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Yoko
英国大学で西洋美術史専攻 日本の大学で文化支援専攻 海外.国内旅で多くのアートに触れる 2019年から対話鑑賞会・講座主宰しています。 美術史の知識だけでなく、対話型鑑賞で自分はどう感じるのか?を大切にするアート鑑賞を提案しています。
「自分自身」に出会うためのアート鑑賞
standfmという音声配信アプリ内でラジオ番組を始めました。 実際には昨年からスタートしていたのですが、一時中断していたので今月から再スタートとなります。ブログにもシリーズで書き始めた「365日絵のなかで旅をする」の記事を元にして、そこから2人で絵の中に入り込むように旅をするトーク番組です。 お相手をしてくれているのは、海外を旅したい理学療法士でもあるmikiさん https://www.instagram.com/miki.katou.oz/放送時間は、毎週月曜日の22時。のんびりとしたトークと絵の中 ...
今回の旅は1000年以上前の、新大陸発見瞬間への時間旅行。 絵の中では今まさに、レイフ・エイリークソン一が、北アメリカの東海岸の大陸を目にして、指を指して同行者たちに知らせている瞬間の場面です。左の方に確かに陸地のようなものが見えています。船は荒波の上で激しく揺れていて、空もどんよりしていますが、目指す場所は明るく輝いて見えている。 船から乗り出して見ている少年の足元には侵入した水も激しく動いている様子が。その背後には陸地を見ようと駆け上がる男性の姿も。船の中の興奮と荒波が発見瞬間をドラマチックに演出して ...
今回の旅は肖像画の中の人々と出会う旅。肖像画に描かれた少年とバドミントンの歴史を見にいきます。 絵の中の少年、こんなに素敵な衣装をつけてバドミントンをして遊んでます。しかも真っ赤なラケットに、羽の先端も同じ色。なんだか目が離せなくなりこの絵を選んでしまいました。 ということで、今回はバドミントンの歴史を旅します! 絵のタイトルについている「shuttlecock」。これはバドミントンで使用される羽根つきの球(羽球)を指します。shuttlecockは、通常、羽根と軽い重り(たいていはコルク)でできています ...
今回は、夫婦の肖像画から、550年前のブリュージュの裕福な銀行家、そして寄進者の世界を旅したいと思います。 ▼前回の「キリストの受難」の絵の下には、寄進者の肖像が描かれていたことを少しご紹介しました。 https://cosinessandadventure.com/hope-and-healing 描かれている人物、トンマーゾ・ディ・フォルコ・ポルティナーリ(1428-1501)は、フィレンツェの名だたる家系出身。彼はブルージュのメディチ銀行の支店長になるためにブルージュへ移住しました。一緒に描かれてい ...
キリストの受難のストーリーを一枚の絵画で見せている絵があります。15世紀にフランドルで活躍した画家ハンス・メムリンクの描いた「キリスト受難」です。ずいぶんと大きな絵なのでは?と思われますが、縦56.7x横92.2cmという想像するより小さいサイズ。その中にびっしりと描かれているのは、キリストがエルサレムに入場するところから始まり、復活までの物語。 この絵を希望と赦しの旅としたのは、メムリンクの絵はある特定のエピソードに焦点を当てているのではなく、全体でキリストの復活の意味や重要性を気づかせてくれたからです ...
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーはイギリスを代表する風景画家。ロンドンで生涯の大部分を過ごしているけれど、イタリアには1819年、1833年、1840年と3回旅をしています。 画家にとってやはりイタリアは行ってみないといけない場所なのです。 旅行をして戸外でスケッチすることが習慣だったので、イタリア滞在中も道具を持ってあちこちと動きながらスケッチをしているターナーを想像してしまいます。 絵を見てみると、目の前にはヴェネッツィアらしいたくさんの船が浮かぶ、カナル・グランデと言われる大運河が広がってい ...
ミッデルハルニス(Middelharnis)は、オランダ西部のグーレーオーフェルフラッキー島にある町。 ホッベマはそのミッデルハルニスのアルダー(カバノキ科ハンノキ属の広葉樹)の並木道を描いています。並木道の絵というとこの絵がすぐに頭に思い浮かぶくらい、のどかな田舎道の風景をこんなにも印象的にしているのはなんなのだろうう。 やっぱりまずは、絵の前に立つと自分も前にずっと続く道を歩いているような気分にさせる、遠近法。絵に奥行きと立体感をもたらす技術の”一点消失遠近法”です。 これを使うと、平面の紙の上でも物 ...
晴れた夏の日のイングランドの美しい田園風景。ここはイギリス東部エセックス州にある広大な公園、ワイブンホー・パーク(Wivenhoe Park)。公園には湖があり白鳥が泳ぎ、たくさんの他の鳥の姿も見えます。右側には船に乗って網を広げている2人の人物も。船が傾いていてちょっと怖いくらいです。湖の周りには牛がのんびりと草を食べているゆったりとした時間が流れています! 雲が作り出す地上と湖の光と影が美しい。刻々とその影が動いていく様子が目に浮かぶようです。コンスタブルは雲を見て研究するのが大好きでした。観察をし、 ...
モネの足跡をたどりたい!と考えるとやはり一番最初に思いつくのはジヴェルニーではないでしょうか?でもその他にもモネにとって重要な場所が他にもあります。その一つが”アルジャントゥイユ(Argenteuil)”です。 モネは1840年にパリで生まれてから、このように生活の拠点を移動しています。パリ ⇨ ル・アーブル ⇨ パリ ⇨ アルジャントゥイユ ⇨ ヴェトゥイユ ⇨ ポワシー ⇨ ジヴェルニー アルジャントゥイユは、パリから電車で約15分の北西部、パリと同じように急速に発展しましたが、豊かな田舎の魅力も残し ...
オーヴェールはゴッホが亡くなるまでの71日間を過ごした場所です。 弟のテオは、ゴッホを南仏サン=レミの精神病院から、兄が過ごすのに良い場所がないかと探していました。自分がいるパリに近く、それでいて田舎の場所。医師と友人を兼ねてくれるような人が看護してくれる安心して暮らせる場所。ゴッホのことを良く理解しているテオだからこその選択です。 ピサロの勧めもありテオが決めたのが、ここパリから1時間ほどのオーヴェール=シュル=オワーズです。 この場所は、セザンヌやピサロなど印象派の画家たちと交流のあったガシェ医師が住 ...
今回の絵の旅は、絵の裏側のストーリーを見にいく旅。400年前のイタリアの絵で見るいたずらっ子と猫です。 一見2人の子供が猫と遊んでいる微笑ましい絵に見えますが、よく見てください! お兄さんと思われる子が手に持っているものは・・・ザリガニです。ザリガニを猫の耳に挟ませようとしているのです。残酷・・・ 猫の顔が傾いて、爪を立てているようにも見えるからもうすでに挟んじゃってるのかもしれません。 子供って時にとても残酷です。この男の子の落ち着いた表情と、好奇心いっぱいに見つめる女の子の表情!女の子は鼻の頭も赤くな ...
手前にいる2人の男性が向き合って何か揉めているように見えます。 右の男性は穴の空いた笛のようなものをぎゅっと高く持っていて、左の男性が前に出てこないように制止しています。反対に制止されている男性は右手にナイフを持っている。危ない。何が理由に威嚇しあっているのか?とっても気になるのは右の男性の右手です。笛よりも高く上げられた手には何か挟んでいるように見える。ちょうど手は左の男性の目の高さにあってどうやら攻撃している感じが男性の顔からも伺えます・・・何しているの?? 手に握られているものはなんとレモン ...
18世紀から20世紀初頭のヨーロッパで流行したのが、オリエンタリズム。アジアや中東など西洋以外の文化を、絵画、家具、食器やファッションなどさまざまなものに取り入れました。そこには15世紀以降の大航海時代をきっかけにアジアやアフリカのものや文化が大量に入ってきたから。 中国のものを取り入れるシノワズリ日本のものを取り入れたジャポニズムなどが身近ですがこちらはトルコの衣装を身につけている女性です。 スイスの画家ジャン=エティエンヌ・リオタールは、1738年から4年間オスマン帝国のイスタンブールに滞在して、たく ...
昨日ロンドンでフェルメールの4枚見るという記事を書きました。その中の一枚「ギターを弾く女」を所蔵しているケンウッド・ハウスは、最後の所有者がギネス・ビールの創設者の曾孫のエドワード・セシル・ギネスでした。 https://cosinessandadventure.com/vermeer-london/ 私は好きなお酒を3つあげるとすると、日本酒、スパークリングワイン、そしてギネスビール。 イギリスで初めてギネスビールを飲んでから、苦味とクリーミーな泡の組み合わせにこれは美味しい!と虜になりました。ふわっふ ...
ロンドンにはフェルメールの絵が4枚あります。4枚の絵の共通点はなんだと思いますか? どの絵も楽器が登場しています。それはヴァージナルとギター。 ロンドンでフェルメールの魅力を体感するために、4つの絵画とどこで見れるのかたっぷりご紹介します。 私は2023年9月、ロンドンで4枚を見ることができました。しかしこれがいつでも見れるわけではない。ということでハードルが低い順からお届けします! ナショナル・ギャラリーでフェルメール A Lady Standing at a Virginal, image Wikim ...