Yoko

英国大学で西洋美術史専攻 日本の大学で文化支援専攻 海外.国内旅で多くのアートに触れる 2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。 美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

「読書するマグダラのマリア」宗教と美術の交差点

「読書するマグダラのマリア」ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(現在のベルギー生まれ、北方ルネサンスの画家)1435年ごろ マグダラのマリアはとても有名なので、見たこと、聞かれたことある方多いのではないでしょうか?マリアという名前ですが、イエス・キリストの母である聖母マリアとはまた別人です。ロヒール・ファン・デル・ウェイデンによる1435年頃の作品『読書するマグダラのマリア』は、北方ルネサンスの画家による繊細かつ深遠な作品であり、聖書の人物をどのように芸術的に表現するかについての興味深い一例です。 この絵 ...

【展覧会レポート】コートールド美術館展プレミアムナイトに行ってきました

東京都美術館の、コートールド美術館展のプレミアムナイトの鑑賞会に行ってきました。 最近はこんな風にちょっとだけ特別感のある限定のイベントも多くなってきたなと感じます。 少しでも混雑をさけて、自分のペースで見るということを優先に考えている私にはとてもうれしい。 通常の開館が終わった18時から20時半までの人数限定の鑑賞タイム。 音声ガイドや図録もセットになっていて、19時からは写真撮影もokでした。 サミュエル・コートールドのコレクションがもとになったコートールド美術館 コートールド美術館は、印象派・ポスト ...

【展覧会レポート】ウィーンの歴史をたどる「ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」

東京での展覧会が終わり、大阪の国立国際美術館で開催が始まった、「ウィーン・モダン  クリムト、シーレ  世紀末への道 」へ行ってきました。 まず、ウィーンの歴史を堪能できる展覧会に満足したーというのが感想です。 作品数がとても多くて一つ一つじっくり楽しみながら見ていたら、あと30分で閉館というアナウンスに焦る… これでも東京展から相当数が減っている展示数。ウィーンミュージアムの改築期間だからこそのまとまった作品の貸し出しは、貴重な機会ですねー。 今年見てきた、「世紀末ウィーングラフィック」や「クリムト展」 ...

「鑑定士と顔のない依頼人」アート好き必見の極上ミステリー映画

記事内に商品プロモーションを含む場合があります 「鑑定士と顔のない依頼人」は日本では2013年に公開された映画です。 主人公はオークション会社に勤める超一流の美術鑑定士。美術品にしか興味がなく、潔癖で人を寄せ付けない男性。そんな彼が仕事も潔癖さも忘れてしまうくらい翻弄させられる若くて美しい女性との出会い。 美術品が数多く登場するだけでなく、物語の展開も、音楽もとにかく芸術的で極上のミステリー映画なんです!!監督は、「ニューシネマパラダイス」、「海の上のピアニスト」、「マレーナ」などでも有名なジョゼッぺ・ト ...

【クリムト展 ウィーンと日本1900】豊田市美術館

  「クリムト展 ウィーンと日本1900」を愛知県の豊田市美術館で見てきました! グスタフ・クリムトは、19世紀末にウィーンで活躍した画家。 彼の作品と言えば、金を使用し華やかに装飾された画面、官能的な女性の姿の作品がすぐに連想されますが、この展覧会はそれだけではないクリムトの全貌を知るような内容になっています。 東京展がとても盛況だった!と聞いていたので、平日の朝を選んだものの混んでいました・・・ ものすごくストレスを感じるほどの混み具合ではなかったものの、最初の方は列がなかなか進まなかったで ...

【トルコ至宝展 チューリップの宮殿トプカプの美】京都国立近代美術館

京都国立近代美術館で開催中の「 トルコ至宝展  チューリップの宮殿 トプカプの美 」を見てきました。   展覧会の序盤の、宝石がたっぷりとあしらわれた品々にまず目を奪われました。 そしてチューリップモチーフ。 こんなにもチューリップが愛されて大切にされてきたということ知りませんでした。 もともとオスマン帝国内にあった花が、15世紀ころから盛んに栽培され、その後は工芸品などさまざまなものの模様として使われるようになっていく。 小さなものだけでなく建築にも使われているのです! このトルコのチューリッ ...

教養とは人生を楽しむために必要なもの!美術を通して教養を高めよう

    先日、美術史を知るとどのように美術が楽しめるようになるのか、そのメリットについての記事を書きました。 記事はこちらから▼ 美術史を知るメリットとは では、美術を楽しむその先にどんなことがあるのかについて今日は書きたいと思っています。 タイトルにもあるように、私は教養とは人生を楽しむために必要なものだなと思っています。 そして美術を通して教養を高めていけることを日々実感しています。   教養とは何なのでしょうか? では教養とは?教養を高めるとはどういうことなのでしょうか ...

西洋美術史を学ぶメリットとは?

西洋美術史とは、芸術家が過去から学び、新しいことに挑戦して1つ1つの作品を生み出し進歩していく壮大な美術の歴史物語です。 その美術史を学ぶと、美術を見る楽しみが増すのですが、具体的にはどんなことがわかるようになるのでしょうか? それは、西洋美術がなぜ生まれたのかという本質を理解することができるようになるということ。 具体的に一つ一つの作品の意味や描かれたものを知るのではなく、時代背景やその時代のアーティストの目指していることがわかるようになる。 だから美術館に行ったときに起こりがちなこんな悩みを解消する助 ...

宗教画の見方を知りたい!意識して見たい3つのポイント

ヨーロッパへ海外旅行に行ったり、日本で西洋美術の展覧会に出かけると宗教画に出会いますよね? 何が描かれてるか分からない・・・どう見れば良いのかむずかしい・・・あまり興味がないな。 そんな風に感じたことありませんか? ここでは宗教画を見るときに知っておくとよいポイントを3つご紹介します。 そしてその3つのポイントを、ヤン・ファン・エイクの名画を例にして説明。 あなたの宗教画へのイメージがきっと変わるはずです。 何が描かれているのか意味がわかると宗教画はおもしろくなる 西洋美術の歴史の中で、古代ギリシア・ロー ...

【ラファエル前派の軌跡展】 三菱一号館美術館

  三菱一号館美術館で開催中の「ラファエル前派の軌跡展」。 展覧会タイトルのとおりラファエル前派の作品が中心ですが、軸にあるのは今年生誕200年のジョン・ラスキンです。 ジョン・ラスキンはヴィクトリア時代の有名な美術評論家。 彼の著作を読み、その思想に大きな影響を受けたラファエル前派にとってラスキンは指導者的存在でした。 ラスキンの考える芸術の源から始まって、それがラファエル前派兄弟団をはじめとした芸術家たちにどんな影響を与えて、彼らが歩んでいったのか。 ラファエル前派の美しい作品を見ながらヴィ ...

【ルート・ブリュック 蝶の軌跡】 東京ステーションギャラリー

ルート・ブリュックをご存知ですか?彼女はフィンランドを代表するセラミック・アーティストで、あのアラビア製陶所の専属アーティストとして活躍した人物です。 私は2018年に、目黒区美術館で「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」で彼女の作品に出会い一目惚れしました! 陶器で表現された可愛らしい世界観。鮮やかな色も深みがありとても上品で、色の組み合わせのセンスの良さも抜群。そして作品の内容がただ可愛らしいだけではなく、忠実な自然表現であったり、宗教をテーマにした神聖なものであったりと、彼女の目を通した日常風 ...

展示作品をみるだけじゃない。豊かな教育の場であるアメリカの美術館事情

  先日アートのお仕事がテーマの座談会に参加してきました。 そこでアメリカと日本の美術館の違いについてが話題にあがりました。 美術館には作品を保存・管理して展示をするという役割がありますが、 それに加えて”教育の場”としての羨ましいくらいに充実した美術館教育システムがあります。 なぜそのように充実した美術館教育ができるのでしょうか? 理由の一つには、アメリカの美術館の目玉は常設のコレクションだということ。 これは、日本の企画展が多く常設コレクションにあまり目を向けられていない美術館とは事情が大き ...

スクロヴェーニ礼拝堂のフレスコ画 ジョットの「キリストの降誕」

西洋美術のためのキリスト教。今回はキリストの誕生シーンを描いた絵をご紹介します。 描いた画家は、ジョット・ディ・ボンドーネ。中世のキリスト教美術から、ルネサンス美術へと絵画が大きく流れを変えるきっかけを作った画家です。 まずは、キリスト降誕にはどんな背景があるのかを知ってから、ジョットの絵を見ていきましょう! イエスの誕生の場面を描いた「キリストの降誕」 イエスの誕生の場面をあらわす作品はふつう「降誕」というタイトルになっています。英語では 「The Nativity」と言います。 それではキリスト降誕の ...

岡本太郎作太陽の塔へ 生命の樹を見てきました! 【アート旅】

岡本太郎の”太陽の塔”。中に入れるって知ってましたか?そして太陽の塔の内部は大阪万博のテーマ館として展示空間となっていたことを! 1970年に大阪で開催された日本万国博覧会の跡地「万博記念公園」。 万博のシンボルであった”太陽の塔”は、岡本太郎の作ったもので、今完全予約制で内部を公開しています。塔内部には、高さ41mの生命の樹という巨大オブジェがそびえています。 2016年から始まった耐震補強工事と内部再生工事によって再生した太陽の塔を見学してきました。 行ったのは先月のこととなりますが、正月の休みに久し ...

西洋美術史のためのキリスト教

旅行で海外の美術館へ行かれた方や、日本でも開催される西洋美術の展覧会で、宗教画が多いなと感じられたことありませんか?私も美術史を勉強をすればするほど、ヨーロッパでのキリスト教の重要さ、人々に根付いている思想と、その持っているパワーに圧倒され続けました。 なぜこんなにもキリスト教の美術品が多く作られているのでしょうか?難しそう・・・あまり好きじゃない・・・そんな方にも、キリスト教美術の歴史を知って、もっと見てみたいと思っていただけると良いなという気持ちで書いています。 まずは簡単に西洋美術史とキリスト教のつ ...