Yoko

英国大学で西洋美術史専攻
日本の大学で文化支援専攻
海外.国内旅で多くのアートに触れる
2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。

美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。

コンスタブルの描くワイブンホー・パークの昼下がり【365日絵のなかで”旅”をする】

晴れた夏の日のイングランドの美しい田園風景。ここはイギリス東部エセックス州にある広大な公園、ワイブンホー・パーク(Wivenhoe Park)。公園には湖があり白鳥が泳ぎ、たくさんの他の鳥の姿も見えます。右側には船に乗って網を広げている2人の人物も。船が傾いていてちょっと怖いくらいです。湖の周りには牛がのんびりと草を食べているゆったりとした時間が流れています! 雲が作り出す地上と湖の光と影が美しい。刻々とその影が動いていく様子が目に浮かぶようです。コンスタブルは雲を見て研究するのが大好きでした。観察をし、 ...

モネとアルジャントゥイユ【365日絵のなかで”旅”をする】

モネの足跡をたどりたい!と考えるとやはり一番最初に思いつくのはジヴェルニーではないでしょうか?でもその他にもモネにとって重要な場所が他にもあります。その一つが”アルジャントゥイユ(Argenteuil)”です。 モネは1840年にパリで生まれてから、このように生活の拠点を移動しています。パリ ⇨ ル・アーブル ⇨ パリ ⇨ アルジャントゥイユ ⇨ ヴェトゥイユ ⇨ ポワシー ⇨ ジヴェルニー アルジャントゥイユは、パリから電車で約15分の北西部、パリと同じように急速に発展しましたが、豊かな田舎の魅力も残し ...

ゴッホ最後の71日間/オーヴェールの教会【365日絵のなかで”旅”をする】

オーヴェールはゴッホが亡くなるまでの71日間を過ごした場所です。 弟のテオは、ゴッホを南仏サン=レミの精神病院から、兄が過ごすのに良い場所がないかと探していました。自分がいるパリに近く、それでいて田舎の場所。医師と友人を兼ねてくれるような人が看護してくれる安心して暮らせる場所。ゴッホのことを良く理解しているテオだからこその選択です。 ピサロの勧めもありテオが決めたのが、ここパリから1時間ほどのオーヴェール=シュル=オワーズです。 この場所は、セザンヌやピサロなど印象派の画家たちと交流のあったガシェ医師が住 ...

アンニバーレ・カラッチの「猫をからかう2人の子供」【365日絵のなかで”旅”をする】

今回の絵の旅は、絵の裏側のストーリーを見にいく旅。400年前のイタリアの絵で見るいたずらっ子と猫です。 一見2人の子供が猫と遊んでいる微笑ましい絵に見えますが、よく見てください! お兄さんと思われる子が手に持っているものは・・・ザリガニです。ザリガニを猫の耳に挟ませようとしているのです。残酷・・・ 猫の顔が傾いて、爪を立てているようにも見えるからもうすでに挟んじゃってるのかもしれません。 子供って時にとても残酷です。この男の子の落ち着いた表情と、好奇心いっぱいに見つめる女の子の表情!女の子は鼻の頭も赤くな ...

ロレーヌのストリートミュージシャン【365日絵のなかで”旅”をする】

手前にいる2人の男性が向き合って何か揉めているように見えます。 右の男性は穴の空いた笛のようなものをぎゅっと高く持っていて、左の男性が前に出てこないように制止しています。反対に制止されている男性は右手にナイフを持っている。危ない。何が理由に威嚇しあっているのか?とっても気になるのは右の男性の右手です。笛よりも高く上げられた手には何か挟んでいるように見える。ちょうど手は左の男性の目の高さにあってどうやら攻撃している感じが男性の顔からも伺えます・・・何しているの?? 手に握られているものはなんとレモン ...

トルコドレス/ジャン=エティエンヌ・リオタール【365日絵のなかで"旅”をする】

18世紀から20世紀初頭のヨーロッパで流行したのが、オリエンタリズム。アジアや中東など西洋以外の文化を、絵画、家具、食器やファッションなどさまざまなものに取り入れました。そこには15世紀以降の大航海時代をきっかけにアジアやアフリカのものや文化が大量に入ってきたから。 中国のものを取り入れるシノワズリ日本のものを取り入れたジャポニズムなどが身近ですがこちらはトルコの衣装を身につけている女性です。 スイスの画家ジャン=エティエンヌ・リオタールは、1738年から4年間オスマン帝国のイスタンブールに滞在して、たく ...

300年前に生まれたポータのビール

昨日ロンドンでフェルメールの4枚見るという記事を書きました。その中の一枚「ギターを弾く女」を所蔵しているケンウッド・ハウスは、最後の所有者がギネス・ビールの創設者の曾孫のエドワード・セシル・ギネスでした。 https://cosinessandadventure.com/vermeer-london/ 私は好きなお酒を3つあげるとすると、日本酒、スパークリングワイン、そしてギネスビール。 イギリスで初めてギネスビールを飲んでから、苦味とクリーミーな泡の組み合わせにこれは美味しい!と虜になりました。ふわっふ ...

フェルメールの魅力をロンドンで体感:4つの絵画とその見どころ【旅するアート鑑賞】

ロンドンにはフェルメールの絵が4枚あります。4枚の絵の共通点はなんだと思いますか? どの絵も楽器が登場しています。それはヴァージナルとギター。 ロンドンでフェルメールの魅力を体感するために、4つの絵画とどこで見れるのかたっぷりご紹介します。 私は2023年9月、ロンドンで4枚を見ることができました。しかしこれがいつでも見れるわけではない。ということでハードルが低い順からお届けします! ナショナル・ギャラリーでフェルメール A Lady Standing at a Virginal, image Wikim ...

七尾の漆ろうそくの炎

2024年初めてのアートダイアリーです。 今年は地震でスタートという辛いお正月となりました。石川県からかなり離れているとはいえ、帰省していた私も緊急地震速報と揺れに驚いて母と共に家を飛び出しました。 石川県は学生時代の友人の出身地で、昔から何度も行っている大好きな場所です。 そして今回被害の大きかった場所の一つ、石川県七尾市にも数年前に行ったことがあります。国指定有形登録文化財が建ち並ぶ歴史街道の一本杉通りを歩きました。 お目当ての和ろうそくの店を見学し、酒屋を見たり、和菓子屋でお菓子とお茶をいただいてお ...

『フェルメール The Greatest Exhibition-アート・オン・スクリーン特別編-』が2024年公開

2023年のフェルメール大規模展示会のドキュメンタリー映画が、来年公開されることになりました!! 映画のタイトルは、『フェルメール The Greatest Exhibition-アート・オン・スクリーン特別編-』。 公開日は2024年2月2日。こちらが公式サイトです。 2023年2月10日〜6月4日にオランダ、アムステルダム国立美術館で、フェルメールの絵画28枚(全体の3/4)が一つの美術館に集まるという史上最大規模の展覧会。美術館館長やキュレータ ーなどの、展示された作品解説や、研究によって明らかにな ...

私の好きを満たす美術館の秘められた物語

自分の前にふっと現れた人、物、情報などに、今ちらっと思ったことをやってみたら?と背中を押されるような気がすることよくあります。 きっとこれは自分に都合の良いように取っているだけだとも思うのですが、ポジティブに捉えている方が行動を起こす原動力になるために大切にしています。 ここ数日取り組んでいた記事の下調べをしている時に出てきた絵画がこの作品です。ジョン・マーティン「ヘルクラネウムとポンペイの破壊」。絵のタイトルを見て、あれこの絵テート美術館展で見た絵じゃないのと気がつきました。 取り組んでいた記事は、ロン ...

モネの似顔絵

だいぶ昔のことですが、モネが好きと言うことになんとなくミーハーだと思われそうで、避けていた時があります。流行っている物や人気のあるものよりも、人があまり注目しないものに、自分が先に良さを見つけるんだ!!みたいなところがあったのです。そんな変なところは今も変わっていませんが、モネについては大好きだと何度も言い続けてます。 昨日、私たちのコミュニティで行われたオンライントーク会では、モネについてたっぷりと語りました。「モネ連作の情景」の展覧会の感想や、たくさんあるモネのエピソードがトークテーマ。 その中で、人 ...

名画に学ぶストレスに強い心を作り出す方法 絵画鑑賞で心を整える

※この記事は広告を含んでいます記事では、絵画から”自分の心を整える”方法をご紹介しています。 自分の今に意識を向けること。過去や未来に囚われすぎて、歪んだ目で今を見ている自分を手放すこと。このマインドフルネスの考え方を絵画鑑賞と共に楽しんでやってみようという提案です。 参考にしているのが、アート鑑賞と心を整えるという本。「はじめてのマインドフルネス 心を鍛える瞑想」クリストファ・アンドレ著 この本ではマインドフルネスのトレーニングについて、フランスの精神科医師が26枚の絵画を使って紹介してくれてます。12 ...

山積みになっているイギリスで買った本

2ヶ月ほどのイギリス旅行中に購入した本(厳密には1冊は参加したツアーのお土産でしたが・・・)は、20冊。私の美術館やカントリーハウス巡りと、本の購入はいつもセットになっていて、今回も帰りの荷物は本だけで10kgを超えてしまいました。 できるなら本をあまり増やしたくないのですが、美術本やガイドブック系はまずkindle本にはなっていないので難しいですよね。そしてやはり紙の本の方が良い場合が多いのです。 探したいところに辿り着くのが早い。付箋をつけたり、線を引いていたら当然ですが、そうでなくてもこの辺りかなー ...

美術館のこの親切さが嬉しい・・・

美術館に行くのが好きな私の母ですが、やはり年を重ねているので歩き回ると疲れる時もあるそう。そんな時展示室に椅子があればいいのですが、いつもあるとは限らないですよね。あっても近くになかったり、または展示室の外にあったり。 ちょっと写真がぼやけていて見にくいのですが、この黒いものは折り畳みの椅子です。イギリスの、ボウズ・ミュージアム(Bowes Museum)に行った時見つけて写真に撮ってきたもの。 展示室の外にあるエレベーター近くに、誰でも自由に使って良い椅子が用意されていたのです。展示室に持っていき自由に ...