Yoko

英国大学で西洋美術史専攻 日本の大学で文化支援専攻 海外.国内旅で多くのアートに触れる 2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。 美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

修復されたフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が日本にやってくる!

2022年の1月にフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が来日するそうです。「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」という展覧会タイトルで、東京都美術館からスタートし、北海道、大阪、宮城と巡回します。 「窓辺で手紙を読む女」は、ドイツにあるドレスデン国立古典絵画館で4年間かけて修復作業がおこなわれていました。その修復とは、女性の頭の上の壁に描かれていたキューピットの画中画(絵の中に描かれている絵のことです)を、隠していた上塗りを取り除き、フェルメールが描いた状態に戻す作業です。(※このブログ記事で使っている ...

【ブックレビュー】自らを虜にするものに出会うには「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ウォルター・アイザックソン

レオナルド・ダ・ヴィンチをただの”天才”として片付けるな という強いメッセージが伝わってくる本を読んでいます。 ウォルター・アイザックソン著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」 ウォルター・アイザックソンは、あのスティーヴ・ジョブスから伝記を書くことを依頼された人物でもあります。この本は、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿をはじめとして、圧倒的な調査のもと書かれていて、ぐいぐいと引き込まれていきます。書かれていることにとても共感することが多く、アウトプットしておきたいと書いています。 レオナルドの努力は私たちも学べる ...

目標を達成するためのアート思考プロジェクト

  昨年より、アート思考プロジェクトといった名前で、アートエデュケーターとは別に活動をしています。 ここでは「13歳からのアート思考」末永幸歩著の本にかかれているワークを実践したり、そこから自分たちなりにアレンジした内容などを、3人のメンバーで毎月zoomで顔をつき合わせてやっています。   アートをもっと日常に活かしたいという想いからスタートした私たちの活動は、最初は絵画、写真、文章を対話鑑賞するということをしていました。 そこから「13歳からのアート思考」という本に出会い、本から得 ...

レンブラントの「放蕩息子の帰還」をどの視点から見ますか?

17世紀のオランダの画家、レンブラントが描いた名作「放蕩息子の帰還」。 この絵は新約聖書の中の、イエス・キリストが語ったというとても有名なたとえ話のワンシーンが描かれています。レンブラントの個人的な体験と深い洞察が反映されているとも考えられていて、単なる宗教的物語以上のものを私たちに語りかけています。 暗い背景に浮かび上がる父と子の姿に、レンブラントは私たちに何を伝えたいと思ったのでしょうか? 描かれている感情や思いを受け取りながら、自分の心に問いかけてみてください。 あなたはこの物語を誰の視点から見てい ...

画家のつながりを感じる絵【アルジャントゥイユの庭でのモネ一家】エドゥアール・マネ

「アルジャントゥイユの庭でのモネ一家」エドゥアール・マネ1874年メトロポリタン美術館 画家って一人で黙々と絵を描いているイメージがあるかもしれませんが、仲間で協力し合ったり、影響を与えあったり、またまたライバル視されたりというエピソードもたくさん残っています。 特に印象派は、グループ展開催から始まって互いの家を訪問したりして絵を描き合ったりする横のつながりがとても多いです。 ここではそんな作品をご紹介します。 マネが描いたモネ一家の自宅庭でのひととき 絵を描いたのはエドゥアール・マネ。そして描かれててい ...

アートを通して”気づかせる””考えさせる””言葉にする”授業

こちらの切り絵は、私のブログやSNSにもたまに登場しているイギリスに住む6歳の姪っ子が作りました。ロックダウン中のホームスクーリングで、フランスの画家アンリ・マティスについて学んで、その課題で作ったもの。授業は4回に分かれていて、マティスの作品をみて彼の生涯について知る。または作品を作って技法や色の使い方からマティスの発想や表現力を知る。そんな素晴らしい内容でした。 でもそれ以上に私が興味を持ったのは、マティスについて学ぶということだけに収まらないことです!! 気づかせる考えさせる考えを発言させる これら ...

【対話型鑑賞会ご感想】モネの自宅の庭を見て自分の望みを妄想した!

こんにちは。 アートは自分との人とのコミュニケーションツールになる。 あなたの「こんな自分でありたい」を価値観を大切に、アートで視野を広げるアートエデュケーターのYokoです。 初めての方はぜひプロフィールもご覧くださいね。 https://cosinessandadventure.com/profile/   ____________ 先日4月の対話型鑑賞会を開催し、その感想をいただきました!   「最初はモネのタッチが大きくぼんやりした絵がよくわからなかったけど、200年前の風景画 ...

【展覧会レポート】「夢をめぐる 絵画の名品より」アサヒビール大山崎山荘美術館

  アサヒビール大山崎山荘美術館で3月20日からはじまった「夢をめぐる 絵画の名品より」の展覧会に行ってきました。 1996年4月に開館した美術館は、今年25周年になるそうです!! そのため美術館の名品を集めた、力を入れた展覧会になっています。 「夢」というテーマで厳選された作品に、こんな作品も持っている美術館だったのかと驚きもありましたよ。   大山崎山荘美術館は、実業家だった加賀正太郎氏の別荘だった建物が美術館になっている、展示スペースとしては小さな美術館です。 しかし、その分一つ ...

ジヴェルニーの庭を描き続けたモネ「睡蓮の池」

タイトル:「睡蓮の池」画家:クロード・モネ制作年:1899年ナショナル・ギャラリー(ロンドン)所蔵 クロード・モネが15歳のころ、画家のウジェーヌ・ブーダンと出会い、戸外で描くことの大切さを教えられたというのは有名なエピソードです。それからモネは外光の効果や陽の光にちりばめられる青白い木漏れ日の影を描くため外で描くことにこだわりました。 当時はかなり珍しい、描くものを目の前にして描き続けたモネ。あるとき「あなたのアトリエはどこですか?」と尋ねられて、周りの野原を指差し「ここですよ」と答えたと言われています ...

「青色」が高級感を与えるわけー色と価値の深い関係

「真珠の耳飾りの少女」ヤン・フェルメール1665-166年 こちらのフェルメールの絵のように青と金の色の組み合わせ、とても高級感を感じませんか?”高貴””高級”と感じるのは、色が作られる歴史ととても深いつながりがあります。 19世紀になって安くて安全な顔料が作られるようになるまでは、科学の実験のようなことをして色を作っていました。画家が美を求めていくところには、地質学や植物学などともつながっていきます。 色を作り出すプロセスが、色のイメージと結びつき、そのイメージは今でも身の回りに残っています。今日はそん ...

子供向けアート対話型鑑賞を始めました 3回目

2021年が始まって、7才の姪っ子とzoomを使ってオンラインアート対話鑑賞を始めました。その目的は、彼女に「これはなんだろう?」「なんでこんな風になっているのだろう?」という視点を持って見ることを当たり前にしてもらいたいから。美しいな、綺麗だな、という感じるだけで終わらせるのではなくて、何事にも気づいたことから、どう思うのかを自分の言葉で言える人になるきっかけをアートを通して作りたい。 イギリスに住む姪っ子がどんな授業を受けているのかを聞いていると、この<自分で考える><自分で調べる><自分はどう思う> ...

子供向けアート対話型鑑賞を始めました 2回目

今年は7才の姪っ子と一緒に、アート対話鑑賞を始めました。今回はその2回目です。 前回の様子はこちらから https://cosinessandadventure.com/art-talk-for-kids-1/ 一回目である前回は、パリとニューヨークを描いた絵画2枚を使って、もしカレンダーにこの絵を使うなら何月にする?というテーマで対話しました。その後この絵が描かれた街の場所を世界地図で確認。その中で、彼女が絵で見つけたものを、自分の知識や経験と結び合わせて自分の答えを発言していく姿を見ることができました ...

【展覧会レポート】没後70年 吉田博展を見てきました

「没後70年 吉田博展」に行ってきました。 この展覧会を知ったのは、去年行った福井市美術館でのこと。ダイアナ妃が執務室に飾っていた「光る海」という作品が使われた展覧会のポスターを見たのです。そのポスターはこちら この投稿をInstagramで見る Yoko アート鑑賞で知る自分の価値観(@cosiness_and_adventure)がシェアした投稿 この作品に一目惚れでした!この繊細さを木版でどうやって表現してるのと驚いた。光の輝きや水のゆらめき、空気感に広い海と地平線が広がる空間。単調になるどころか ...

高知県立美術館

  高知県立美術館 高知県立美術館 1993年11月3日に開館 〒781-8123 高知県高知市高須353-2 TEL 088-866-8000 / FAX088-866-8008 美術館HP: https://moak.jp/   シャガールの版画1200点以上を専用展示室で入れ替え展示 高知県立美術館のみどころの1つは、マーク・シャガールの油彩画5点、版画1200点以上になる世界的規模のコレクションです。 ヨーロッパの美術館のような赤い壁紙が素敵な、シャガール専用展示室でじ ...

名画のバランスの良さは隠された構造線や形の反復にあり!

絵を見ていて、この絵バランスが良いなぁと感じるその理由は、隠された構造線や形の反復にあります。 さっと見るだけではわからない、でもじっと観察してみると線や反復が見えてきます。 さっと見るだけではわからないというのは、画家がそれだけ自然に使って描いているからなんです。。 こちらの絵を見ながら説明していきますね。   「幼い洗礼者聖ヨハネと子羊」 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 1660年〜65年 ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵 栗色の巻毛の可愛らしい若き日の洗礼者聖ヨハネと子羊が描かれて ...