。前時代のゴシック様式と、古代ギリシャ ...

知識を深める美術史 ルネサンス1『初期ルネサンス1』

ルネサンス・・・よく耳にする言葉だと思いますが、再生とか復活を意味する言葉です。イタリアから始まったルネサンスとは古代ギリシア・ローマ文化の再生を意味しています。15世紀から16世紀のこの時期は大きな変化の時代でした。芸術の分野でも同じです。大きく花開いた芸術スタイルは、その後の時代のお手本となっていきます。 ルネサンスで古代文化の再生が広がったことを美術史の良書「美術の物語」の著書 E.H.ゴンブリッチはこのように説明しています。 はるかな昔、イタリアがローマを都とし、文明世界の中心だったという事実を、 ...

美術館巡りが楽しくなる!美術館をたのしむために大切なこと

美術館に行ったけどものすごく混んでいて、途中で気分が悪くなり最後まで見ないで出てきてしまった…と最近友人からこんな残念な話を聞きました。たしかに話題の展覧会は、入場にすら何時間待ちなどものすごく混み合っている様子を耳にします。美術館内では結構歩くのでだんだん疲れてきて、出る頃にはぐったりしたという人もいるのではないでしょうか?美術館が好きな私でも、入場まで「90分待ち」などと聞くとくじけそうになることがあります。ここでは、混雑を少しでも避け、楽しむために気をつけていることをまとめてみました。 美術館ってど ...

【岡上淑子コラージュ展】@高知県立美術館

    こんにちは。 幻のコラージュ作家として注目を集めている岡上淑子の展覧会「岡上淑子コラージュ展ーはるかな旅」を見に、高知県立美術館へ行ってきました。 数ヶ月前まで私は彼女の名前も作品も知りませんでした。 Twitterで投稿されていた岡上淑子作品の画像を見て、この作品好き!これは見に行かなければ!と強く惹かれ見に行くことにしたのです。 Twitterで見た作品は、展覧会のポスターやチラシにも使われている<招待>という1955年に作られた作品です。 上品で優雅で、でもちょっと不気味 ...