Yoko

英国大学で西洋美術史専攻 日本の大学で文化支援専攻 海外.国内旅で多くのアートに触れる 2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。 美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

絵の横の解説パネルには何が書いてあるの?にお答えします -1

美術館で作品の横につけられている説明用のパネル。キャプションと言います。じっくり見る派ですか?それともあまり見ない派? 読んだけどちょっと難しい・・・言葉の意味がよくわからない・・・そんな疑問に答えながら、アートについてもっと知りたい人のために2回に分けて解説パネルについて説明していきます! そして、さらに学びを深める方法もご紹介します。 こちらは東京、上野にある国立西洋美術館所蔵の絵。アンドレア・デル・サルトの「聖母子」です。 パート1では、上のパネルの内容を見ていきましょう。4ヶ国語、「日本語、英語、 ...

【イギリス大学留学×美術史】再びイギリスへ 大学入学までの半年間

イギリスの大学で美術史を学んだ私の、留学にいたるまでの経緯や、大学生活について綴る連載の2回目。1回目では、美術史を学びたいと思ったきっかけについてや大学で美術史を学ぶことになったいきさつなどをお話しました。 ▼1回目の記事はこちらです https://cosinessandadventure.com/life-as-an-art-history-student-01/ 半年弱の語学留学を終え、日本に帰国。日本で派遣社員として数ヶ月働きました。今思えば、若かったこと、派遣社員としてすぐに仕事が見つかる景気 ...

【展覧会レポート】「ピピロッティ・リスト:YOUR EYE IS MY ISLANDーあなたの眼はわたしの島」

洗濯もののように吊り下げられているのも作品ですよ! 京都国立近代美術館で見た「ピピロッティ・リスト:YOUR EYE IS MY ISLANDーあなたの眼はわたしの島」の展覧会レポートです。 あれからすでに2ヶ月も経ってしまいました・・・ こちらの展覧会で私が一番感激したことは、フワフワとしたカーペットの上に座って、じっくり作品を見たいという夢が叶ったことでした。 1つや2つの作品というのではなく、展覧会会場すべてが土足厳禁になっていたからです。 なぜそれが夢だったのかというと、硬い床と靴から開放され、リ ...

ひろしま美術館

  まず最初にひとこと言わせてください。本当にすばらしい美術館でした! 長年気になりながら来ることを伸ばしていたことを後悔。 まだ行ったことない人はぜひ訪れていただきたい美術館です。   美術館の成り立ちは心の平安とやすらぎの場となるため 広島市市にあるひろしま美術館は、1978年に設立された美術館です。 創業100年を迎えた広島銀行が記念事業として設立し、原爆で大きな被害を受けた人々の心を、一枚の名画が癒やしたり、この場所がやすらぎの場となればと構想されたそうです。   そ ...

修復されたフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が日本にやってくる!

2022年の1月にフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が来日するそうです。「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」という展覧会タイトルで、東京都美術館からスタートし、北海道、大阪、宮城と巡回します。 「窓辺で手紙を読む女」は、ドイツにあるドレスデン国立古典絵画館で4年間かけて修復作業がおこなわれていました。その修復とは、女性の頭の上の壁に描かれていたキューピットの画中画(絵の中に描かれている絵のことです)を、隠していた上塗りを取り除き、フェルメールが描いた状態に戻す作業です。(※このブログ記事で使っている ...

【ブックレビュー】自らを虜にするものに出会うには「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ウォルター・アイザックソン

レオナルド・ダ・ヴィンチをただの”天才”として片付けるな という強いメッセージが伝わってくる本を読んでいます。 ウォルター・アイザックソン著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」 ウォルター・アイザックソンは、あのスティーヴ・ジョブスから伝記を書くことを依頼された人物でもあります。この本は、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿をはじめとして、圧倒的な調査のもと書かれていて、ぐいぐいと引き込まれていきます。書かれていることにとても共感することが多く、アウトプットしておきたいと書いています。 レオナルドの努力は私たちも学べる ...

目標を達成するためのアート思考プロジェクト

  昨年より、アート思考プロジェクトといった名前で、アートエデュケーターとは別に活動をしています。 ここでは「13歳からのアート思考」末永幸歩著の本にかかれているワークを実践したり、そこから自分たちなりにアレンジした内容などを、3人のメンバーで毎月zoomで顔をつき合わせてやっています。   アートをもっと日常に活かしたいという想いからスタートした私たちの活動は、最初は絵画、写真、文章を対話鑑賞するということをしていました。 そこから「13歳からのアート思考」という本に出会い、本から得 ...

レンブラントの「放蕩息子の帰還」をどの視点から見ますか?

17世紀のオランダの画家、レンブラントが描いた名作「放蕩息子の帰還」。 この絵は新約聖書の中の、イエス・キリストが語ったというとても有名なたとえ話のワンシーンが描かれています。レンブラントの個人的な体験と深い洞察が反映されているとも考えられていて、単なる宗教的物語以上のものを私たちに語りかけています。 暗い背景に浮かび上がる父と子の姿に、レンブラントは私たちに何を伝えたいと思ったのでしょうか? 描かれている感情や思いを受け取りながら、自分の心に問いかけてみてください。 あなたはこの物語を誰の視点から見てい ...

画家のつながりを感じる絵【アルジャントゥイユの庭でのモネ一家】エドゥアール・マネ

「アルジャントゥイユの庭でのモネ一家」エドゥアール・マネ1874年メトロポリタン美術館 画家って一人で黙々と絵を描いているイメージがあるかもしれませんが、仲間で協力し合ったり、影響を与えあったり、またまたライバル視されたりというエピソードもたくさん残っています。 特に印象派は、グループ展開催から始まって互いの家を訪問したりして絵を描き合ったりする横のつながりがとても多いです。 ここではそんな作品をご紹介します。 マネが描いたモネ一家の自宅庭でのひととき 絵を描いたのはエドゥアール・マネ。そして描かれててい ...

アートを通して”気づかせる””考えさせる””言葉にする”授業

こちらの切り絵は、私のブログやSNSにもたまに登場しているイギリスに住む6歳の姪っ子が作りました。ロックダウン中のホームスクーリングで、フランスの画家アンリ・マティスについて学んで、その課題で作ったもの。授業は4回に分かれていて、マティスの作品をみて彼の生涯について知る。または作品を作って技法や色の使い方からマティスの発想や表現力を知る。そんな素晴らしい内容でした。 でもそれ以上に私が興味を持ったのは、マティスについて学ぶということだけに収まらないことです!! 気づかせる考えさせる考えを発言させる これら ...

【対話型鑑賞会ご感想】モネの自宅の庭を見て自分の望みを妄想した!

こんにちは。 アートは自分との人とのコミュニケーションツールになる。 あなたの「こんな自分でありたい」を価値観を大切に、アートで視野を広げるアートエデュケーターのYokoです。 初めての方はぜひプロフィールもご覧くださいね。 https://cosinessandadventure.com/profile/   ____________ 先日4月の対話型鑑賞会を開催し、その感想をいただきました!   「最初はモネのタッチが大きくぼんやりした絵がよくわからなかったけど、200年前の風景画 ...

【展覧会レポート】「夢をめぐる 絵画の名品より」アサヒビール大山崎山荘美術館

  アサヒビール大山崎山荘美術館で3月20日からはじまった「夢をめぐる 絵画の名品より」の展覧会に行ってきました。 1996年4月に開館した美術館は、今年25周年になるそうです!! そのため美術館の名品を集めた、力を入れた展覧会になっています。 「夢」というテーマで厳選された作品に、こんな作品も持っている美術館だったのかと驚きもありましたよ。   大山崎山荘美術館は、実業家だった加賀正太郎氏の別荘だった建物が美術館になっている、展示スペースとしては小さな美術館です。 しかし、その分一つ ...

ジヴェルニーの庭を描き続けたモネ「睡蓮の池」

タイトル:「睡蓮の池」画家:クロード・モネ制作年:1899年ナショナル・ギャラリー(ロンドン)所蔵 クロード・モネが15歳のころ、画家のウジェーヌ・ブーダンと出会い、戸外で描くことの大切さを教えられたというのは有名なエピソードです。それからモネは外光の効果や陽の光にちりばめられる青白い木漏れ日の影を描くため外で描くことにこだわりました。 当時はかなり珍しい、描くものを目の前にして描き続けたモネ。あるとき「あなたのアトリエはどこですか?」と尋ねられて、周りの野原を指差し「ここですよ」と答えたと言われています ...

「青色」が高級感を与えるわけー色と価値の深い関係

「真珠の耳飾りの少女」ヤン・フェルメール1665-166年 こちらのフェルメールの絵のように青と金の色の組み合わせ、とても高級感を感じませんか?”高貴””高級”と感じるのは、色が作られる歴史ととても深いつながりがあります。 19世紀になって安くて安全な顔料が作られるようになるまでは、科学の実験のようなことをして色を作っていました。画家が美を求めていくところには、地質学や植物学などともつながっていきます。 色を作り出すプロセスが、色のイメージと結びつき、そのイメージは今でも身の回りに残っています。今日はそん ...

子供向けアート対話型鑑賞を始めました 3回目

2021年が始まって、7才の姪っ子とzoomを使ってオンラインアート対話鑑賞を始めました。その目的は、彼女に「これはなんだろう?」「なんでこんな風になっているのだろう?」という視点を持って見ることを当たり前にしてもらいたいから。美しいな、綺麗だな、という感じるだけで終わらせるのではなくて、何事にも気づいたことから、どう思うのかを自分の言葉で言える人になるきっかけをアートを通して作りたい。 イギリスに住む姪っ子がどんな授業を受けているのかを聞いていると、この<自分で考える><自分で調べる><自分はどう思う> ...